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第6話:商人ギルド

 俺たちが住むオストラバ王都はとにかくデカい。

 人口はうん十万人とよく知らないが、冒険者ギルドはもちろん、商業、観光で賑わっている。

 軍事力も高く、西は海に面しているので漁業も盛んだ。


 来るもの拒まず、去る者追わずの理念で移民は難しくないが、その分、富裕層と貧困層で大きく分かれている。

 治安の維持は兵士の人海戦術と冒険者のおかげで成り立っているものの、見過ごされている闇市場や闇商売も多い。


 俺がここを根城にし始めたのは数年前。元々、俺は北の村近くで異世界に転生してきた。

 物作りスキルしかないので、当然魔物に遭遇して死にかけたこともある。


 なので、ここへ来るまでは大変だった。


 とある村で雇ってもらった居酒屋みたいなところで、皿洗い等で金を貯めてオストラバにきたのだ。


 ここへ来たのも偶然ではなく、商売が成り立つとの算段から。


 商人ギルドに登録後、安い宿でコツコツとポーションを売り捌いてようやく家を借りたのが半年前。


 それから1人で人脈を増やしていたが、やっぱり男手一つで何でもするのは大変だった。


 いや……本音を言えば寂しかったのだろう。

 レナセールを購入したのは、決して善意ではない。


 異世界転生は素晴らしいが、違う国へ来た寂しさもあった。

 それを、埋めてほしかったのだ。


「とても……綺麗な街並みですね」


 外に出た瞬間、太陽の日差しでレナセールは少しだけ目を細めた。

 奴隷として売られていたのに、この街を見るのは初めてなのだろう。


「俺も気に入ってる。ただ夜は危険な(ストリート)もいくつかあるからな。今日、一通り説明するが、本当に覚えられるのか?」

「はい。記憶力には自信がありますから」

「ならまずはいつも通ってる商店を教えるよ。後は商人ギルドへ挨拶もしておくか」


 今日は祝日で人が多い。

 人間族、獣族、エルフ族は少ないものの見かけたりする。


 レナセ―ルはとても華奢だ。

 誰かにぶつかると危ないだろうと手を握る。


「あ、あの」

「どうした?」

「私は奴隷です。こんなのは、その……優しすぎると思いますが」


 自分が奴隷になっていることよりも主人である俺の立場を気にする彼女は、本当に心が優しいのだろう。

 過去の名前は言いたくないとのことだが、俺も元の世界の名前はどうでもいい、それと同じだ。


「怪我でもされたらかなわんからな。気にするな」

「……はい」


 俯きながら照れるレナセ―ルは綺麗だった。


 大通りは、西洋風で、地面も建物もほとんどがレンガで出来ている。

 建物は統一感のあるオレンジがかった茶色を基調としており、洗濯物などは表に干してはいけないとのルールがある。

 おかげで生活感が一切なく、まるるで絵画を見ているみたいで美しい。


 そのまま一段とデカい建物で足を止める。

 商人ギルドと書かれた立て看板の前で、レナセールの恰好がちゃんとしているかどうかを確認した。


「一応、奴隷として下働きというよりは、基本的に助手的な扱いで説明するつもりだ。その感じで対応してくれ」

「……そうなんですか?」

「商売は信用の世界だからな。奴隷が合法とはいえ、商売人がロリコンや暴力気質な輩という噂になっても困る。まあ、王都ではそんな奴ごまんといるが」

「……ベルク様、ロリコンってなんですか?」

「……また教える。さて、行くぞ」

「は、はい!」

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