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第60話 旅行の準備は万全に

「ベルク様、10日分の回復薬と状態薬を先に卸してきました。絆創膏は、まだ余裕があるみたいです」

「ありがとう。少し休んでくれ。おやつ買っておいたぞ。君の好きなチョコレートだ」

「わ、ありがとうございます!」


 隣国へは徒歩と馬車で3日ほどかかる。俺とレナセールはそこそこ体力があるので、2日もあればつくだろう。 帰りを考えると、滞在できるのは6日ほど。

 ある意味では初めてに近い国外への旅。

 準備は滞りなくしておこうと決めて、まずは錬金術に精を出していた。


 机の上で、今はリストの確認をしている。

 レナセールはチョコレートを頬張りながら、俺の書いている紙をのぞき込んだ。


「凄い。いっぱいですね。それに器具もですか?」

「ああ、出先で採取した素材を分析もしてみたいしな」


 以前、師匠からもらった【空間袋】は、狩場の素材や販売品の移動に使わせてもらっている。

 旅先には持っていくが、限界容量もある。出来るだけ余裕を残しておきたい。


 よって、揃えるものをまとめていた。


 ・錬金術の器具セット。

 薬品の調合や実験が旅先でも軽くできるように。

 ・ランタン。

 野宿する際に使う。焚火ではなく自家発電ができるもの。

 ・浄水水筒。

 元々欲しいと思っていたものだ。水は必要不可欠だし、異世界は国でも水が清潔じゃないこともある。

 手を洗うだけならいいが、飲み水は気を付けておきたい。旅先で病気が一番困る。

 ・小型の回復薬と状態薬。

 元々それほど大きくないが、もっと小さく、できるだけ効果の高いものを自分専用で作る。

 販売用ではないので、費用対効果の良い物。

 ・靴。

 以前、冬用のスパイクを作製したが、今度は安全靴を作る。

 できるだけ軽いもので、できるだけ丈夫に。

 先端に魔法で鉄を加工し、軽くしてから付着させる。


「……凄いです。ただこれ、五日で用意するんですか?」

「レシピは既に浮かんでるのと、いくつか作りかけがある。後の必要な物は既製品で何とかなるだろう。念には念を入れる為だ。どれもなくても旅は可能だしな」


 準備が大切、師匠の教えを守る。

 レナセールはチョコレートを頬につけながら、立ち上がって手を洗った。

 そのまま、いつもの白エプロンに着替える。


「もう少し休んでていいぞ。朝も早かっただろう」

「大丈夫です! 初めての旅、私もしっかりと準備したいです!」


 当然だが日本刀も持っていく予定だ。いくつか戦闘向けの武器も作りたいと思っている。

 やることはたくさん。だが、やる気はそれ以上。


「あっちの国では高値で売買されているものを王都からいくつか持っていくつもりだ。商人ギルドならそれくらいは教えてくれるだろう」

「わかりました! ベルク様、外は魔物が多いです。お強いのは知っていますが、私は命の価値を理解しています。何かありましたら、捨ておいて構いませんので」


 健気に笑みを浮かべるレナセールの頬を撫でる。


「見捨てることはしない。だが、君がどんなに怪我をしても、俺が完璧に治してみせる。だから、安心しろ。――その代わり、俺も頼んだぞ」

「もちろんです! フェニックスの尾を作り上げて、もっと安心したいです!」


 俺は一度死んで生まれ変わった。それはレナセールもだ。

 だからこそ今この瞬間こそがどれだけ奇跡なのかわかっている。そして手放してはいけないことも。


 さて、もう少し頑張るとするか。

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