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第58話 ただの飲み会

 異世界の飲み会は暗黙の了解で無礼講となりワイワイ騒ぐ。

 階級があっても、敵でも、食卓を囲めばそんなのは関係ない。

 おそらくそれは、死が身近な存在だからじゃないだろうか。


 楽しく酒を飲んでいるときは、何も考えないようにしようとなったのではないだろうか。


「エリオット、お主はまだまだじゃったのぅ。我なら一撃で倒せるレベルじゃ」

「じゃあ今度やってみるッスか!?」


 ストロイとエリオットが、デカすぎるビアーを飲みながら語り合っていた。

 はたから見れば幼女なので、酒を飲んでもいいのかなとヒヤヒヤする。


 レナセールはお友達と話していた。なんだか、ホッコリするな。

 ただこれが男の子だったら……ちょっと複雑かもしれない。


「ベルク」


 ワインを嗜んでいる師匠が、俺の名を呼んだ。

 ちょいちょいとこまねかれたので近寄ると、急に抱き寄せられる。


 ふんわりと、大人の匂いが香った。


「ど、どうしましたか――」

「よく頑張ったな。偉いぞ。とても誇らしいぞ。可愛いなお前は」

 

 するとまさかのナデナデ。忘れていた。酒を飲むと甘えたちゃん師匠になるのだった。

 離れようとしたのだが、そこは師匠の怪力がある。

 全然離れない。むしろ、むぎゅっとたゆんが鼻にあたってしまう。


「し、師匠ちょっと――」

「お前は偉いぞ。毎日頑張って文句も言わずに。偉いな。お前は偉い。そして可愛いな」


 今の状態はさておき、ここまで褒められたことはない。

 嬉しい、嬉しいのだが――。


「ベルク様、いくら無礼講でも、それは流石にどうかと思います」


 当然というべきか、後ろからレナセールの恐ろしい声が聞こえる。

 その後チェコが「イチャイチャしてるねえ」と言った。ストロイが「ほぉ、人間のまぐわいが間近で見られるの」と喜び。

 エリオットが「すげえ、ベルクさん、モテモテだ」と興奮し、エリニカ・クーデリーが「凄い、まるでオペラみたい! 三角関係なのね!」と声を上げた。

 俺はとにかく後ろを振り返らなければならない。だが、どうあがいても剥がれない。


「ベルク様、こっちを向くつもりもないんですね。やっぱり、豊満なお胸が大好き好き好きなのですね」

「ち、違うこれは――」

「レベッカさん! ベルク様に近づきすぎですよ! するなら家で!」


 するとなぜか後ろからむぎゅっ。レナセールの心地よいたゆんが、俺を包んだ。

 後ろからたゆん、前からたゆん。

 家ならいいのか。


「レナセール、たまにはいいだろう。おすそわけしてくれ」

「おすそわけはします! でも、私も一緒です!」


 呼吸が苦しくなってくる。もしかしてこれ、肺が圧迫されてないか?


「まぐわいがみたいのぅ。愉悦、愉悦じゃ」


 ストロイの声の後、俺は段々と意識を失い始めた。


「あの隣の席、ヤバすぎだろ……。有名人ばっかりじゃねえか。それにあの幸せそうな男はなんだ?」

「わかんねえ。誰だろうな。クソ、美女サンドイッチ男め」

「クソ、サンドマンめ」


 ついでに変なあだ名も付けらはじめる。なんだか、気持ちよくなってきた。

 たゆんが気持ちいいのか、それとも、他の何かか。


「可愛いなあベルク、お前は」

「私のです! ベルク様は、私のサンドイッチです!」


 レナセール、言葉が混ざってる……ぞ……。

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