第40話 師匠はめちゃくちゃ女の子
「その程度で錬金術師の試験は合格できない。成分の見極めは手の感覚で覚えろ」
「は、はい! で、でもこれ……か、関係ありますか?」
「口答えをするとはいい度胸だな。弟子から奴隷に降格させようか?」
「一生懸命に頑張ります」
レベッカ師匠に窮地を助けてもらい、異世界での”初めて”を奪われてから数か月が経過した。
何と驚いたが、凄まじい功績を持つ錬金術師だったのだ。
世界の事も教えてもらった。口調は強いが、朝、昼、晩と食事を作ってくれる。
後、”夜”はすげえ女の子。
ちなみにこれは口が裂けても死んでも言えない。
「しかしベルク、お前の能力は錬金術師だけじゃなく、誰もが欲しがるものだ。危険極まりないな」
「……そうなんですか?」
「当たり前だろう。何の防衛手段も持たない男が、どんなレシピでも一瞬で作りだすんだぞ。私が悪党なら、地下に幽閉して一生飼い殺しするだろうな」
とてつもなく恐ろしい事を言っているが、この世界に道徳が薄ければありえるだろう。一応、夜は可愛い。
俺は、錬金術としてのチートは授かった。しかしその錬金のことはまったく理解していなかった。
劇薬に近い薬の扱い方だとか、直接手に触れてはいけないもの、決して交わらせてはいけない成分など。
いくらレシピが浮かび、更に良い物が作れるといっても素人だ。
もし戦える武器があったとしても、すぐに戦場で活躍できるわけがない。
それと同じだろう。
だが今は違う。
少しずつ、師匠から知識を教わっている。
「ふん-、ふふんー」
家の中はいつも綺麗で整理されている。
レベッカ師匠はいつも裸同然の姿をしているので、目のやり場に困ってしまう。
チラリと棚に視線を向けると、山積みになった手紙が大量に積み重なっている。
初めはこんな異世界でも迷惑DMみたいなのがあるのだと思っていたが、宛先を見てびっくりした。
どこかの国のお偉いさんからの感謝状や功績の賞状、さらには是非我が国で働いてほしいとの懇願手紙まで。
ちなみに毎月魔法鳥で届くのだが、当人はまったく興味がない。
中には凄まじい金額も書かれていた(通貨も教えてもらったが、日本円で億)
しかし全部はねのけているという。
当人曰く、もう引退したらしく、のんびり生きたいとのことだ。
見た目は凄く若いが、かなり年齢は上だという。
うーむ、異世界は凄い。
「それが終わったら洗濯しといてくれ。痛むから手洗いでな」
「承知しました」
ちなみに常に裸だが、寝る前にだけは下着を履く。
普通……逆じゃないか?
夕方前になると、木造りのキッチンで食事の支度を始める。
俺も手伝うことはあるが、魔法でちょいちょいと動かしながら手際よくしているので、眺めている事が多い。
で、味はもちろん最高だ。
今日は山菜のスープと鹿肉だった。精力がつきそうだ。
そして夜は――。
「ベルク、おいで?」
「は、はい」
「今日は、いっぱい気持ちよくして?」
「……はい」
昼間の師匠はどこへいったのかとおもうほど、可愛い女の子である。
ちなみに夜の営みはレベッカ師匠にとってスポーツのようなものだと思っていたのだが、ある日尋ねてみると、驚きの言葉が返ってきた。
「何を言ってるんだ? 一目ぼれしたからに決まってるだろう」
「え? で、でも溜まってるって――」
「いつも一人でしてたからな。勘違いするな、私はお前以外と楽しんだことはない」
まさかの処女で一途。
師匠、あなたの属性が多すぎて俺の頭はパンクしてしまいそうです。