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私はね

作者: 黎め

依存体質を克服せんと、助けてーとすぐに頼ってしまいそうになる弱い意思をいなしごまかし、自己処理しようと足りない頭で精一杯やってみたものの、毎度お馴染み堂々巡り、当たり前だ、偏って頑なで柔軟性に欠ける私の脳みそでは限界なのだ


といってやめることなど当然できず、宿題は溜まる一方、それでももうとっくに決めていたのだ、どのみち私はこんな生き方しかできない、というより望んでいたのだ、選択肢を得たくて何度も読み返す、難解で掴めず、理解に至ることは困難を極める


能力が及ばず相手として全く不適合なことが申し訳なく、努力で補えるものならどんな苦難もやっつける気概だけは所持するものの、元来の融通の利かなさに加え、扱う内容が高度すぎる上に多岐に渡る


その上わかりたくて必死に目を通すのに、あるところまでいくと涙で前が見えなくなって続きが読めなくなるのだった


(わずら)わせたがための不機嫌攻撃を避けるため、いつでも可のみで不可がなく、放っておいても手のかからないお利口さんでいることでしか生き抜けなかったような私は、私に対して、誰かから関心を寄せてもらうという経験をしたことがほとんどない


正の関心が得られぬのなら負でも構わぬとばかりに荒れた時さえ、世間体を取り繕うのに終始されるのみで向き合われることもなくその努力が認められることはなかった


そうして適切な自己認識もできぬままここまできた私に対して可といわず不可といわず、明らかに目につくことのみならず、自身でさえ無自覚である様々な諸々に対し、気づいたことを指摘し助言し、導きの道筋を示す


見ず知らずの他人に、ここまで一方的に与えることのできるひとがいるという衝撃、私がその恩恵に預かっているという不思議、底知れぬ畏怖と尊敬の念が湧き出て私は観念する


悲劇のヒロインになりきって時代の犠牲者の地位にしがみつき続けるのは論外としても、必ずしも私お得意の楽観視だけしておけば良いというわけでもないのは間違いない、にしてもこの世は考えるより絶望的ではないのかもしれない


掴めなくとも言われている意味はわかるのだ、ポジティブもネガティブも超えて全肯定した暁にはポジティブもネガティブもなくなる、視野狭窄の元となるしがみついているこだわりを手放し、全託して委ねる勇気を持てたなら、持てたなら――


とろくて間が悪くてどんくさい、にしても投げ出さないで取り組む私を私は慈しんでやれよ、当たり前だなんて考えてない、これほどの要領の悪さでもって畏れを乗り越え立ち向かおうとしているその姿勢だけでも認めてやらずして誰が私をよしとしてやれるのだ


さもなくば多くの抱えきれないほどの贈り物をドブに捨てることになるではないか、その回避のためなら私はどんなことでも耐え抜いて応えてみせようと思えるのだ


あり得ないほどの喜びをもって、してもしきれない感謝を胸に。

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