表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界闇バイターのススメ!  作者: 独活野 小木
4/4

ファイル2 マンドラゴラの収穫

バイト名:マンドラゴラの収穫


 給与 :1体500ゴラス(日本円で5万円)

 勤務地:正門前ギルド「ヴール」

 勤務日:1日のみ

 時間 :9:00~終わりまで


 職種 :ギルドに納品されたマンドラゴラが植えられた植木鉢から収穫する作業です。

給与詳細:給料について取引不可、保険無し

勤務期間:1日 好きに帰宅して良し ノルマ無し

 待遇 :制服貸し出し

福利厚生:無し


《こんな人にオススメ!》

気が利く人。短時間だけでもいいから超集中できる人。目が良いと楽かも?耳が良すぎると楽になるけど、楽に死ねるからやめといたほうがいいかも。


 危険度 :トン

やりやすさ:普通

知識・経験:基本必要なし


《注意点》

マンドラゴラを鳴かしたり、殺したりすると罰金が発生するぞ!!



基本情報:マンドラゴラは基本、土に埋まったまま生活をしている。口からの呼吸はせず、土から出した木の苗のような頭部からエネルギーを得ている。また、そのエネルギーの循環により特有の匂いを発し、特定の生物が掘り起こさないように働きかけることができるようだ。


マンドラゴラの性格は基本的にはおとなしいものが多いが、後述するような行為を行った場合、攻撃的になる。その際、ツタのような手で叩いてくるが、マンドラゴラ自身の力は大したことはなく、怪我をすることはほぼ無いと思っていい。

しかし、同時に行われる「口呼吸」には十分な注意が必要だ。


何者かが頭頂部を覆い隠す、無理やり引っこ抜くなどの「マンドラゴラのエネルギー摂取を邪魔する行為」を行った場合、激しい騒音、エネルギー排出を含む「口呼吸」が行われる。その音の大きさは170㏈から180㏈の間が一般的だが、個体によっては200㏈を観測した例も存在する。

また、その際に必要以上のエネルギーを持って行ってしまうので、本来マンドラゴラを食べて得られる「滋養強壮・精神強化・エネルギーバースト」などの効果は著しく落ちてしまう。

なので口呼吸させずに収穫する必要があるのだ。


現在、マンドラゴラの口呼吸をさせないで収穫する方法は存在しているが、確立されているわけではない。しかも個体によってその方法が通用しない場合もあるから見極めが必要である。

今のところは1つのみの収穫方法しかない。


収穫方法A 盛り土をし、水を与えながら周りを掘り起こしていく方法 → 記録1

収穫方法B(現在は廃止) 埋もれている頭部全体を持ち、視覚や聴覚を用いて抜いていく方法 → 記録2


もし、マンドラゴラを刺激し、口呼吸を行わせてしまった場合は速やかに報告、処分をする。→ 記録3



記録1

ギルドマスター:マンドラゴラを引き抜く際に必要なのは、いかに違和感を感じさせないかだ。そのために、まずは水をしこたまかけて雨が降っていると錯覚させる。そうするとマンドラゴラはその雨をエネルギーに分解させようと集中するんだ。


カシラ:ほい、水をかけたぜ。それで?もう掘っていいのか?


ギルドマスター:まだだ。次に盛り土をしてバランスを崩さないようにする。水などを混ぜて固めてもいいかもしれない。とにかく、頭部を動かさないように固定するんだ。


カシラ:できた。こんだけ盛り土すりゃあ倒れねぇだろ。


ギルドマスター:オーケー、そしたらいよいよ掘る。本体には決して触れず、ゆっくりほぐしながら掘ってくれ。


カシラ:なんかコツとかはあるか?


ギルドマスター:ギリギリを責めることはせず、大雑把に、周りの型を取るように取り出してくれ。肝心なのは発狂しないことだからな。


カシラ:了解。お!できた!


アドバイスの通りの手順を踏んで行われた収穫は成功した。

この方法は時間がかかってしまうが難しくはなく、安全だと思われる。



記録2

しばらく「収穫方法A」で収穫を続けていたが効率化を求めたバイトのエルフAが以下の方法を発見、提案をしました。


エルフA:俺気づいちゃった、楽に抜く方法。


カシラ:へえ。どんな?


エルフA:音を聞くんだ。こうやって雑に掴もうとすると、唸る。


エルフAは苗の部分を掴もうと手で覆いかぶせると、かすかに本体がピクッと動いたように見えた。だがそれは凝視すればそう見えた感じがする程度であり、肝心の音の変化はカシラには聞き取れなかった。


エルフA:な?あとは唸らないようにゆっくり力を調整しながらスッと抜く。


エルフB&エルフC:ホントだ!これなら楽になる!!


カシラ:すげぇなエルフってのは…


バイトの内何人かはこの方法を使い収穫を行った。初めは順調だったが後述の事故「記録3」につながることになる。

結論、この方法は時間が短く済むが、判断が難しく危険性がある。



記録3

〇月×日、ギルド「ヴール」にてマンドラゴラの口呼吸を確認。その際、巻き込みで計7体のマンドレイクを処分することとなった。

この記録は「収穫方法B」をさらに簡略化しようとしたエルフCによって引き起こされた事故直後の記録である。


ギルドマスター:で?この状況を説明してもらおうか。


カシラ:俺は発狂するまでなんも気づかなかった。ちゃんと正規のやり方でやってたしな。あのエルフたちは違うようだったがな。


ギルドマスター:そのエルフ達が死んだ。普通なら鼓膜が破れるくらいで済むはずだが、即死だった!違うやり方とはなんだ?なぜ止めなかった?


カシラ:めんどくさい手順を省くために聴覚を使って引っこ抜いてたんだ。器用に何度も抜くもんだからてっきり、よ。


ギルドマスター:はぁ…それで、なんでその後すぐ処理しなかった、なぜ10体近くのマンドラゴラを犠牲にしたのだ?


カシラ:おいおい、これでも助けようと思ったんだぜ?固有スキルでどうにかならないか模索したんだが…結果はサッパリだ。


ギルドマスター:もういい…処分されたマンドラゴラの数分、お前の給料から差し引いておく。次から気をつけろ。


カシラ:まじかよ!?


マンドラゴラの収穫方法はこの事故を反映したものに変更されました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ