第二話 暇な1日
実は、本当に暇な時間多いんですよね入院って。
入院するなら個人的にオフラインでできるゲームと本が必須だと思います。
あと、スマホのギガは多めに残しておいたほうがいいですよ
検査とレントゲンが終わった。
まぁ、実際考えてみればエコーもレントゲンもそう時間のかかるものではない。
そう思い時計を見る。
10:20
まだまだ時間はある。
「すいません、僕ってこのあとなにかありましたっ け?」
「えっと、章くんは今日はもう暇みたいだねー、羨ま
しい!」
「えー、嫌ですよ。暇なんですから」
「あ、じゃあお勉強でもしたら?お母さんもしっかりお勉強しなさいって言ってたじゃん!」
「いやー、暇っていいですよねー」←棒読み
そう言って僕は逃げるように自分の病室に戻った。
うーん、何しよっかなー。ゲームもあきたし、本も読み終わっちゃったんだよなー
もちろん勉強は論外だし、
そう思ったので僕は、子供部屋に行くことにした。
やっぱ、いつ来てもいいなーここは。
ワンダールームとは入院している子供が遊べるように様々な玩具がある部屋のことで、僕はよくここに遊びに来る。
まぁ、ここには4〜5歳くらいの子が遊ぶような
玩具や絵本が殆どで、ぶっちゃけ僕ぐらいの年になるとつまらなくなってしまう。
それでもここに来る理由は2つある。
1つ目は
「にーちゃん、遊んであそんで〜」
こんな感じで子供達と一緒に遊ぶこと。
そしてもう1つが、
「わたし、おにーちゃんのピアまた聴きたい!」
と、この発言からわかる通り子供部屋にはピアノがある。大人サイズの。
「じゃあ、今日は何聴きたい?」
「おれ、兄ちゃん前弾いてた運動会ってやつの曲がいい。かっこいいんだもん!」
「お、クシコス・ポストかー、いいぞ」
クシコスポストといえば、ほら、あれだ。
運動会で流れてて「明日は地獄の運どーかーい」
とか変な替え歌される曲だ。
「えー、わたしは、おにいちゃんのエリーゼもう一回聴きたい。すっごくきれいな曲だもん。」
エリーゼはエリーゼのためにって曲で有名だから調べれば一発で出るから是非1度は聴いてほしい。
と、それはともかくこのままだと言い争いになってしまう。
「ほら、両方とも弾いてあげるから。ね?仲良くしよう。お兄ちゃんは二人に仲良くしててほしいな。」
まずは、喧嘩が起きないようにする。二人共一見普通の子供に見えるが何らかの大きな病気のせいで入院してる子なんだ。喧嘩したり、大声を出すのは結構体力使うし体に悪い。
{シファシー、シソシー、シシリファシッシ・・・}
最初にクシコスポストを弾くことにした。
理由は最初に言われたからってのと、元気な曲のほうが他の子の興味も引きやすいと思ったから。
さっきも言ったように、ここの子たちにとって体力とは本当の意味で生命線のようなものだ。
つまり、ここの子たちにとって遊ぶという行為はそれだけでも、とても大変な事なのだ。
だから、聴くのも引くのも座りながら出来るピアノを
病院の子たちに知ってほしかった。だから、何度も
ここでピアノを弾いてきた。
流石にプロのように上手くはいかないが、一応1曲通して弾くことができた。
さて次は、エリーゼ…
「かよちゃーん、検査の時間ですよー」
看護師さんが来た。
エリーゼを聴きたがっていた少女は、
「えー、まだエリーゼ聴いてないー!」
とっても行きたくなさそうだった。
これなら先にエリーゼを弾いておくんだった。
「ほら、検査終わったらまた弾いてあげるから。ね?
検査頑張ろう!」
流石に1曲待っててくださいというわけにも行かないのでなんとか検査に連れて行った。
そして検査が終わるまで3曲ほど弾いていたらかよちゃんが帰ってきた。
「おにいちゃん、エリーゼ弾いて」
よっぽど楽しみにしてくれていたようだ。嬉しい。
「もちろん、いくよ?」
{ミレミレミシレドラー・・・}
そしてエリーゼも弾き終わりそろそろお昼だからということで各自解散になった。
どうでしたでしょうか?
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今回は、かなりのほほんとした内容にしたつもりなのですが。
ちなみに遊ぶ部屋は僕のいた病院をほぼそのまま採用しました。
今回出した2曲は実際に僕が発表会で弾いた曲なので今でも少しくらい弾けますよ。
本当にいい曲でした。