第一話 病院
この小説は病気による入院を書いたものです。
最後まで見てくださると嬉しいです。
ピーポーピーポー
その音を聞いて目が覚める。
救急車が来たのだ。患者を乗せて。
僕は毎日この音を聞く。
病院とは常にそういう場所なのだ。
親はいない。
最近感染症が広がっているため緊急の患者以外は基本
付き添いはなしでということらしい。
僕はまだいい。
実際に入院しているとはいえ、もう15歳。
特に生活に影響が出るほど体が不自由なわけでも、
普通の食事が食べられないわけでもない。
せいぜいカテーテルが邪魔なくらいだ。
だが、もっと小さい子供達はどうだろうか?
付き添い人がいる子ももちろんいる。
だけどそうじゃない人もいる。
もちろん、付き添いをしない親が悪いと言いたいわけではない。
なぜなら、付き添いとは本当につらいからだ。
十分な食事を摂ることも出来ず、入浴だって子供が寝ていないと満足にできない。子供が寝ていても医者に呼ばれればついていくしかない。
睡眠だって、備え付けられてある小さいソファーで寝るか、子供用のベットで子供と一緒に寝るかの二択しかない。もちろん、子供が夜泣きしていたら眠ることはできない。
僕の知る中で最もひどかったのが、一人目の子が入院し、それに付き添っていた結果、睡眠不足や栄養失調などの理由で2人目子供を流産してしまったという話だ。
僕が小さい頃、付き添ってくれていた母もいつもやつれた顔をしていたのを覚えている。
だが、それを理解していても尚、一人の子を見るとつらくなる。
毎日毎日、朝から晩まで点滴の痛みと一人でいる寂しさで泣いているのに誰もあやしてくれはしない。
もちろん、点滴が外れたりするようなことがあれば別だ、そのときは、看護師のひとが、すぐに駆けつける。命に関わることなのだから当然ではあるが。
たしかに、点滴やカテーテルをしているのだから、子供たちが命を落とす心配はない。
そういう意味では、手術のときだけ来ればいいように思えるかもしれない。
だが、病室で一人泣いているのに子供を見るとやはり
可哀想に思えて仕方がない。
だが、だからといって僕たちが、その子の病室に行ってあやしてあげられるのかというと、そうではない。
それは、普通にしちゃいけないことだからです。
今日は特に予定はない。
入院とは基本的に暇な時間が多いのだ。
だから、朝食を食べ終え、スマホに手を伸ばしてゲームでもしようと電源を入れると、
「章くーん、今日はエコーとレントゲンとる日ですよー」
看護師さんが来た、やっぱりそんな暇なわけじゃないのかもしれない。
僕は返事をしてから、スリッパを履き看護師さんについて行くのだった。
いかがだったでしょうか?
いいねや感想で応援してくださると嬉しいです。