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天才魔女との憑依同盟  作者: アサオニシサル
3章 復讐の地にて
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45話 街での戦い

 馬にも限界があるらしい。

 フラウと二人で徒歩のときよりも速いのは良い。僕達が魔力を節約できるのも良い。だがしかし、馬だって生きている。つまり、休息と食料が必要なのだ。


「馬にも好き嫌いがあるんですね」

「好き嫌いというか……肉は食べてもお腹を壊すのよ」

「そうなんですか……」


 今現在移動しながら、セレーナは僕に馬について話してくれている。これについて僕は全然知らない。

 アムドガルドの剣族は、魔物を飼いならして一緒に生きているようだが、メイジスの村ではそうはいかない。馬を買うお金がある人は、馬に色々教える専属の剣族を買っているだろうし、平民同然の暮らしをしていた僕には縁のない話だ。

 騎士に全くと言って良いほど興味を示さないサキも、勿論知らなかったし、この話題にも興味も示していないようだ。


(つまり食べる物を持ち歩いていないから、街の宿屋に泊まらないといけないってことでしょ?)

(サキはそれだけわかれば良いと思うよ)

(不便ね。ギンの鳥、或いは箒や絨毯があれば良かったのに)


 サキは文句を言っている。そしてギンの出す折り紙の鳥は、とても便利なものだったのだと感じる。ハクが書いた売り物の新聞だが。どうやらギンが魔法をかけたペンで書き、紙に魔力を散りばめておくことに意味があったらしく、ただの紙ではあれはできないらしい。どうやら僕に再現するのは難しそうだ。

 絨毯や箒は、サキ曰く魔法をかける、またはそれらを目の前に出す魔法を使うことで飛べるらしい。絨毯は敷物だから乗って飛ぶのはまだわかるが、箒は掃く道具だ。


(箒で飛べるなら、杖や剣で飛べる方法はないの?)

(他のものって言ってもね……道具を使わないと飛べないのに贅沢なこと言われてもねぇ……)


 どんどん現実から離れていくのでサキとの話は止めよう。そんな話をしても状況は変わらないのだ。


「セレーナさん、魔法で飛べる人って割といるもんなんですか?」


 腹いせにそんなことを聞いてみる。


「飛べる人? そうね……かなりやり手の風魔法使いだったらできるのかも。リシュー伯とか……あと、あの人も……って、今はもう、どっちもいない人だったわね……」

「そうなんですか……変なこと聞いてすみません」


 あの人というのは、セレーナの昔の友人のことだろう。そして、リシュー伯ってそんなすごい人だったのか。あれも黒死の悪魔の仕業だった。よりあいつが憎くなる。


「この馬も、天馬だったら良かったのにね。あのティマルスのーー」

「翼があって、それで天を翔け、雲を食べると言われるあの馬ですね?」


 天馬と言えば物語で読んだことがある。天馬に乗った正義の騎士が、世界を飛び回って悪を懲らしめる話だ。お話の世界だけだが、むしろこっちの方が馬として親しみがあるほどだ。


「天馬はメイジステンには連れてこれないんですか?」

「ティマルス地方の魔物は、ここらで扱う魔物と立場が違うからね。あそこの住民は、獣王によって守られているから」

「物語のようにはいかないんですね……」


 守護騎士などの本当の一流の騎士はそうだと思っていたのに残念だ。シーザー卿辺りなら乗っていそうだと本気で信じていたのに。


「そのお話聞いたことあるわ。ラドが好きで持っていた本。今はどうかわからないけど」

「じゃあティマルスから仕事として来てもらうっていうのはダメですかね?」

「うーん、ティマルスで暮らす人や魔物は、獣王の加護が届かないところに行きたがらないらしいから、難しいかもしれないわね」

「メイジスも、剣族も、並獣族も、ティマルスの魔物ーー獣族も、みんな世界中で良い部分を仕事にしたら良いのに……」

「もしなったら良いと思うけど……あっ、街が見えてきました! 予定の通りに進んで来れたなら、フーリです……?」


 街が見えてきたはずなのに、あまり嬉しくなさそうな風にセレーナの声が萎んでいく。


「どうしたんですか?」

「街に煙が上がっているわーーここで降りましょう」


 そう言うとセレーナは日陰を見つけてそこで馬から降りる。続けて僕も降りた。


「戦闘状態の可能性もありますよね?」

「そうね。でも宿は取れなくとも、この子の食べ物だけは譲ってもらわないといけないから」


 馬を撫でながらそう言い、


「食べ物持ってくるからね。待っててね」


 鍋にその場で水を入れて目の前に置きながら言った。そうすると、何とも言えない鳴き声なような音を出して反応した。


「言っていることわかるんですか?」

「わからないけど、大伯が用意してくれた子だから。大人しいし、待ってくれると、信じているわ」

「わかりました。では行きましょう!」


 そうして僕達は、あちらこちらで煙が上がっているフーリに向かって走っていった。


「これは……」


 建物を何件か通り抜けると、その状態がわかってきた。岩が砕かれる音、金属がぶつかる音が聞こえてきて、中には鈍い音も……そして燃える音、人が叫ぶ声が聞こえてくる。そして破壊された建物、倒れている剣族、そして倒れている騎士。


「この規模は……黒死の悪魔だけではないですね」

「アムドカルド王国、多くの剣族が関わっているーーセレーナさん!」


 僕は後ろに退がることでその場から離れ、セレーナは透明な盾を張ってから退がる。見えないところから突然現れた剣族は、突然出てきた盾に驚いたのか、盾と手に持つ金属の棒がぶつかると、棒から手を離していた。しかしそんな使い方でも盾に亀裂を入れており、魔本により強化された剣族だと予想できた。


「くそっ! しくじった……!」


 そしてその剣族は馬かと思う速度で僕達から逃げ、あっという間に見えなくなった。


「これは……想像以上の力ね。話に聞いていなかったら加減して、割られていたかもしれないわ」

「それよりもさっきのやつ、どこから……?」


 さっき辺りを見回してもいなかったはずだ。そう考えるといつ来るのかと怖くなってくる。


(多分、あの壊れている建物の中か、奥からよ)


 そう言われてみてみると、壊れて屋根がない建物があった。確かに残っている壁の側で上手くしゃがんでいれば、一見わからなさそうだ。


「きっと隠れていたところから飛びかかってきたんだと思う。同じところにずっといるのは良くないわ」

「どっちに行きますか? 何を探せば……」

「まだ燃えてない宿屋を見つけられたら教えて。火が付いてなければ建物が壊れていても、馬小屋から干し草を見つけられるかもしれないから」

「わかりました」


 僕達は一先ず走り出す。足元に壊れた建物の煉瓦の欠片や武器が転がっているため、そっちにも気をつけないといけない。治療できるにしても、足を痛めると、その度に止まらなければならない。


「ここは住宅街ですかね……」


 見る限り宿屋は見当たらない。


「レノンくんあれ!」


 セレーナの声の方を見ると、鎧を着て剣を持つ騎士が戦っている。五人に囲まれており、近くに仲間と思われる騎士が横たわっている。よく見たくもないが、背中に赤い穴が開いている。


「行って良いですか?」


 僕は魔法の準備をしながらセレーナに聞く。


「私はリューナ騎士団医療隊の長、セレーナです。怪我をしている人を無視しません! 彼らを追い払って治療します!」

「ありがとうございますーー騎士に傘をお願いします……! では、花火弾!」


 僕がそう唱えて杖をかざすと、騎士の頭上に大きな火炎弾が浮かび上がる。


「な、何だ……!?」


 騎士はそれを見て慌てて逃げようとするも、現れていた透明な盾にぶつかって転倒する。


「火、火だ……!」

「あんなの見かけ倒しだ! 行けえええ!」


 胸当てを付け、盾と槍を持った剣族がそう言うもーー


(始まる!)


 そう言うと大きな火の玉の表面がバチバチと大きな音を立てながら弾け始める。弾けるごとに小さくなるが、そのときに同時にたくさんの火の粉を広い範囲に撒き散らす。


「炎がっ! 炎が降ってくるぞおおお!」

「あんな魔法見たことない! やり手のメイジスが出やがった!」

「お、お前ら! 剣王に報告するために一旦退くぞ! 金髪の緑ローブのチビにそれよりデカイ鎧の女だっ!」


 そう言って我先にと逃げていく。報告と言っても建前で、火が大量に舞っている場所から逃げたいだけなのだろう。


「くそ……どいつもこいつも見せかけの火の粉にビビりやがって!」

(効かないやつもいるのね……!)


 男は火の粉を浴びながらそう言う。実際その通りで、散らばっているために威力はいつも使っている火の魔法よりも全然低い。強化の魔法がかかっている剣族になど、油が跳ねたくらいにしか感じないだろう。

 それは手加減というよりも、範囲と派手さを追求した調整となっているのだ。突貫で作ったために出来栄えが悪く、綺麗ではないが、その方が有効だろう。


「アムドガルドはよおおお!」


 武装した剣族の男は、持っている巨大な岩の盾を持ち変え、まるで画用紙を投げるかのように僕に投げつけてきた。その勢いに驚きながらも僕はそれを躱し、手を前にして構える。


「俺達のものなんだよおおおおおお!」


 その後こっちに向かって駆け出した後飛び上がり、両手で槍を持ちながら僕に飛びかかってくる。


「させません!」


 セレーナが魔法を唱え、僕の目の前に先ほど使われていたのと同じように透明な盾が現れる。しかしその盾は今まで使っていた中でも一番固く、男の渾身の一撃ですら防いでみせた。


「ーー雷爪!」


 僕はその盾を回り込んで、ぶつかった反動で大きく仰け反っている男の身体に手をかざして、近距離で爪のように伸びる電撃を浴びせる。


「ぐあああああああっーー」


 男は叫び声をその場でぐったりとした。痺れていて若干動いているが、恐らく気絶しているのだと思いたい。

 男の武装を確認すると、金属の槍に金属の胸当てをしている。火も恐れなかったし、訓練している、或いは元兵士だったのかもしれない。


「何か入ってる……?」


 僕はそこに何か物の端が見えたので、引っ張って取り出してみる。


「これってーー魔本だ……!」

「大丈夫ですか!?」


 セレーナは倒れている騎士と、その男に声をかけている騎士の元へ駆け寄る。


(確かに助ける方が先よね)


 僕も賛成し、騎士の方に駆け寄る。その傷は既に癒えており、医長の実力を存分に発揮させていた。


「ああ……俺は助かった。こいつは生きているのか? 息しているんだよな!?」

「息はしていますし、もう傷も塞ぎました。寝かせていれば目を覚まします。大丈夫ですよ。運んであげてください」


 セレーナは、話している相手が南部の騎士なのにもかかわらず、笑顔でそう言った。


「何もしないのは恥だが、身につけるもの以外何も持っていない。すまない」

「では少しだけ話を聞かせてください。ラド、ラディウスという騎士の話をこのアムドガルドで聞きませんでしたか?」


 僕は騎士に聞く。


「そうだな……ここでは聞いてない。悪いな……」

「そうですか……あと、この街の宿屋ってどこにあるかわかりますか?」

「宿屋!? 有名なのはもう少し奥の方行けば見えるが、泊まれないと思うぞ?」

「それはわかっています。情報ありがとうございました!」

「ああ、とにかく。ありがとう。じゃあなーー」


 男はキョトンとしていたが、強化の魔法を使うくらいには魔力の余裕はあるらしい。騎士を背負って走っていった。


「では私達もーー」

「セレーナさん。これ見てください」


 僕はさきほど見つけた魔本を見せる。


「これが話に聞いていた魔本なの?」

「はい。これが先ほどの武装した男の胸当てに隠されていました。これが強化の魔法を放っていると思われます」

「ーーでは、壊しましょう。レノンくんは下がって」


 それに従い僕が下がると、セレーナは剣を抜いて魔本に突き刺した。その後すぐ僕達の前に盾を張ったが、何も起こることはなく、ボロボロと崩れ去った。


「これで魔本は消えたのでしょうか?」

「この魔本は、これで効力を失ったというのが正しいと思うわ。アムドガルド王国の存続の鍵だから一つしかなければ、黒死の悪魔、或いは剣王が持っているはずだもの」

「そうですねーー僕もそう思います。では、これは複写本ということですね」

「そうね。だからまだラクレーには、それどころかこの街にすらあるのかもしれない。だけど……」

「宿屋を探しましょう。目的を優先です」

「はい。そうですね」


 僕がそう言って、先ほど聞いた方へ歩き出す。セレーナもそれに続いた。


「あれじゃないですか?」


 僕は壊れた大きな建物を見つけ、看板らしきものの『や』の字を見つける。もし何とか屋の『や』だったらどうしようもないが、看板の上の方に書いてあるので、宿屋の最初の『や』だと思う。


「あっ、ありましたよセレーナさん! あれが馬小屋だと思います!」

「ありがとう! きっとここなら……!」


 そう言ってまずセレーナがその建物に入る。


「く、来るなああああ!」


 馬小屋の中に隠れていたのだろう。少し高めで頼りなさ気な男の声が聞こえる。この声はどこかで聞いたことがある。


「こ、これ以上来たらこの小屋ごと燃やしてやるぞ! 草がいっぱいあるから燃えるぞ……! お前達も道連れだあああああ!」

「攻撃はしませんよ! まずは落ち着いてください! 私達も騎士です!」


 セレーナも必死に説明しようとするが、どうすれば良いかわかっていないという感じだ。


「テイオンさんですよね? こちらの方は、セレーナ医長ですよ! もし怪我をしていたらすぐ治してくれます」

「……本当なのですか? あのセレーナ医長なんですか?」


 テイオンはその言葉を聞いて、セレーナの顔をまじまじと見つめる。


「え? ええ……確かにそうですけど…………騎士ですよね? 南部の……」

「お、おお! よく見たら後ろにいるのはレノンくんだ! ここで何しているの!? セレーナ医長が来たってことは、リューナ騎士が来たの? この街は救われるのか!」


 そう言ってさっきまで震えていたのに、今度は喜びのあまり跳ねている。


「知り合い?」

「はい。不思議な縁がありまして……」

「南部の騎士とも知り合いなんて、本当に不思議ね」


 セレーナはそれだけ言ってテイオンに向き直る。喧嘩別れだった気がするが、今は助かったこととセレーナに会えたことが嬉しくてそれはなしになっているらしい。


「……申し上げにくいのですが、リューナ騎士団はまだ来ません。でも必ず来ます。今私達にできるのは、あなたをこの街の外にお連れするくらいです」


 テイオンの手を取って落ち着いた声でそう伝える。


「わ、私はテイオンって言います! 逆タロで記事を見てからずっとお会いしたいと思っていました! アムドガルド伯爵が亡くなってしまって、今は緊急で雇われてフーリ子爵にお仕えしているのですが、こっちにも剣族が来てしまって……でも、お会いできて感激です!」

(この人、騎士なのに戦わなくて良いの? 役に立つのかわからないけど……)


 正直僕もそれは気になったが、今はそれを言っている場合ではないと思い、その言葉は飲み込んだ。


「セレーナさん。干し草ってこれで良いんですか?」


 僕は美味しくなさそうな草を指差して聞く。


「そうそれ。その台車に可能な限り詰めてもらって良い?」

「はい。わかりました!」


 セレーナがそう言って僕が干し草を詰め始めると、


「レノンくん……雰囲気が台無しだよ……」


 とテイオンが言っていた。正直この状況でそんなものを気にしている余裕はない。


「こんな感じですかね?」

「うん、それで大丈夫ーーテイオンさん。外までお連れするので、その台車を引いてくれませんか? 私と彼でしっかりお守りします」

「わ、わかりました……」


 どうしてこうなったとばかりに肩を落とすも、言われた通り台車を持ち上げる。そうすると、台車の上に透明な盾を出して蓋をする。


「では行きますよ? 全力で引いてもらって大丈夫ですから!」

「ではーー騎士テイオン、出陣します!」


 そう言って建物の外に出る。剣族の姿が見えるも、火炎砲を唱えて牽制し、上手く逃げ切る。その後も不意打ち含めてセレーナの盾で防ぎ、それでも追ってくる相手には僕の火の魔法で対応した。

 そして無事街から脱出し、その後も走り続けて、未だに待ち続けてくれた馬の元へ戻ってくる。


「お待たせ。待ったよね……食べて良いからね」


 セレーナはそう言って台車に乗せたまま餌を与える。


「そういえばテイオンさん。このアムドガルドに来てから守護騎士ラディウスの噂は聞きましたか?」


 僕はその間にテイオンに聞く。


「あっ、確かあの馬小屋に入るまでに、赤い鎧の騎士が暴れてうんたらって言ってたよ。それがあの有名なラディウスさんかはわからないけど……ちょっと前にラクレーに行ってたんじゃないかな?」

「どうしますか……?」


 僕はセレーナに聞く。本当はもう一度フーリに入って問題を解決したい。まだ魔本を持っている人がいると思っているからだ。


「……みんなのこと、救いたいけど…………」


 セレーナはそう言った。


「わかりました。ラドさんを助けに行きましょう。ラクレーに……!」


 僕がその言葉を代わりに補った。


「ありがとう。レノンくんーーテイオンさん。お願いがあります」

「はい! 何でしょうか!?」


 テイオンは緊張した顔で続く言葉を待つ。


「この馬に乗って、クフリーまで行ってはいただけないでしょうか? クフリーには北部のですが、騎士の拠点があります」

「で、ですが私は南部の騎士ですので……」


 セレーナは手拭いを取り出し、それにささっと何かを書く。今度は紙を取り出し、同じように書く。


「これ、サインです。これを見せれば取り入ってもらえると思うのですが……」


 先ほどの紙をテイオンに手渡しする。


「えっ!? ええええええ!? あのセレーナ医長からサインもらっちゃって良いんですか!? れ、レノンくんはもらったことある!?」

「いえ、僕は貰ったことないですね」


 変に見栄を張らずに素直に答える。


「サインなんて、滅多に書かないんですよ……慣れてないですが、これで、お願いできませんか? もし渡した紙が返ってこなかったときのためにこちらを……」


 今度は手拭いを渡す。


「サイン入り手拭い!? セレーナ医長が持っていたやつ……!」

「お願いできませんかね? この子、置いていくしかないんですよ……」


 セレーナの困った顔を見たテイオンは、


「ーーわかりました! 騎士テイオン、セレーナ医長の頼み事、必ずや果たしてみせます!」


 騎士らしく高々とそう答えた。


「ありがとうございます! では、よろしくお願いしますね!」

「はい!」


 テイオンはそう答えた。


「では、レノンくん。今まで近くまで運んでもらいましたが、ここからは馬はいません。ですが相手は馬よりも速い剣族です。それでもラドを連れ戻すために、ラクレーへ一緒に行ってくれますか?」

「はい!」


 僕も負けないくらいの声でそう答えた。


(やっぱり行くことに……仕方ない、もう覚悟を決めるしか……!)


 サキもようやくそう言い始めたようだった。


「では、行きましょう!」


 テイオンに一礼して別れると、そう言って歩き出した。

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