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天才魔女との憑依同盟  作者: アサオニシサル
序章 魔女との出会い
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2話 奇跡を振るう少年

「ぐわああああああああ!!」


 男の悲鳴を筆頭に、あちこちで大きな音が鳴る。驚いて目を開けると、刺さった氷柱が男の身体を貫き、その内の一本は胸を貫いていた。刺さった部分から血が吹き出し、周りを赤く染めながら倒れ込んだ。倒れると同時に今まで聞いたことなかった、聞きたくなかった音がした。


「殺したんだ……僕が、この手で……」


 その光景を見て、僕は改めて実感した。こうしなければ、僕も、村の皆もやられていた。頭ではわかっているけど、怖かった。手の震えを感じざるを得なかった。


(……行きましょう。村の人を助けるんでしょ?)


 僕は頷くと、動かなくなった男に背を向けて走り出す。


「熱い! 熱い! あああああああ!!」

「傷癒し!」


 僕は炎に焼かれている人を引っ張り出した後、治癒魔法を唱える。酷い火傷であったが、杖の力を借りた僕の魔法は、一瞬で消し去った。


(やったわ!)

「うん、でも今も炎に焼かれている人がきっとたくさん……一気にこの炎を消せないかな?」

(そうね。それに、これだけ多くの人がいるのに一人一人治癒魔法をかけるのはーー雨にでも混ぜて使えたら話は早いんだけど……)

「癒しの雨かーーやってみる!」


 これまでの僕になら出来ない難易度の魔法だ。だけど、今ならやってみる価値はある。人を癒す水を雨のように降らせるような、そのままだけどそんなイメージだろう。


「癒しの雨!」


 空から雨が降り注ぐ。しかし、身体に触れても痛みは和らがない。むしろ割と強く当たるため、痛いほどだった。


「失敗か……もう一度! うっ、ぐっ……!」


 身体が更に痛む。さっきも感じた内側から来る痛みだ。どうやら魔法を使うと身体が痛むらしい。


(痛い……? やっぱり強力な魔法はあなたの負担になるわ。雨は降らせたし、火事は収まるはずよ。だからーー)

「だけど……!」

(無理に使おうとしたら、負担が大き過ぎて雨自体が消えちゃうかも知れないわ。それだけはダメ。一人一人治癒していきましょう。それでも、諦めないんでしょ?)

「……うん、諦めないよ」


 僕は次に怪我をしている人を探すために周囲を見渡す。


「ーーおい……レノン? レノンだよな?」


 先程治癒魔法をかけた人から声がする。


「はい、レノンです。大丈夫ですか?」

「あ、あぁ……ありがとう……! だけどお前、目が赤く……? これ、どうなっているんだ!?」

「えっ? そうですか?」


 視界に変化はないし、目が赤くなっていることは気づいてなかった。


「僕にもわかりません。でも、今の僕に出来る事をやってきます」

「そうか……わかった。ありがとな。まだ待っている人はいる。引き止めてごめんな」

「では、いきますねーー」


 僕はそう言うと、次の人へと向かう。


(目が赤くなっているのは、私の魔力を使えている証拠だと思うわ。私もそうだったから)

「そうなの? 確かにサキの目は光っていたもんね」


 話しながらも次の人へと向かう。その人は既に息をしておらず、外見からでは誰だかわからない姿へと変わり果てていた。


「くっ……」

(……レノン)

「わかってるよ。でも、誰かもわからないんだ……もしかしたら、これが、母さんかも知れないし……」


 真っ先に探し出したかった人、僕の唯一の親族。この人じゃないと信じたい。でも、そうじゃなくとも無事かどうか……


(一々止まらないで、前に進みなさい。後悔するわよ)

「……そうだよね」


 そう言っている彼女だってこんなのを見せられて何も感じずにいられるわけがない。それでも同情ではなく、激励をかけてくれているんだ。救えたかもしれない人を救えない事がないようにーー

 目に見える範囲に居た人は一通り助けた。村の奥の方にも助けを待っている人がいるはずだ。


「準備!」


 僕は強化の魔法を唱え、走りだした。これなら、より速く走れる。


(あの人の事もショックだったけど、その……黒ローブの男を……手にかけたの、大丈夫だった? もしかしたら仲間がまだいるかもしれないし……)


 走ってる途中、心配そうに聞いてきた。


「大丈夫……ではないけど、この村のみんなを守りたいから。もう立ち止まらないようにするよ。情けなくてごめん……」

(いいえ、どんなに優れた騎士ーーたとえ守護騎士になった人でも、最初から人を殺し慣れているなんてことはない。だから情けなくなんかないわ)

「うん、ありがとう」


 僕は倒れている人を見つけると、立ち止まる。女の人だ。顔は見えないけど、この服は、もしかしたらーー


「母さん!?」


 僕は駆け寄ってその人の顔を見る。息はしている、しているがーー


(酷い怪我……! 火傷の怪我だけじゃなくて……)

「痣……叩きつけられたような怪我に切り傷ーー傷癒し!」


 僕は治癒魔法を唱え、その傷を癒す。これで、大丈夫なのだろうか。不安になる。


(上手よ。傷も治ってーーレノン! 後ろに盾を!)

「えっ!? 障壁!」


 サキに言われた通り盾を作る。風の刃が飛んできて、盾とぶつかり大きな音を立てる。少し離れたところに男がいた。剣を持っている。先ほどの男と同じ服装だ。


「チッ……! 失敗したか……お前、そこらと様子が違うな。今そいつに、何をしようとしたんだ?」

「何をって……助けているんだ! この村の人を!」

「助ける? 村のガキが治癒魔法……それにあの傷を治す程だと?」

「お前達がこの村に火をつけたのか? そしてこの人をーー僕の母さんをあんな酷い目に遭わせたのか!」

「お前の母親? いや、誰でも良いが、とんでもなく弱かったぜ? 無駄に盾を広げて全員を逃がそうとして、結局自分を守れなかった大馬鹿者だ。人望がありそうだから殺さずに転がしといていたら、案の定獲物が釣れたってわけだ」


 僕が問いかけると、その男は薄笑いを浮かべながら面白そうに語った。


「もう良い。さっきお前の仲間を殺した。お前も同じ目に遭う覚悟は出来ているんだろうな?」


 僕はそう尋ねると、杖を構える。


「ほほう。例の杖と思わしき物も持っている。急に雨を降らせたのもあんたか?」


 男は答えぬままこちらに質問を返してきた。


「お前に構っている暇はない……! 僕はただ、お前を殺す!」

「ハハハハハ! 答えてくれよな。まあ良いがーーこっちは会話なんてしなくとも用があるって決まったんだからな!」


 男は手を構える。あれは魔法を使う準備だ。するとすぐに、僕の足元に大きな魔法陣が現れた。


「こいつも、上級魔法を……!」

(落ち着いて。一旦距離を取って)


 サキに言われて素早くその場から離れる。直後に魔法陣の範囲に激しい風の渦が起きた。


「あまり戦場を広くしすぎると巻き込まれる人が出るぞ? その女とかーーまあ俺にとっちゃあむしろ好都合だけどなぁ!」


 男はそう言って手を構え、更に魔法を使う。竜巻の傍から二発の氷の弾が追ってくる。


(どっちかに寄って盾を出して二つとも氷を防いで。そしたら魔力を強化に回して竜巻に突っ込んで)


 サキがそう指示を出す。僕はそれに従って右に跳ぶ。氷弾が目の前に迫る。


「障壁!」


 土と瓦礫で盾を作り、氷弾を防ぐ。氷弾は砕け、続いて当たった氷弾も砕けた。


「魔力を強化に回す――準備!」


 再び魔法を唱えて強化の魔法に使う魔力を増やす。身体が更に強化されるのを感じる。


(突っ込んで、そのまま――)


 勢いをつけて竜巻に突っ込む。強化された身体は風の刃で傷つくことはない。風により動きを止められることもない。竜巻を抜けた先、男の姿が見える。


「な、なんだと……? あの竜巻をそのまま突き抜けてきたとでもいうのか!?」


 焦った男の声がする。僕から逃れようと足を後ろに持っていこうとしているのが見えた。


「突き刺す!」


 赤い宝玉とは逆の部分ーー杖の柄の先端を男に向かって突き出す。透明な壁が男の身を守っていたが、それを突き破り、なお勢いが衰えることなく、男の胸元を突き刺した。


「があああああああ!!」


 初めてでなくとも聞き慣れない断末魔と、共に吹き出す血を浴びる。


(よくわかったわね。上出来よ)

「……うん。ありがとう」


 声が止んだのを確認して杖を抜こうとしたが、その途端に重くなって動きを止める。


「まだだ……それは陛下のものだぞ……! 勝手に使うやつを生かしておくわけにはいかねぇ……!」

(まだ杖を掴むだけの力が残っているなんて、ズレたのかしら)


 その言葉を聞いて僕は、それならと再び突き刺そうと力を込める。


「この世界に実在する神の顕現を、永遠に誇り高き我らが帝国を……」


 男がいきなりそう呟き始めると、男の胸元が突然光り出した。


(……ダメ! あなた達の身を守って!)

「我らが帝国に栄光あれ! 偉大なる陛下に栄光あれえええ!!」


 倒れている母さんの元まで離れ、僕が障壁を唱えた瞬間に男の叫び声がする。すぐ後にそれさえかき消す勢いで地面を抉る轟音がした。杖の魔力を使ったこの盾ごと吹き飛ばされそうだと感じる程の衝撃が僕に押し寄せてきた。


「ぐううっ……! な、なんだこれ……!」

(良いからもっと魔力を込めて!)


 言われた通り杖を更に強く握って魔力を込め、目を閉じて耐える。やがて音も衝撃もなくなり、周りを見渡す。周りのものすら吹き飛んで、その場に居るのは、僕と母さん、そしてこの盾だけだった。


「あ、あいつはどこに……?」

(多分吹き飛んだわ)

「それは……逃げたって事?」

(辺りの建物がないのを見ればそんなの……ってそうじゃないわね)


 サキはそう言った後、僕が理解出来ない部分を悟ったのか言い直した。


(あいつはここで死ぬ可能性があるとわかってて、自爆する手段を咄嗟に出せるように準備してから、ここに来ていたって事よ)

「そんな……死んだらおしまいなのに……誰かを庇うわけでもないのに……」

(私にもわからない。そんな事今考えても仕方ないでしょ?)

「うん。同じ事をさせないためにも急がなきゃ」


 そう心を切り替えて歩き出そうとした。その瞬間――

 目の前の空間が歪み始め、そこに大きな扉が現れた。


「こ、今度は一体何が起こっているんだ……!?」


 目の前の現象が理解できず、思わず口に出す。これは魔法なのだろうか。こんな魔法は見た事ーーそれどころか聞いた事も読んだ事もない。しかし経験の外、本能が告げている。あれは関わると危険だと、そう、告げている。


(そ、そんな…………)


 サキは目の前の現象を見たせいかそれだけ呟いて黙ってしまった。そして少し沈黙が流れた後、口を開いた。


(レノン……選びなさい。ここで死ぬ覚悟を決めて村を守るか、ここから今すぐ逃げるか。守りきれるかわからないし、逃げ延びることが出来るはわからないけど)


 死ぬ気で村を守るか、全力で逃げるかどちらかを選べ。

 サキは確かにそう言った。今何が起きているのか、これから何が起こるのか。僕には全くわからなかった。


「ど、どうすれば……?」

(……悪魔って言って伝わるのかしら?)

「それって……心の内に潜んでいて、心を乗っ取るって言われるあれだよね? 本当に、いるの……?」


 これも本でなら読んだ事はあるが、目に見えるものではないため、正直言うと信じ難い。


(それはわからないわ。だって悪魔と呼ばれていても、人の姿をしているのしか私は見た事ないから。元の意味の悪魔が本当にいるかどうかは置いておいて、悪魔に魅せられたように悪い事をして、国を脅かすまでの存在をそう呼ぶの。人として認められないくらいの犯罪者。帝国から討伐依頼が出される程の……ね)

「詳しいんだね」

(前に悪魔狩りに参加した事があるってだけよ)


 とにもかくにも問答無用で即討伐対象ーーそれなのにまだ生きているという事は相当な強さなのだろう。


「でも、たとえどんな強いやつが来ても、僕はこの村を守るために戦うよ。それに、サキも言ってた通り、この力があれば負ける事なんてないよ」


 僕がどうするかなんて決まっている。何が起きようともこの村を助けるという決心をしたんだ。この村を脅かすなら誰だろうと容赦はしない。


(…………わかったわ。せめて上手く立ち回りましょう)


 彼女が言い終わるとほぼ同時に扉が開き、姿を現した。装飾はないが頑丈そうな鎧に全身が覆われ、肌は見えない。そして周りに八つの金属の球体を浮かべている。


「強者よ。では、始めようか」


 姿を現わすと同時にその鎧は、そう言いだした。声、鎧の大きさから察するに、中には大柄な男が入っているらしい。


「強者……? 始めるって何を……?」

(戦いよ。しかも今回はやけに準備万端じゃない……!)

「こいつの事、知ってるの?」

(ええ。この男の名前はアゲート。悪魔としては、狂戦の悪魔……だっけ? そんな感じのやつーー願わずとも向こうから会いに来たことがあってね。今回も恐らくその時と同じで、私の大きな魔力を察知してきたのよ)

「魔力察知……でもそれなら今度も返り討ちだ……!」

(本当に守るつもりなら、戦って……!)


 つまり敵だって事だ。それに会った事があるなら撃退出来ている。それだけわかれば十分だ。詳しいことは後で聞けばいい。今は――


「お前もさっきのやつらと手を組んでるのか? どうなんだ! 答えろ!」


 僕は怒りに任せて叫ぶ。アゲートはそれを聞き、笑いだした。


(レノン! それは――)

「フハハハハハハハ! そんな事はどうでも良かろう! 強者が現れたのであれば我は戦う。それだけだ……そして我は、この地にて理想を果たすのだ!」


 重厚で感情のない印象を与える全身鎧の内側から、高らかな笑い声を上げ、その後そう言った。戦いたいというだけで、わざわざここまでやってきたというのなら迷惑なやつだ。通り名の通り狂っている。どうであれこの村を荒らすのは、許さない。


「そのために! 貴様には協力してもらわねばならぬ! 強者と呼べる者が絶滅してゆく中現れた真の強者にーー」

「風刃!」


 いつまでも話を止めない狂者に向けて杖を振って、風の刃を三つ放った。

 空気を切り裂く巨大な刃の前に、金属の球体の一つが飛び出し、それが一気に広がり盾となる。一発二発と防がれたが、三発目で盾を突き破るとやつの兜に当たり、それを砕いてみせた。


「なんとたかが風の刃で我が盾を……しかもいきなりそちらから…………」


 砕けた兜の隙間から灰色の瞳を覗かせた男は驚いたように言った。


「いつまでも喋ってるなよ……僕は加減しないぞ!」

「ククククク……ハハ、ハハハハハ!!」

「風刃! 何が……おかしいんだよ!」


 今度は一つに魔力を集中させた風の刃を放ちながら問う。攻撃を受け、しかも盾を破られているのに笑っている余裕があるというのか。


「強者に相応しき剣をこの手に!」


 そう叫ぶと球体の一つがアゲートの手元に飛び、掴むと剣となる。その剣で風の刃を両断した。


「何っ……!?」


 今のは何だ。かけ声か。とにかくあの金属の球体がやつの盾であり、剣らしい。


「これほどの強者が、こんなにも我との戦いを望んでいるとは! 最強の騎士も、魔女も失った世界だが、まだ捨てたものでもないな!」

「望んでなどいるものか! さっさとこの村から出て行けよ!」

「ーーそちらから来ないならこちらから仕掛けるぞ……その業火で地獄を再現せよ」


 先程とは一転、低い声でアゲートが呟くと、地面に魔法陣が一つ描かれ、その付近に同じような魔法陣がいくつも描かれた。そこから炎が何本も噴き出してくる。

 まただ。今ので魔法を唱えたのだろうか。だが、悠長に考えている暇はない。サキの言う通りでさっきの二人とは比べ物にならないほど強大な魔法を使ってくる。


「話が通じないやつめ!」

(今すぐ時間を止めて! さっきのをイメージして!!)


 サキが叫ぶ。焦っている暇も驚いている暇もない。サキの声を聞いて時間が止まった世界をイメージする。違和感しかなかった止まっている異空間を――


「止まれーーがはっ……!」


 全身が激痛に包まれ、口から少し血を吐いた。それでも何とか時間は止められたみたいだ。アゲートの方を向く。


(長くはもたないわ! 先に火を消して!)


 それを聞いた僕は向き直り、止まった火柱を見る。先程まで使っていた氷柱程度では消さなそうだ。


「水……水…………滝!」


 降らせていた雨を止ませ、止まった火柱の上に魔法陣を出し、そこから勢い良く大量の水を流し込む。遂に体の悲鳴が形として現れ、腕からは血が滴り落ちる。


「上級、魔法……安定は……しな……ぐっ……!」


 その痛みで意識が持ってかれそうになる。すると止めていた時間が勝手に動き出した。

 火柱の上から水をぶつけて相殺したが、直後にこっちの魔法陣が自壊する。しかし辛うじて出した落水でその下の火柱を出す魔法陣を壊すことに成功した。

 どこも燃え移ることなく地面の穴と黒くなった跡だけが残る。


(大丈夫!? 気を確かに持って!)

「うぐっ……! はぁ……だ、大丈夫だ…………」


 サキの声で何とか意識を飛ばさずに保つ。


「何と一瞬で! いや、もしやこれは時を止める魔法なのか? ふむ……ではこの強者は魔女だ! 姿形は違えど、この魔力は我が求めた魔女! 我をも含む全ての生物が恐るるに足る存在である! 我が想像を超越する!」


 消えた火を見てアゲートはそう叫ぶ。随分と余裕があるように見える。


「言ってろ! 次はお前を仕留めてーー」

(逃げて!!)


 サキの悲鳴が聞こえた。次の瞬間――


「見くびるな。我も強者を見くびらぬ」


 気づいたときには距離を詰められていた。目の前にいたアゲートの剣が、強化したはずの僕の身体を易々と貫いていた。


「ーーな、何が…………?」

(レノン……? レノン! ねぇお願い……! 答えて! 目を閉じないで!)


 サキの悲鳴が聞こえる。一瞬の出来事のため、僕はどうしてこうなったのかを理解する事ができなかった。

 最後に刺した本人の顔が目に映った。口角が上がっていて、とても嬉しそうな顔をしていた。


「さぁ、ここからだ。如何にする、強者よーー」


 文字のままに身を貫く痛みを感じる中、その言葉を聞いた。しかし、僕にとってはこれまでだった。

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