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妖魔皇女と三十路男  作者: 饗
3/5

どういうことだ

隆一自身が呼び出すため木製の扉を叩いたのに、いざこの奇妙な家から人間が出迎えてくれるとなると

不安にしかならない

少し警戒しながら扉を開けた人物を見ると、魔法学校を描いた映画に出てくる人物たちが着る

身に黒いローブをまとった人間が立っている


「お待たせ致しました隆一様、皇女がお待ちです」


意味がわからない、見たこともない土地の家の、人間かどうかも怪しい人物に自分の名前を知られていて、そのうえ皇女が待っているという意味の分からない事を言っているのだ

大体皇女がなぜここにいるかもわからない、皇族の人間であればこんな所にいるべきではないだろう

日本人にはわかるだろう、皇族が辺鄙な地に多くの警備員もなく暮らしている違和感が


「なんで俺の名前を知っているんですか?それに皇女って何です?」


「貴方の名前を知っているのは私ではなく皇女様です。

皇女とは妖魔皇女殿下でございます。

その皇女様からの命令により貴方をお出迎えに参ったのでございます。」


「その言葉を信じてついて来いと?ついていかずに他の場所に移動することだってできると

思いませんか?」


「私は皇女様からの命令によりお迎えに上がったまでです、それに隆一様がここから離れ別の場所に行くことは恐らく不可能だとは思われます」


「それはどうしてですか?」


「それはこの土地、この家、私が見えること自体がおかしい事だからでございます。」


ローブの男が嘘をついているかもしれない、今さっき玄関先から車の方向を見たときには

確かにこの周囲に別の町があるようには思えなかったが車でかなりの距離を走れば見つかる可能性はある

ただ何もなかった場合ガソリンの無駄だし車体も道が悪ければ壊れる


ローブの男が言うように本当にこの土地や家が別物だとしたらおそらくどこに行っても街はないのだろう、皇女さまと言われる人に何か手がかりを聞くしかないのかとも思う

もういっそ開き直ったほうがいいのかと思う


「簡単に言えば私はこの空間に閉じ込められているって事ですか?」


「平たく言えばそのような話になります。 ただ私は詳細を聞いているわけではございません

全ては皇女殿下のご指示でございますので」


何を言っても隆一の行く先は皇女殿下が握っているのだ

行ってダメならしかたない、ただどんな事があっても生き延びたいのだ

無駄に死にたくない


「わかりました、皇女殿下にお会いします」


「かしこまりました、皇女殿下もお喜びになるでしょう

皇女殿下は隆一様に会えることを楽しみにしておられます」


その妖魔皇女殿下は一体何者なんだろう、そんなに会いたいなら自分から

玄関先にでてくればいいじゃないか、出られない理由が何かあるのか?

この土地や家が見えるのが異常っていうのはどういうことだ?

この世界の住民はここが見えないのか?じゃあなんで俺だけがここに連れてこられた?

なんで俺と会えることが皇女殿下とって嬉しいんだ?


そんなことを考えながらローブの男の前に近づく


「隆一様こちらでございます」


ローブの男の後を腕を伸ばした分だけ距離を取りついていく、隆一なりの警戒だ

玄関に入ると、木を基調にしたクラシカルな基調で広いエントランスに入る正面左右には通路があり

割と大き目な家ということがわかる2階に行くにも左右に半月状で階段がある


日本に居たときにシェアハウスして暮らそうとしていた家賃8万折半で一人4万のアパート

とは比べ物にならない豪邸である


ローブの男は通路がある方向ではなく階段の裏に隠し扉がありそこを開けた

この土地や家が見える人もそういるはずないのになぜここまで警戒するんだろうか


「これって隠し扉じゃないんです?」


「さようでございます」


「なぜこんな場所に?」


「皇女殿下が決められたこともありますが一応警戒のためでございます」


「警戒ねぇ…」


俺を入れている時点で警戒もあったもんじゃないと思うのだが…


扉を開けると螺旋階段があったので降りながら会話をする


「貴方は皇女殿下の執事とかなんです?」


「その通りです ただ私は最近皇女殿下の下で働き始めましたので

日は浅いのです」

「隆一様が私を警戒しているのはわかっております。ですがご安心くださいといっても

それは難しいでしょうけれども」


その通りだ、でも特に危険な感じがあるわけではなかった

下りの階段で先に歩いてくれているのであればいつでも逃げられる特に今は不安ではないが

下に降りてから多く敵対者が居れば話は違う、下に到着したら様子を見なければ


螺旋階段の降り切って少し歩くと金の扉が姿を現す

純金なのかメッキなのかちょっと気になってしまった隆一だがローブの男に意識を戻す


ローブの男は金の扉を不定期な感覚でノックし5秒ほど時間を置いてドアノブに手をかけて回す

そうすると小さい部屋が現れた。

ローブの男は金の扉を開けたまま

「隆一様到着致しました。小部屋の奥 そこの扉の奥が皇女殿下のお部屋でございます

ノックを4回 時間を置いてお入りください」


ここからさきはローブの男は入らない様だ

ローブの男がドアノブにかけている手と反対側の手がどこにあるかを確認し

少し急ぎ目に小部屋に入る


「わかった、あなたはこないのですか?」


「野暮な事です。では」


「はぁ…」


なんかよくわからなかったが、小部屋に入るとローブの男は扉を閉めた


どうせ閉じ込められたと思いドアノブを回すと扉は開いたが

扉の前にローブの男は居なかった。





















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