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妖魔皇女と三十路男  作者: 饗
2/5

どこだここ

高速道路の料金を気味の悪いばあさんに支払い料金所を抜けたはずだった

料金所を抜けれてあと10分ほど車を走らせることができていれば、会社を先に辞めた同僚との

シェアハウスが、自由が、待っているはずだった


なのに今、隆一が車に乗っている場所はコンクリート道路ではなく土でできた道の上であるし

その道の両横には短く太陽が差しているためか輝いている芝生が一面に広がり、道は緩やかな登りの傾斜になっており頂上には家が建っている、そしてその周りには大木が生い茂っておりその奥は森が広がっている様に見えた


「なんなんだよ…」


一言悪態を発し、フロントガラスからの景色を眺める間違いなく日本ではないのだ

そりゃそうだ高速道路のインターチェンジを抜けた瞬間この意味不明なド田舎に居る

日本な訳が無いし日本であってもらってはたまったもんじゃない

田舎が嫌で上京して、仕事をしていたが退職し、ちょっとニートでもするかと思ったがこのありさまである


何もない地元の田舎に逆戻りしたような感覚だ


そんなことを考えて数分後、車を降りようと隆一は考えた

日本ではない以上、気温や湿度、土や芝生の感触、日差しの感じを確かめておいたほうが良いだろう

車に乗っている状態での太陽の日差しは、退職した日の日差し程強くは感じない

すでにエンジンは切ってあるが社内の気温が異常な熱を持たないので真夏の暑さではなさそうだ

感覚的には秋ごろの早朝だろうか、外気温と車内の温度は全く別物なので参考になりそうにない


車のドアを開けると外の暑さは隆一にとってちょうどよい気温か少し暑いくらいだ

ハンドルを持ちながら足を地面に着くが、特に異常は見られない

沼みたいに埋まるかとも思ったがさすがにそれはなかった


「いやぁ、これどうすればいいんだろう…

何も持ってないんだよなぁ…」


本当に何もないのだ、あってもここでは役立たないもの 携帯電話や身分証、指輪、モバイルバッテリーに

あって役に立つのは飲みかけの2Lの水があるだけで

こんな土地に来てほしいものは大量の食べ物、大量の水、あとは武器だろうか、あと防寒できる服

だろうか、みすみすよくわからないやつに殺されたり食われたくはないのだから


「取り合えずあの家に行くしかないか、RPGかよ…」


日本のRPGゲームを思い出していた。

日本のRPGはまず最初に行き先を決められていることが多い

そこからまた物語はスタートするのだ


車に再度乗車してエンジンを始動し、坂の上の家まで遅い速度で移動する

目的地まではすぐに到着した、目に見える距離だったので当然と言えば当然なのだが


大きな石を積み重ねて固めたような外壁と、瓦のようなもので屋根はできており

煙突のようなものも見える、まさに典型的な魔女の家というか小説や漫画で出てきそうな家で

大きさはかなり大きいと思う

東京の一等地やはずれでもこのような大きさの家は買えないだろう金額がとんでもないことになりそうだ


玄関先が広いためそこに車を止めて下車をする

車から降りたからといって先ほどと同じで特に車や自分自身の身体に異常はない


家の扉の前までゆっくりと歩き、まずドアの正面に立たないようにして

手だけを木の扉の前に出すようにしてノックをする

扉も割と新し目に感じる、新築とまではいかないが最近建てられたものだろうか


「どなたかいらっしゃいませんか?」


返事が返ってくることはなく、家の中から足音がすることもない全くの無音

何も音がしないのでもうもう一度ノックをする

少し力を入れて叩く


「すいません どなたかいらっしゃいませんか?」


やはり誰も出てこない、勝手に扉を開けるのも考えたが何かあったら嫌なのでやめておいた

一度車に戻り待機しようと思い扉のそばから離れようと歩き出した瞬間

扉の開く音が聞こえ、そのすぐあとに


「お待たせしてもうしわけありません」

と一言声を掛けられる


扉が開く前に足音が聞こえなかった、不思議でしょうがない

振り返りざまに隆一は少し両手を胸元に上げ、身構えていた


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