表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/62

クレープ

翌日は快晴であった。昨日の雨雲は完全にどこかへ行ってしまい、空一面に広がる青空が見える。洗濯物もよく乾きそうである。二人は朝ご飯を食べた後、買い物に出かけた。

「今日は何を買いに来たの?」

「えっと……食材と日用品ですね」彼女はメモを見ながら答えてくれた。

「そっか……」

「はい、それと服とか色々ですね」

「分かったよ。じゃあ、行こっか」

彼女は右手を重ねてきた。私は彼女の手を握り返した。

「はい……!」

彼女もぎゅっとしてきてくれる。

「えへへ……」

私は嬉しくなってつい笑みを浮かべてしまった。


それからしばらく歩いていた時だった。

「あっ……!」

彼女が突然立ち止まったので、私もつられて足を止めてしまった。

「どうしたの?」

「あの……あれって……」

彼女の視線の先にはクレープ屋さんがあった。

「ああ、あそこのお店ね。行ってみる?お金は私が出すからさ」

「はい、行きたいです!」

私たちは列に並んだ。しばらくして順番が来たので注文をする。

「すみませーん。イチゴチョコバナナ生クリーム二つお願いします」

「はい、かしこましました。少々お待ちください」

店員は奥に入っていった。

「楽しみだね」

「はい」

しばらく待っていると、頼んだものが出てきた。

「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」

「ありがとうございます」

私たちは席に座って食べ始めることにした。

「美味しいですね」

「うん、そうだね」

会話をしながら食べた。そして半分くらいまで来たところで、彼女が口を開いた。

「そういえば、昨日の夜に変な夢を見たんです」

「どんな夢?」

「それが……」

桜が話し始めた内容は、私が見た夢の内容と同じだった。

「なるほど……」

「だからなのか、今日の朝起きた時に不安な気持ちになったんですよね……」

「そうだったんだ……」

「はい……」

「でもさ、夢の中でその男と別れちゃったんでしょ?」

「そうですね……」

「なら大丈夫だよ。だって、今こうして一緒にいるじゃん」

詩夜葉は笑顔で言った。

「そうですよね……」

彼女は安心したような表情をした。


家に帰ってから夕飯の準備を始める。今日はハンバーグを作る予定だ。

(よし……。あとは焼くだけかな)

ちょうどいいタイミングで焼き上がった。

「いただきます」

「はい、召し上がれ」

二人で食べる。

「今日もいい出来ですね。とっても美味しいです」

彼女は満足そうにしていた。

「ありがとう。そう言ってくれて良かったよ」

「いえいえ、こちらこそ本当に感謝しています」

二人は食事を終えて、食器の後片付けをした。その後お風呂に入り、寝るまでの時間を過ごす。

「ねえ、何か面白い本とか無い?」

彼女に聞いてみる。「えっと……ちょっと待っていてください」

彼女は部屋から出て行った。少しすると一冊の本を持ってきた。

「これなんかどうですか?」

「どれどれ……」

タイトルは『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』だった。

「こ、これは……」

詩夜葉は動揺してしまった。

「えへへ……」

彼女は照れ臭そうにしている。

「ど、どうしてこれを……?」

恐る恐る聞いてみた。

「実は、昨日読んだんです」

「えっ……?も、もう読んじゃったの?」

「はい!面白かったですよ!」

とても嬉しそうな様子だ。

「そっか……」

詩夜葉はまだドキドキしている。まさか彼女がこんなものを読んでいたとは……

「あの、どうしました?」

彼女が心配そうに尋ねてきた。

「いや、何でもないよ」

私は平静を装って答えた。

「そうですか?なら良いのですが……」

彼女は不思議そうな表情をしている。

(何だろう……。このモヤモヤする感じは……。やっぱり、この本のせいなのか……?)

詩夜葉は悶々としながら夜を過ごした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ