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オムライス

玄関の扉を開けた。

「おかえりなさい」

桜が出迎えてくれた。

「今日は遅かったですね」

「うん。ちょっといろいろあってさ」

「とても険しい顔になっています」

「……気のせいじゃない?」

「うそよ!私にはわかるもん!」

の目は真剣そのもの。嘘をつくわけにもいかないようだ。

「分かった。話すよ」

詩夜葉は観念し、無駄な会議のことを全て打ち明けることにした。

「そんなことがあったんだ……」


「いやー、今日は疲れたなぁ……ほんとにお腹減ったよぉ」

「お待たせ致しました」

詩夜葉の前にオムライスが置かれた。

「わっ!すごいおいしそう……いただきまーす!」

「ふふ、召し上がれ」私はスプーンを使って食べ始める。

「うっめぇ……!」

「ありがとうございます」

彼女は嬉しそうに笑った。

「ほんとにうまいよ。毎日食べたいくらいだ」

「えへへ……ありがとうございます」

「でもさ、桜って凄いよね。こんな美味しいの作れるんだから」

「そんな事ないですよ。それに、詩夜葉さんの作る料理の方がもっと好きです」

「えっ!?? いやいや、それは褒めすぎだって……」

「そんな事はありません。詩夜葉さんは私の憧れなんですから」

「い、いきなり何を言い出すかと思ったら……」

「本当の事です」

「はい……」

「詩夜葉さんは私にとって理想の女性像なんですよ」

「い、いや……照れるからあんまり言わないで……」

「どうしてですか?」

「だってさ……なんか恥ずかしいし……」

「そうですか?私としては思った事を言っているだけなのですが」

「うーん、まあいいか……」

「はい、そうですね」

「まあとにかくさ、これからも美味しいご飯作ってね」

「はい、任せて下さい」

そう言って彼女は笑った。その笑顔を見て私もつられて笑う。

「あ、あの……」

「ん?どうしたの?」

「もしよろしかったら、一緒にお風呂に入りませんか?」

「……はい?」

「だから、一緒のお風呂に入って欲しいんです」

「ちょ、ちょっと待って。それどういう意味?」

「そのままの意味ですが?」

「いやいや、おかしいから。なんで急にお風呂とか言い出したの?」

「詩夜葉さんと一緒に入りたいからです」

「い、いやいやいや、どうしてそうなるの?」

「ダメでしょうか?」

「あっ、そうだ。忘れないうちに渡しておくものがあったんだ」

詩夜葉は思い出したように言った。

「はい、何でしょう?」

「これ、通帳とキャッシュカードね。お金は毎月振り込んでおくから」

「分かりました。では、ありがたく使わせて頂きますね」

「うん、そうしてくれると助かるよ」


「お疲れ様です」

彼女が労ってくれた。

「ありがとう。桜こそいつも家事してくれてるんだから、疲れたでしょ?」

「そんな事ありませんよ」そう言いながら微笑んでくれた。

「そう?なら良かったけど」

「はい、心配しなくても平気ですよ」

「まあ、何かあったらすぐに言ってね」

「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫なので安心してください」

「そっか……じゃあ、おやすみ」

「はい、お休みなさい」

私は布団に入った。すると彼女は電気を消してくれた。

「ありがとう。桜」

「いえ、これくらい当然の事です」

「これからはもっと甘えていいんだよ?」

「で、でも……」

「遠慮しないの」

「はい……」

「よし、それじゃあ寝ようか」

「はい、分かりました……」

「じゃあ、おやすみ」

「はい……」


詩夜葉は眠りについた。夢を見た。彼女が他の男と一緒にいる光景を……。

「なにこれ……」

私は起き上がった。

「うなされていましだが、どうかしました?」

桜が声をかけてきた。

「いや、ちょっと変な夢見ちゃったみたいで」

「そうですか……。どんな内容でした?」

「それがね……」

夢の事を話し始めた。

「なるほど……」

「で、その男が桜に似てたんだよ」

「えぇ!?私にですか?」

「そう。それで、私は嫉妬してて……」

「ふむふむ」

「で、結局は別れてしまうんだけど……」

「そうだったんですね……」

「うん……。でも、こんなの夢の話だし、気にする必要なんて無いんだろうけどね」

「いえ、そんな事はありませんよ」

桜が真剣な表情をしていた。

「えっ?」

「これは私の考えですから、聞き流してもらって構わないのですが……」

「うん」

「実は私も同じような経験をしたことがあります」

「そうなんだ……。一体誰と?」

「それは言えません」

彼女は首を横に振った。

「そっか……。ちなみにさ、その時はどうやって乗り越えたの?」

「そうですね……。まずは相手の話をちゃんと聞いてあげることですかね」

「相手ってことは、桜はその人と別れたんだ?」

「はい、そうです。そして次に自分から謝りに行きましたね」

「そっか……。もし何かあったらすぐに相談するんだからね」

「はい、ありがとうございます。では、そろそろ寝ましょうか」

「そうだね……。じゃあ、おやすみ」

「はい。おやすみなさい」

桜も大変な思いをしてきたのか……。なら、支えになってあげないと。改めて心に誓った。


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