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大丈夫の質問は無視

「大丈夫か」という質問は相手に責任を押しつける魔法の言葉であり、相手を追い詰める呪いの言葉である。「大丈夫?」という質問は相手を追い込んで、自分にとって有利な答えを引き出そうとする卑劣な言葉である。「大丈夫ですか」と尋ねることは相手の逃げ道を塞ぐことである。


「大丈夫?」と尋ねることが無礼と思わない人もいる。しかし、それは無知なだけである。無神経なだけである。無能なだけである。「大丈夫?大丈夫じゃないの?」としつこく聞いてくることは鬱陶しい。日本社会の駄目なところは「大丈夫ですか?」と尋ねて相手を怒らせたらどうしよう、と考える人が少ないことである。


阿久井真『青のオーケストラ 2』(小学館、2017年)では中学生時代のイジメ問題が描かれる。「大丈夫?」と聞くことが誤りである。無理やり相手から「大丈夫」と答えさせて、聞いた側は安心したい、本人が大丈夫と言っているとアリバイにしたいだけになってしまう。本当に大丈夫なのか、本当は大丈夫ではないのか、相手は本当のところどう思っているのか、それは分からない。「大丈夫」との言葉は本心ではないことが多い。だから、相手を追い込むような「大丈夫?」という言葉は禁句である。


「大丈夫」という質問に社交辞令的に「大丈夫です」と答えない方が良い。「大丈夫」と言うことはとても簡単である。だからつい使ってしまいがちになる。しかし、それは誤りである。「大丈夫?」と尋ねられた時に「大丈夫じゃありません」「大丈夫じゃないんですけど……」と返答をするのは勇気がいるが、「はい。大丈夫」という回答の方が無責任である。「大丈夫」は根拠のない言葉である。「大丈夫」と言うのをやめよう。


「大丈夫」と聞いたら「はい、大丈夫です」と答える人は多い。そして、ますます自分を追い込むことになる。「大丈夫だ」と口にすることで、心は軽くなる。しかし、同時に「大丈夫」という言葉は人の心を蝕む。「大丈夫」という言葉が安易に使われることによって、人は「大丈夫じゃない」と言えない状況に追い込まれる。「大丈夫?」と尋ねられて、「はい、大丈夫です」と答えたら、その瞬間から嘘をつき続けることになる。


「大丈夫か」と尋ねられたら、「大丈夫ではない」と答えるべきである。「大丈夫か」と聞かれたら、「大丈夫ではありません」と答えるべきだ。「大丈夫か」と尋ねたら、「大丈夫じゃない」と返される方が本来ならば相手も気持ちが良いだろう。

「大丈夫じゃないんです」に対して相手は「そうなんですね」と認めなければならない。「はい、全然平気じゃありません」と答えると、「ああ、やっぱり」と納得することが正しい反応である。そこではじめて会話が成立する。その覚悟もなしに「大丈夫か」と質問してはならない。

ところが、保身第一の無能公務員体質が相手では「大丈夫じゃない」と答えても何か変わる訳ではない。「大丈夫じゃないんです」と答えると驚く。そして、「えっ、そんなはずはないでしょう。あなたは大丈夫だと思いますよ」と言ってくる。

「はい、大丈夫じゃないんですよ」と答えると、「どうしてですか」と聞いてくる。「はい、大丈夫じゃないんです。私はもうダメなんです」と答えても相手は納得しない。故に「大丈夫か」の質問には無視することが正しい。「大丈夫?」と尋ねられたら、無言を貫くことが正解である。


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