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コスパ(コストパフォーマンス)

桐田詩夜葉はコスパ(コストパフォーマンス)を重視し、価格(値段)と味や品質が比例するという価格信仰を軽蔑する。価格は高ければいいというものではない。自分の価値観で良いものは良い、美味しいものは美味しいと言う。自分の感性と直感は誤魔化せない。堅実な消費者感覚から値段と味や品質が比例しないコスパの高い店を応援する。その分だけ懐も痛まないのだから、財布にも家計簿にも優しい。


このような考え方の持ち主だから、桐田詩夜葉は飽食も無駄遣いもできない。値段と価値が比例するという考えを受け入れることもできなかった。ただ単に不愉快であると言ってもいい。ただ単に嫌いであると言ってもいい。


食材の値段と味や価値は比例しない。高価な料理よりも自分が良いと思うものを食べることに意義を感じる。高級食材を食べているから美味しいのではなく、自分が美味しいと感じるものを食べているから美味しい。リーズナブルで美味しいことが消費者にとっての価値である。価格が高いだけの商品を有難がらない。高い値段の料理を高い値段ということで有難がることはない。


値段は所詮、世の中の物差しに過ぎない。自分の物差しではない。それに振り回されることは本来の意味の利己的ではない。他人と比べて優越感を持つことや他人を羨ましがらせることでは他人に振り回されたままであり、自分が楽しいと思えることではない。自分の価値観に忠実に生きる。


そうすれば人は自然と楽しく生きていける。それが人生なのだ。桐田詩夜葉は、とても気分が良いのだ。何故だろうと考えるまでもないではないか。自分というものを取り戻したからだ。私の人生の中で大きな節目であるように感じるのだから。これからも私は生き続け、色々な出来事に出会うと思うし、そのたびに自分について考えるようになると思うが、「自分らしさ」「個性とはこういう事だ!」ということを大事にしていければ良いなと思うのであった。それこそが私が求める「楽しい生き方」でもある。


「価値ってのは、自分で決めてこそナンボでしょ。自分にとってなにが大事で、なにがくだらないのか、自分以外のだれが決めてくれんのよ」(森絵都『気分上々』)。

「せっかく金持ちになっても、いたずらにおカネを使うのであれば意味がない」(Hans Rosling, Ola Rosling, Anna Rosling Ronnlund著、上杉周作、関美和訳『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』日経BP社、2019年、82頁)。


値段と価値が比例するとの主張には、お金のほかに価値観を持てない、さもしい拝金主義が見え隠れする。情報弱者の価格信仰は浅ましく、愚かである。放埓な生活によって精神に靄がかかっているだろう。生活の質が問題である。


「安かろう悪かろう」も高過ぎる食材も消費者からソッポを向かれる。「高ければいい物、安物はそれなり、高ければ信用できる」は幻想である。材料に拘らなくとも、かける手間暇と何より籠める心さえあれば料理は美味しくなると言ってしまうと逆に精神論根性論に陥ってしまう。むしろ、安価な素材でシステマティックに効率的に作る料理も非常に美味しい。


論語里仁編に「子曰わく、士、道にこころざして、悪衣悪食あくいあくしょくを恥ずる者は、いまともはかるに足らず」とある。この悪は悪いという意味ではなく、粗末の意味である。粗衣粗食の意味である。衣服や食事が人並みでなければ恥という感覚が恥ずかしい。


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