この宇宙の成り立ち その8 星族愛顧主義者
『宇宙安全保障維持機構』のリーダーの地球人たちはこのようにして、宇宙の約半分の星を自分たちのものにし、それらの惑星の資源を浪費し廃棄物だらけの汚染された惑星に変えていったのであるが、それを止めるためにあるグループが現れた。
それは星族愛顧主義者と呼ばれる地球人のグループで、彼らによると、このまま地球人の好き放題にやらせるとこの宇宙は滅んでしまい、他の星族たちばかりか、地球人たちも困ることになると主張した。
星族愛顧主義者たちは、地球人が『宇宙安全保障維持機構』を利用して無償で他の星族の惑星を手に入れるのを宇宙法典によって禁止し、もし他の惑星を手に入れる場合は相手の星族の同意と、さらにそれに見合った資源を相手に提供することを『宇宙安全保障維持機構』の議会に提出した――それまでは地球人たちは『宇宙安全保障維持機構』のリーダーという立場を利用し、無料で他の惑星の居住権を手に入れるだけではなく、相手からその惑星の資源の半分をもらっていた。
星族愛顧主義者たちの提出したその法案は『それぞれの惑星に対する星族たちの権利と不法な惑星取得の禁止法案』と名付けられ、それは大多数の地球人たちによって可決された。
彼ら地球人もこのままいくと、宇宙の有用な資源が使いつくされ、すべてが廃棄物だらけになるのを恐れたので賛成したのである。その結果、彼らは資源の節約をせまられ、今まで贅沢に資源を使っていた地球人たちはすぐにそれに不満を感じるようになった。
彼らは『宇宙法典』に決められた法律を覆そうとはしなかった。なぜなら『宇宙法典』は地球人に都合がよい法律ばかりだったので、もし『それぞれの惑星に対する星族たちの権利と不法な惑星取得の禁止法案』を廃止すると、『宇宙法典』の他の法律も廃止されるのを恐れたからである。
そこで彼らはまず星族愛顧主義者の追放を企んだ。こうなったのはすべて彼らのせいだと思ったからである。
『宇宙安全保障維持機構』の運営の邪魔をし、その目的を阻止しようとする彼らを犯罪者としてとらえて、刑務所に捕らえることにした。その理由として星族愛顧主義者たちは全宇宙の平和と平等を乱すものであるからという理由であった――実際はその反対であったのだが。