表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/65

第三十話:アルマ暴動


 北の山に肉を求めてやってきたが、横幅のある豚は音には敏感だが

目は良くないようで、魔法で土の壁を築いてから攻撃すれば

すんなり捕獲できた、今はスパイシーラプタと戦闘中だ。

   

「しかし、高く飛べない鳥なんですね」

「この巨体じゃ、飛べるだけでも不思議ね」

「でも時速60キロ位で走り回ってますよ」

「きっと魔物から逃げるために鍛えた足のようね」


     

「ラウンドシュバインより頭がいいみたいだな」

「そういえば豚は狩りつくしてしまいましたね」

 

「6日も狩ってれば、いなくなるさ」

「大丈夫ですよ、子供は逃がしておきましたし」

   

 ラウンドシュバインは結局、群れに13回遭遇して

496頭を確保したが、子供に見える80頭はベスの懇願によって

逃がす事になり416頭だ。


 

「しかし、ラプタちゃんは厄介ですね」

「ミリアが役に立たないのが痛いわね」

「挑発行為に無反応とは、闘争本能がないんですかね」

       

「ミリアは引き続き回収作業を頼むよ」

「なんか、ミリアは利用されているだけで悲しいです」

「それなら、何か攻撃魔法を覚えるんだな」

 

 ミリアも攻撃魔法を覚えてくれれば作戦の幅が広がるんだが。

   


「さて再開しましょうか」

「ミリアも活躍したいようだし、次はミリアに突っ込んでもらって

反対側で待機して一気に捕まえよう」


 

「ミリア頼むぞ」

「任せて」



「【エルガーサークル】」


「【スローサークル】」

「【天界崩壊】」

「【アストラルトルネード】」

「ウイン、コールドブレス」

「【氷結演舞】」


「やっぱり、暗黒魔道士を1人入れると効率がいいですね」

「手加減するのが大変ですけどね」

「わたしもマリアのように詠唱短縮が出来れば……」

「アベルさん作れないんですか?」

「俺も詠唱短縮出来るから、作ろうとすると既に発動してしまうんだよ」

「残念です」

    

 もっと長い詠唱の魔法があれば、出来るかも知れないんだけど

一度、専門家に聞いてみるか。 


「今日はこの辺で野営にしましょう」

「そうですね」

「食事はこの鳥を使ってみましょう」


          

   

「なんかいい匂いがしますね」

「マリアは香辛料を入れてないわよね」

「ええ」

      


「はい、スパイシーラプタの丸焼きの出来上がりよ」


「こんな美味しい鳥は初めてです」

「名前の由来は香辛料からきっときてるのね」

「何でみんな狩りに来ないのかしら」

「この辺りは熊を始め、オークやオーガの上位種も出るからな」

「これは自分達の分もある程度、確保しないといけないね」

「そうですね」


 これは大量の油で揚げたら美味しそうだな。


   

     

「やりました。ついに500匹目をゲットです」

「1週間もかかったわね」

「逃げなければ楽だったんだが、これで帰れるな」


「途中で襲って来た、オークやオーガも大量だしね」

「オーガは食肉には適さないから、今度ギルドへ行ったときに売却だな」

「それじゃ、帰りましょう」


 結局、2週間近くかかったか

専門の狩人は大変な仕事なんだな。


       

「あれ、モモですよ。取っていきましょう」

「そうだな」

「随分と実がなっているのね」

「もう6月も終わりだからな」

    


「やりましたね、千4百個以上取れました」

「これで毎日でも食べれますね」

  


「雨ね、しばらく大きな木の下で様子を見ましょう」

 

「また大雨ですね」

「これは米と小麦も危ないわね」

   

小麦はともかく、米は何とかなると思うんだが。



 

「やっと着きました」

「とにかく、オークの襲撃が続いたから眠りたいわ」

「ほんとに勝てないのに、なんで襲ってくるんでしょう」

「みんなが美人だからじゃないのか」

「そうですか……」

     

「もう夜だから、明日ね」




 あれ、朝か? 次は適度な所で引き上げないとな。


「レナちゃん、おはよう」

「アベルさん、おはようございます」


「今日は散歩には行かないの?」

「最近、街の様子が変わったので、お母さんが1人で外へ出るなと

言うんです」


 治安が悪くなったということか。


「アベル様、マリン商会から大量に鞄を売って欲しいので

できるだけ早く来て頂きたいと言づてを預かっております」


「ありがとう」

 貴族辺りから急な注文でも入ったのか

今あるのは、マリア達が使っているのを除くと王級が8個だな。


「アベル兄さん、今日は早いんですね」


「ベスとマリアにちょっと鞄作りを手伝ってもらって良いか?」

「こんなに朝早くからですか?」

「急の注文が入ったようなんだ」

「わかりました」



「朝から悪いな」

「マリン商会にはお世話になっているし。仕方ないわ」

「行くぞ」


わかったわ、【セイクリッドクリス】」

「【ダークネスアビス】、【時間逆行波】」

「【4連撃ち】、【5連縫い】」

 

「鑑定不能の鞄は出来なかったわね」

「神話級が3つに伝説級が6つに王級が7個だ

こんなもんだろう」

          

「俺はマリン商会へ商談に行くんで

鞄に肉を入れておいたから、売ってきてくれるか?」

「わかったわ」


      

 街の様子が2週間前とはだいぶ違うな

レナちゃんが外へ出ないのも頷けるな。


「こんにちは、エマさんはいますか?」

「アベル様ですね、どうぞ中へ」


 随分と歓迎されているな。



「いきなりお呼び出しをして、すいません」

「いえ、貴族の方から注文でもはいりましたか?」

「貴族の方も絡んでいるのですが、注文は軍からです」

「そうでしたか」

「ここだけの話ですが、西と北西から攻められているようなんです」

「戦争ですか?」

          

「西のエラン王国とは常に領土争いをしていたので、不思議では

ないのですが、北西のアクス王国まで同時に攻め込んでくると

我が方もかなり戦況が思わしくないらしく」


「とりあえず前回と同じ王級の魔法鞄(マジックバック)を15個持ってきました」

「助かりますわ。1つ300、いえ320枚出しましょう」

「それで問題ありません」


「ではレオン通貨で星金貨4千8百枚です」

「わざわざ、レオン通貨をご用意して頂いたんですね」

           

「今は市場の6割以上がレオン通貨に変わっています

イリス通貨もいつまで持つか?」


 この国もかなりやばいという事か

これはイリスに換金しない方が良さそうだな。


「それでは失礼します」

「またぜひ寄っていってください」

    

 やり手の商会主とのやりとりは疲れるな。



「やったわ!」

「どうしたんだ」

「豚を316頭に鳥を300匹売ったんだけど

ラウンドシュバインはキロ10万レオンで星金貨1518枚

スパイシーラプタがキロ16万レオンで星金貨1440枚の

合計2958枚よ」


「オークの肉も買い取ってくれて、180匹で星金貨96枚です」

        

「オークの値段はわかるが、豚と鳥の値段が高すぎないか?」

「それがね、普通の豚の値段が1キロで小金貨3枚になっていたのよ」

「随分、値段が上がっていたわね」



「よく、その値段で売れるな?」

「あの鳥さんは、なかなか捕まらなくて美味しいから、売れるんだって」

「1キロで16万レオンか。以前ならステーキハウスでみんなで

食事ができる金額だな」


「噂だけど、戦争があるらしいの」

「街はその噂で持ちきりよ」

「肉を売っていたのは、私たちくらいだったわね」

「あれはやばいわね」

  

「そんなに街の雰囲気は悪いのか?」

「住民も買い占めに走っているわ」

「他の国へ逃げる人も出始めてるって」


 マリン商会で聞いた話も部分的に一般市民にも流れているようだな。

    

「とりあえず、中立を唄っているギルドで情報を仕入れてみるか?」

「そうね、ギルド間では連絡を取り合っているらしいし」


      

     

 今日も雨か、低気圧でも停滞してるのか?


「随分、人が少ないな」

「そうね、どうしたのかしら」


   

「こんにちは」

「やっと来たわね」

「お久しぶりという程ですか?」

「ギルドカードを出して頂戴」

「何か問題でも」

「いいから」

「わかりました」



「5人もAランクに昇格よ」

「最近、依頼をしてませんが」

「うちでもかなり協議したんだけど

クライン公の推薦じゃ仕方ないわ」


 そういえば前に報酬が出るとか言っていたな、あれか?

                    

「これでグラン・シャリオもAランクパーティだけど

ラズベリー伯から依頼の連絡があったわ」

「ギルドへ連絡があったんですか?」

  

「だいぶ家を留守にしていたようね」

「確かに2週間ほど、街から離れていましたが」

   

「昨日の夕方にアルマの西の穀倉地帯で大規模な暴動が

起きたので、その鎮圧協力らしいわ」


「武力鎮圧ですか?」

「ラズベリー伯の別邸も含めて数件の屋敷や倉庫が襲われたらしいわ」

バカな人達ね。貴族の屋敷を襲うなんて」

    

「規模は?」

「既にCランク以上の冒険者には緊急召集をかけているし

偵察部隊として4パーティを派遣したわ」

        

 俺達から来なくても、呼び出される予定だったのか?


「出発はいつごろですか」

「クライン公からの正式な依頼で、軍は既に動いているし

昼前には冒険者も全て集まるわ」


 暴徒と言っても、本業が盗賊の方とは違うよな

貴族の屋敷を襲った以上、投降はありえないか?


      

「アベル、厄介な事になったわね」

「食糧不足に戦争に次いで暴動か」

「王都を含む各地でも暴動が起きているらしいわ」

   

ここまでの規模となると、誰かリーダーがいるのか?


 

「やられた! やつら東の倉庫群を狙って攻撃を仕掛けてきた」

「西にいるんじゃなかったの」

「俺達も軍も、まんまと罠に嵌まったんだ」

「今、2万の軍が街の外へ出ているわよ」

「とにかく、倉庫群には街の全ての穀物を含む食料が保管してある

なんとかしないと、食料を全て奪われるぞ」


「冒険者の皆さん緊急依頼です。東の倉庫を襲撃中の盗賊を

殲滅してください」


「捕縛じゃなく、殲滅でいいのか?」

「相手は1万以上と報告にあります。それに捕縛しても死刑は確定です

投降はありえないでしょう」


「よっしゃあ。腕が鳴るぜ」

「俺たちの食い物を横取りしよとはバカな連中だ」

             

 こっちは千を超える程度で相手は1万以上か

相手のレベル次第だが。


「多分、相手には腕のいい夢魔道士と愛魔道士がいるわね」

「そうだな、幻覚と魅了の違いはあれ、精神攻撃をしてくるだろうな」


    


 街の住民は避難済みか? 助かるな。


「暴徒の連中がいたぞ」


「「「【アストラルトルネード】」」」

 

「「「【デスマーチラブ】」」」

 

 夢魔法と幻惑魔法の連打か? 悪くない戦法だが。


「暴徒も撃ってきたぞ」

 当然、魔道士がいれば撃ち返してくるよな。


「聖魔法の熟練度の高い人は回復に務めて」

      

「「「【ハイ・キュア】」」」

「キャアポーションをぶっかけろ」

 

「「「【灼熱演舞】」」」

 

「俺達も行くぞ」

「「「【4連撃ち】、【氷結演舞】」」」

「【アストラルトルネード】」

「【クイックサークル】」

     

「私はどうすればいいの」

「回復班に回ってくれ」

「わかった」

離れたら敵か味方かの見分けがつかない

これじゃ、近接攻撃を仕掛けるのは無理だな。


 

「「「【黒龍召喚】」」」

「「「【灼熱演舞】」」」

      

「物資を持ち逃げ去れるぞ」

「無理だ。近づけない」

  


負けたか、数の差がそのまま戦力差になったな。


「アベル、負けたわね」

「人数が違いすぎたな」

「1万5千近くいたわね」

「こちらの死者は40人位らしい」

「その程度で済んで良かったという事かしら」

「暴徒を5百人は殺したからな」

       

これで食料はなしか、どうなるかな?

 

お読み頂きありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ