表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/65

第二十話:猫族さん達の食費は大変だ!


 クライン公爵に家を無償でもらって、家具は揃ったが

予想よりも大きな家だったので奴隷を求める事になり

今日は奴隷市だ。


「人が多いですね」

「そうだな、まだ朝の7時だって言うのに」

「種族もバラバラね」


「そういえば、ヒルダたちは獣人には見えないな」

「そうね、言われなければわからないわね」


「私たちは竜族ですので」

「竜族は元は人だったので、違いはほとんどないんです」

「やはり竜族やアライグマ族がいいのか?」


「竜族は戦闘奴隷として、訓練に費用をかけて売りだされますし

アライグマ族は数が少ないので、まず見かけません」

 悪いことを聞いたな、同族を奴隷として扱うのは嫌だよな。


「みんなはどんな人が良いんだ?」

「料理が得意な人」

「働き者の方が」

「計算が出来るといいですね」

「優しい人がいいです」

「怒らない人かな」

 ちょっと無理な相談だな、そんな人は奴隷には落ちないだろう

        

 料理人と優しいメイドさんにお遣いが出来る人間に

温厚な人の4人程度を雇えばいいだろう。    


「値札のついた枠にいる奴隷と値段の表示のない奴隷がいるが」

「着飾っている奴隷やいい装備をしている奴隷は客寄せの為の見世物で

ほとんどは奴隷商の言い値で取引されますね」


「安い奴隷も随分いるようだが」

「見切り品の奴隷でしょう。お勧めの奴隷と高めの奴隷には

別の機会に商談という方法が残されています」

      

 

「奴隷市で売れ残ると、次の奴隷市まで待機状態になるのか?」

「いえ、奴隷市で売れ残った大半は鉱山送りですね」


「鉱山というと、本にあったが生存率2割という過酷な労働か?」

「そうです。ミリアでも3年持てばいいほうでしょう」

ミリアで3年だと、普通なら1年持てば良い方と言う事か?


 

「あらかた見たけど、だいたいが金貨20枚から22枚の間ね」

「談合でしょうか?」

「星金貨1枚以上のエルフの奴隷もいるけどな」


「エルフは生まれてすぐに精霊魔法が使えるので、戦力としては申し分

ありませんし、魅力的でもありますので」

     

「いい人はいたか?」

「そうね、種族がバラバラでいいなら、5人程度いたわね」

「獣人のクラスが軽戦士が4人で星金貨1枚だって」

「人種のクラスが聖魔道士が4人で星金貨1枚と黒金貨4枚だって」

   

「ミリア、ベス、護衛を探している訳じゃないんだぞ」

   

「ヒルダから見て、どうだ?」

「そうですね、残念ながら獣人を嫌う人種というのは一定数

存在しますので……」


「つまり獣人の方が良いという事だな」

    

 やはり偏見を持った人間はいるよな

人種差別がない地域自体が存在しないかも知れない。


「向こうでこれから、セールをやるって言ってますよ」

「行ってみるか」


 全部で200人ほどいるな、ほとんどが獣人か。


「アライグマ族の男がいるぞ」

「ちょっと男性の方は……」

「そうだったな」

女性限定となると、60人程度か。


「見て、あそこの6人、金貨1枚だって」

「出品手数料もあるのに、なんでそんなに安く売るんだ」

「あれは猫族ですね」

「猫族は安いのか?」

     

「猫族は温厚で従順、働き者が多くて手先が器用で家族を大事にします」

「みんなの希望に近いじゃないか、これで料理ができれば文句なしだな」

「料理も出来ると思いますが、問題もあります」

  極端に安い物には裏があると言う事か、誰も買おうとしないしな。


 

「猫族は何でも食べますが、私たちの10倍は食べますね」

「食事の事か?」

「はい、前にミリアの友人を招いた時は、ステーキを

3キロ食べていきました」

    

「奴隷なら、自分から食べる量を減らすんじゃないのか?」

「猫族はある程度食べないと、仕事に集中できない体質みたいなんです」


  

「鉱山に送れば、嫌でも働くだろう」

「何回か猫族を鉱山に送った結果。十分に食べさせないと1ヶ月位で

死亡するという事がわかったそうです」


 

「あそこの6人、寄り添っているね」

「家族かな? みんな痩せてるね」

       

 普通の食事が大銅貨4枚として、料理を半分の5人前にご飯をお替わり

させたとしても、銀貨8枚で6人だと1日で5万イリス程度になるのか。 


「食費が普通の食事でも確実に1ヶ月で黒金貨1枚以上かかるぞ」

「よく今まで、やってこれたわね」

 20代の女性2人はクラスが料理人だし、味には期待できそうだし

10代の女の子は上位クラスの時魔道士だ、努力はしているんだな。


「家計を預かっているのはマリアだし、マリアが決めてくれ

俺には女性の内面なんてわからないからな」


   

  

 どうやら奴隷契約は終わったようだな。

「話してみた感じだと、みんないい人だったので家族6人まとめて

金貨2枚で契約してきたわ」


「奴隷商も手持ちの奴隷の死亡率が高くなると

自分の信用に影響しますからね。早めに手放したかったんでしょう」

      

「解放すればいいじゃないか」

「奴隷商は奴隷ギルドに所属していますが、奴隷が沢山出た場合は

分割して引き受けなければならないんです。売れないからという理由では

解放する事はできません」

 奴隷商にも規則があるとは、さすがはギルドといった所か。


「ニーナと申します、買って頂きありがとうございます」

「私はノーラと申します。姉共々よろしくおねがいします」


 2人は姉妹だったのか。

   

「2人は東の村で食堂をやっていたんだけど、ご主人が冒険者で

借金をして装備を更新してすぐに死亡したそうよ」


「私達もパーティ資金はないから、気をつけないといけませんね」

 

「それじゃ、みんなには屋敷に行ってもらって、俺達は宿に戻るか」

「アベル、先にみんなに食事をさせてあげるべきじゃない」

        

「それだと、柔らかい食べ物がいいのか」

「アベル、猫族は胃腸が強いので肉でも問題ありません」

 衰弱してるように見えるが、肉でいいのか?


「それなら親睦の意味も含めて、奮発して評判のステーキ店にするか」

「「やった」」

「ステーキです」

「久しぶりのお肉です」

    

 喜んでくれているようで、良かった。


 


「12人だけど、席は空いてるかな?」

「空いてますが、猫族の方は保証金で金貨2枚頂きます」

 食堂で保証金を取るのか、猫族が食べるというのは知られているんだな。


「それじゃBセットを5人前にDセットと、みんなはどうする?」

「猫族の方にはFセットがお勧めですね」

「メニューには載ってないが」

「当店の裏メニューです。骨付きのブロック肉で2キロ以上あります」

「お勧めなら、それで頼むよ」


「少々お待ちください」


 2キロ以上か? 大食い大会じゃないんだが、食べれるのか?


「お待たせ」


「「お母さん、お肉です」」

「そうね、久しぶりね」

  

「美味しいです」


「俺達も食べるか」

「そうね」



 

「もう当分、ステーキはいいわ」

「Bセットはちょっと量が多かったな」

  

 ミリアはDセットをお替わりして、ニーナ達はFセットを簡単に

食べきって、ライスを8回お替わりしていたようだ。


「お勘定おねがい」

                

「追加で42万5千イリスです」

 1食で金貨4枚飛んだか、おちおち外食もできないな。


「私はニーナ達を屋敷に案内するので、先に戻っていてください」

「わかったわ」

「ヒルダ1人に任せて良かったのか?」

「きっと色々、話があるんじゃないの」


 そんなもんかな。


 

 ◇


 今日でカンガルー亭ともお別れだな。

「みんな忘れ物はないな」

「ほとんどアイテムボックスに入ってますからね」

      


「女将さん、リーゼちゃん、お世話になりました」

「冒険者を笑顔で送り出せて良かったわ」

「結構死んじゃう人が多いもんね」


「それでは」

「気をつけてね」



「またお世話にならないように、頑張らないとね」

「随分、依頼を受けていませんからね」

「今日からまたがんばりましょう」


 これはまたアイテムを売らないと不味いが、ギルドに売ると

税金が高くなりそうだし、どこか手頃な所がないかな?


「こんにちは依頼を受けに来ました」

「グラン・シャリオの方ですね。ラズベリー伯がお呼びですよ」

「もう戻られているんですか?」

「連絡があったのが昨日ですから、その前には戻られているのでは」


 やる気を出して来たのに、今日は挨拶か。


      

「行けばわかるらしいが、どの辺なんだろうな?」

「東地区なのは間違いないわ」

  

「もしかして、あの豪邸じゃないの?」

「公爵家はお城だったから、違和感はなかったけど

貴族って本当に大きい家に住んでいるのね」


「下級貴族は、そんなに大きな家には住んでいませんよ」

「そうなんだ」


「でも、この家は私たちの家の10倍はあるね」

「新興でも伯爵家という事だろう」


「ほら、マリアが先に行けよ」

「アベルが先に行きなさいよ」

「リーダーはマリアだろう」

「ジャンケンで決めただけじゃない」

                   

「ジャンケンは神聖な競技だぞ」

「マリアさんお願いしますよ」

「仕方ないわね」


「お姉ちゃん、また音の魔道具があるかも知れないよ」


「失礼します。専属冒険者のグラン・シャリオと申しますが」

「お前達が、公爵様に取り入った奴らか」


 感じの悪い男達だな、こんなやつらが使用人なのか?


           

「アイラ様、グラン・シャリオ、お呼びとお聞きして参りました」

「わざわざご苦労様。姉から事情は聞いているわ

それで早速で悪いんだけど、最初の依頼だけど

ここにいる人間と決闘をしてもらいたいの」


「決闘でございますか?」

「そうよ。ギルバートの知り合いに頼まれて、家で雇って欲しいと頼まれたの

だけど、強さがわからないから、貴方たちに力量を測って頂きたいの」

         

「貴様らのようなCランクに成り立ての冒険者は、あの世へ送ってやるぜ」

「決闘だから、本気でやってね。貴方たちに勝った人間は雇うことになるから」

 

 専属冒険者は依頼を断れないだったな、この感じだとちょっと相手をして

終わりという訳にはいかないな、絶対逆恨みされるな。


   

「この中にはラズベリー伯と親しい方はいらっしゃらないんですね」

「ええ、回復術士と庭師を待機させてあるから、殺してしまっても問題ないわ」


「俺達がこのガキ共に殺されるだと。笑わせるぜ」

   

「報酬は1人倒して金貨5枚ね」

 

 全部で32人か、1人金貨5枚とは安い命だな。

 

「では俺とマリアの2人で皆さんのお相手を致しましょう」

「こっちは32人いるんだぞ」

「訓練という事なら6人でお相手致しますが、決闘なら2人で十分ですよ」

   

「言いやがったな、お前達を殺して、俺達が護衛騎士になってやるぜ」


「アベル、クラスはどうする?」

「暗黒魔道士のままでいいだろう。レベルは高そうだし経験を積ませて貰おう」


「この距離で2人共、暗黒魔道士ですか? 面白そうですね」

「ギルバート、いつ戻ったの?」

「今、戻った所さ。こんな見世物は滅多に見れないからね」


 伯爵家の当主が楽しんでていいのか? 貴族も娯楽が少ないようだな。


  

「ではルールは死ぬか負けを認めるまで、審判はフレディで

20メートル離れた場所から2対32で一斉に攻撃開始でいいわね」

「問題ありません」

「こっちもだ」

    

「ヒルダ達は手を貸したらお仕置きよ」

「わかっております」



 庭は広いし、花壇は遙か先だ、問題はないだろう。


「では勝っても負けても遺恨なし。始め」


「「「死ね」」」    

「「【ハイファースト】、【灼熱演舞】」」


「この距離で闇魔法とは笑えるぜ」

「そうだな、詠唱中に殺してやるぜ」


  

「うぁ――」

「熱い」

  

 さすが詠唱時間を95パーセント短縮のスキルだ

近くで撃つと、実感するな。


「アベル、2人はダメージないわよ」

「マリアにアベル、もう結構よ。そっちの2人は当家で雇った護衛なのよ」

「そうでしたか」


 護衛がフレディさんとエミリーさんだけじゃ大変だもんな。

  

 だんだん人間と戦う事に慣れてきているな、これで良いんだろうか?

   

お読み頂きありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ