表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/65

第十七話:相性最悪の強敵


 西の森にオークの巣の殲滅に行ったが、倒しきれずに一時撤退

そして翌日の今日は逆に囲まれて乱戦状態に陥っている。


「オークキャプテンを突破したと思ったら

今度はオークリーダーの群れか」


「本当に忠義心のある、部下だこと」

「【天界崩壊】」

 

「シータ、魔道士部隊はどんな感じだ?」

「オークメイジと乱戦ですね。数が違うので押されているようです」

「困った物ね、【天界崩壊】」

   

魔道士部隊にはオークファイターのような近接部隊をぶつけてくるかと

思ったが近接部隊にぶつけたようだな、どうやらオークキング様は

ガチでの殴り合いをご所望のようだ。  


「【タイタニックハンマー】」

「【エルガーサークル】」

 ミリアは囲まれているのに、よく範囲技を使うもんだ

俺達の防御力3倍は伊達じゃないようだな。


「アベルさん、どうしますか?」

「行きます、【天界崩壊】」   

「どうすると言われてもな」

 今の所、均衡は崩れていないし。



「援軍が来たぞ」


「助かりました」

「ヒーローは遅れてやってくるって奴だな」

 援軍は300人位か、Eランクの冒険者が抜けて400人を切っていたから

倍近くになったわけか。


「俺達に任せろ」

「【螺旋旋風突き】」

「【アストラルトルネード】」

       

 疲労の無い部隊は威力が違うな、それにランクも高い連中が

揃っているようだな。


「死ね、【天界崩壊】」  


 昨日、あれだけ苦労した敵が1時間程度でほとんど殲滅できたな。


「召喚士のみなさん、どうやらオークキングは召喚魔法に弱いようです

一気に勝負をつけましょう」


「「「【シェルシェ・クラスチェンジ】」」」

  


「「「【黒龍召喚】」」」

    

「止まって、【天界崩壊】」

 

 

60人の召喚士の必殺技の連続攻撃にはオークキングも耐えられなかったか

 

「みなさんお疲れ様でした。負傷者は出ましたが、なんと死者はゼロです」

「俺達が本気をだせばな」

「結構、苦労してたじゃない」

「なんといっても、俺達の援軍のお陰だな」

「それは確かだな」


「みなさん素材を回収して帰りますよ」

「これはかなりの金になりそうだな」

「報酬が倍にはなるな」

 また解体作業か、嫌いなんだよな。

        


「さすがに1人10体程度だと早く終わったな」

 

「では街へ戻ります」

「1人も死なずに戻れて、ラナさんもご機嫌そうですね」

「そうだな」


   

「あんたらがグラン・シャリオか、今回は大活躍だったらしいじゃないか」

「ぎりぎりですよ」

「帰ったらおごらせてくれ。色々言っちまったからな」

「ありがとうございます」



「こんな所に犬がいるぞ」

「かわいいわね」


「みんな離れろ! そいつがチャーミーチワワだ」

「離れて、範囲魅了魔法が来るわよ」

      

「あいつら何言ってんだ」

 運のないらやつだ。

 

「俺たちの言葉を信じられるやつだけでも、そいつから急いで離れろ」


「「「【速力倍速】」」」



  

 なんとか戻ってこれたか、危なかった

まさか5メートル近くまで接近されるまで俺が気がつかないとは。


 

「グラン・シャリオの皆さんじゃないですか。討伐は成功ですか?」

「オークの群れは倒しましたけど。後はどうなったかな?」

「帰る途中でチャーミーチワワが現れたんですよ」

「前に話されていた犬ですね」


「抱き上げていたね」

「それなら大丈夫じゃないんですか」

 そうだといいが。



 

「他の方が帰って来たようですね」

 

「大丈夫だったのか?」

「か、帰ってきたぞ」

「もう走れん」

「私は一生分走った心境ね」

     

「みなさんお疲れのようですね」

       

「どうなりました?」

「初めから離れていた部隊とお前の呼びかけで離れた奴はたぶん無事だが」

「あたいが最後に振り返った時には200人は死んでいたわね」


「そんなに強力な魔物だったんですか?」

「魔物自体は弱いが、魅了の力が凄いんだ。マジックポイントのなくなった

はずの召喚士がほとんど詠唱なしで『黒龍召喚』を使ってきたり

暗黒魔道士の『灼熱演舞』が飛んできたりで、まさに地獄だったな」

     

「つまり味方同士で殺し合いになったんですね」

「そういう事だ」

「あたいらはグラン・シャリオの近くにいたから、すぐに逃げる決心が

ついたけど、他の連中はどうだか」


 やはり異世界でもチャーミーシリーズの魔物の仕様は変わっていなかったか

MPが無くても魔法が撃てる点を考えると強化されてるのか。


「注意したのに無駄になっちゃったわね」

「いや、俺達が何も情報を出さなかったら、今頃全滅だっただろう」

「そうだね、目の前にいる人だけでも助かって良かったね」

     

 神様がこんなに美味しいイベントキャラを退場させるわけないか。


   

「ただ今、戻りました」

「ラナ、大丈夫」

「なんて言っていいか、わからないわ」

     

「帰り道に襲われたそうね」

「私は注意書きをちゃんと読んでいたし、出発前にも注意したんだけど

ほとんど聞いていなかったようね」


「それで生き残った冒険者は?」

「途中ではぐれてしまったけど、最低220人は死んだわね」

「そんな……」

      

「あの魅了効果はどのくらいの間続くの?」

「正確にはわかりませんが、半日程度かと」

「大変! ギルド長に軍の出動を要請するように頼んで」

「アルマの街を襲ってくるんですか?」

「魅了された冒険者がね」

     

「チワワが襲ってくるから軍を出してくれと言ったら

きっと出してくれませんよ」


「戦略兵器だと言えばいいじゃないですか」

「戦略兵器ですか?」

「チャーミーチワワ5体に傷をつけて、敵の王都へ朱鷺でも使って落下させれば

街が滅びますよ」


「そんなに凄いんですか」

「それは私が保証するわ。あれは人が多い場所でこそ真価を発揮するわ」

        

「わかった。わしが要請書を出そう」

「ギルド長、聞いていたんですか?」

  

 結構な大事になったな。


 

 ◇


 全部で300人程度か、どうして魅了された人間は都市へ戻ってくるのか

昔から不思議なんだよな。


「君たち、投降したまえ」


「「「【黒龍召喚】」」」   


「隊長、噂は本当だったようですね」

「あれは1日に1回しか使えない」


「「「【黒龍召喚】」」」

「何で使える、そして詠唱してないのか?」

    

「このままでは魔法障壁の張ってある城壁でも危険です」

「仕方がない、兵士に攻撃命令を出せ」

「了解」


「君たちの言っていた事は本当の事だったようだ」

「ご理解頂けて恐縮です」

「本当にあの小さな犬を殺せば、元に戻るんだな」

「その通りであります」

  

「君の言ったように熟練の爆裂魔道士を40人用意した」

「では危険ですが、魔道士を守るように陣形を組んで

10人で1体のチワワにスタン技を連打して下さい」


「報告では攻撃魔法は効かないという事だが」

「ダメージは入りませんが、通常の50パーセントの5秒間、行動阻害を

起こしますので、そこを物理攻撃で集中攻撃致します」


「もし行動阻害の効果が一瞬でも切れたら?」

「攻撃に参加していた兵士のみなさんが一斉に敵になります」

「そうか」

「スタン中にスタン攻撃を加えると、効果が切れますので」

「大丈夫だ。うちの連中の連携は王国でも指折りだ」


「出来れば、【天界崩壊】を使われるのが宜しいかと

他のスタン技は1割の確立で失敗いたしますので」

             

「その辺は理解しているだろう」

「ではご武運を」

  

俺も参加してもいいんだが、連携の邪魔になるからな

勇者スキルを使えば、10割の成功率でスタン技が決まるんだが。


「10人は魅了された冒険者を行動阻害にしろ、残りはチワワの相手だ

神竜騎士は全力で技をたたき込め」


「了解」

     

 さてどうなるかな? チャーミーシリーズは弱い動物しかいないから

『革命』を使うと、攻撃力が龍に近い存在になるんだよな

その代わり、防御力が紙だけど。


「突撃」


「【天界崩壊】」

「よし、魅了された冒険者の動きが止まったぞ」

「詠唱は早いが、考える力がなくなっているな」

        

「【天界崩壊】」  

「【螺旋旋風突き】」

 

「【天界崩壊】」

「【螺旋旋風突き】」

 さすがに熟練兵というだけある、よく5秒の間隔を時計なしで

綺麗にスタン技をいれている、ベスにこれが出来れば

俺達もだいぶ楽なんだが。


「【天界崩壊】」   

「「【子龍天剣百連】」」

 神竜騎士の必殺技で決めに行ったか。


「隊長、冒険者が意識を取り戻しました」

「そうか」

「隊長、まだチワワの心臓が動いております」

「殺せ」


「待って頂こう」

「ヘルス子爵」

「聞くところによると、戦略兵器として使えるそうじゃないか」

「それはそうですが」

       

「君、たしか薬は効果があると言っていたね」

「はい、ございますが、効果が切れるタイミングを計るのが

困難を極めます」


「去年、王都で開発した新薬なら、半年は目が覚める事はない」

「そうでしたか」

ダメだ、俺に敬語は無理のようだ。

 

「薬を投与してから、捕獲しろ」

「「はい」」


「さて、これは楽しみが増えたな。それでは失礼するよ」

 貴族というのは変わった人間が多いな。


「隊長さん、変わった御仁ですね?」

「ああ、毎日、研究に明け暮れているんだ。頭は良いんだがな」

      


「見ていただけでも、疲れたわね」

「マリアは本当の意味であいつの怖さを体験したことがないからな」

「お姉ちゃんに殺されて、レベルが下がった事は忘れません」

「いろいろあったのね」




「ただいま」

「おかえりなさい」

「アベルさん、上手くいきましたか?」

「なんか貴族の方が来て、チワワを連れていったが、死者が

増える事はなかったよ」


「討伐報酬も葬儀がおわってからだそうです」

 一応葬儀費用をだしてくれるんだ、それより葬儀があるのか?


 

「朝起きたときは、もうご飯は食べれないかと思ったけど

食べれて幸せ」

「ベスはいいわね」

「朝と夜でこう違うと、調子が狂いますね」

「でも美味しいのは正義です」

「ミリア姉様、いつもご飯は美味しいく食べるじゃないですか」


「でも葬儀が終わるまでは依頼は受けない方がいいですね」

「そうね、事前に注意していたけど。文句を言ってくる人はいるわね」

「わたしも、信じてなかったし」

「ミリアは信じてなかったの?」

                      

「家は小さい頃に犬を飼っていましたから、まさかあんな凶悪な

チワワがいるなんて想像できませんよ」


 これは当分は嫌みを言われそうだな。


  


「おはよう、朝よ」

「マリア、まだ6時じゃないか、依頼を受けないんだから

早起きする必要はないんじゃないか?」

   

「規則正しい生活は生活の基本よ」

「アベル兄さん、おはようございます」

「おはよう」

   

「3姉妹はいいのか?」

「寝かせておいてあげましょう」


 マリアの基準はよく分からないな。

  

仕事が出来ないとなると何をするかだな、する事がないな

これが友達のいない夏休みといった感じか。


お読み頂きありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ