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第十三話:革命


 現在、ラズベリー伯夫妻の護衛任務で王都へ向かう俺達の前に

挑んできた暗殺者の対応中だ。 

 


 クラスはほとんど中位クラスだな

一番強そうなのでレベル70の軽戦士か。


「【天界崩壊】」

        

「貴様……」

 玄関から堂々と入ってくるとはバカなやつらだ。

 

「残念だな。おしゃべりは出来ても魔法の詠唱は出来ないぞ

誰の指図だ?」


 さすがに言わないか。

「【タイタニックハンマー】」

 さすがにレベル100になってステータスが10倍になったクラスの

魔法攻撃は破格だな、完全なオーバーキルだ。


「貴様……死ね」

「【ヘッドビート】」

 

 魔法には基本的に詠唱時間がある、『ヘッドビート』の詠唱時間は1秒

『天界崩壊』は2秒だが『ハイファースト』のお陰でコンマ0.5とコンマ1秒

という詠唱破棄に近い詠唱速度になり、最速魔法の筆頭と呼ばれる閃光魔法の

『フラッシュ』のコンマ3秒より更に早く発動する。 


  

 軽戦士以外は剣で一撃で死んだな、転移者同士の戦いを見た俺には

手加減という言葉はもう存在しない。


「最後のチャンスだ、黒幕は誰だ?」

   

「……グランフォード侯だ」

「あとで検証させてもらおう、【スリープ】」

  

こいつは後でフレディさんに任せるとして、残りの4人だな。



 

「マリアがやったのか?」

「違うわ。フレディさんが一瞬で倒してしまったわ」

 さすがに長年貴族に仕えている護衛だけはあるな。

   

「フレディさん、一階のロビーに軽戦士の男を眠らせてあります。

信憑性はありませんが、グランフォード侯が黒幕だと言っていました」     


「そうでしたか、やはりあの狸の仕業か」

 訳ありの間柄のようだな、俺達は依頼を果たすまでだが。


 ◇


 

「……アベルさん、馬の交代の時間です」

「おはよう、もう着いたのか」

「まだ、1回目の馬の交換ですよ」


 昨夜は結局、フレディさんが軽戦士の男に3分ほど尋問しただけで

人生という馬車から途中下車して頂いたようで

伯爵夫妻には襲撃された件を伏せておくという事で一致して

今は昼の10時過ぎで馬の交代のようだ。    


「しかし、4時間走らせただけで交代とは贅沢だな」

俺達も移動速度を重視する為に伯爵達と同じ4頭立ての馬車だ。


「フレディさんが王都へ3日目の夜の到着を目指す方針に

変えましたからね」


 初日が120キロ位進んだから、残りが350キロとして今日中に

最低150キロは進まないと到着できないな。


     

「お姉ちゃん、魔物が来るよ」

「またか」

俺達は村を出発してすぐに1回魔物に襲われている。


「えっとね、オーガが360にオーガキャプテンが82体いるよ

あと炎鳥も24羽いる」

「やるか」

「あ、オーガロードも1体来たよ」

  

「朝と違って、今度は随分多めだな。全部で467体か」

「これはかなりの使い手の魔物使いか夢魔道士がいるわね」

 

「あり得ないわ。これだけいれば街だって壊滅する規模です

オーガロードの強さは古竜に匹敵するんですよ」

 古龍だったら一大事だが、古竜程度なら乱戦状態でも何とかなるだろう。 

    

「俺が炎鳥を仕留めるから、通常のオーガの群れを頼む」

「来たよ」


「【氷結演舞】」

     

「【灼熱演舞】」

 

 俺の魔法は炎鳥4羽に命中、マリアの魔法でオーガ20体以上が

炎に焼かれた、炎鳥は飛ぶスピードが速いので、魔法は当てにくい。


「行け、【灼熱演舞】」

  

「「【螺旋旋風突き】」」 

「ウイン、ドラゴンブレス」

 

「「ドラゴンブレスよ」」

  

「【アストラルトルネード】」

 マリアと俺の暗黒魔法で被害を受けた所に神竜騎士の突撃に召喚獣と

子龍2体のドラゴンブレスとシータの夢魔法が炸裂して

通常のオーガの半分程度は死ぬか、シータの幻惑魔法で同士討ちだが

さすがに上位種のオーガキャプテンとオーガロードは健在だ。    


「行くぞ、【シェルシェ・クラスチェンジ】」

「【灼熱演舞】」

「【アイスアロー】8連」


 狩人になった俺の氷の矢が炎鳥を的確に射貫く

炎鳥は炎属性で飛ぶ速度は速く、高威力のファイアボールを放ってくるが

遠隔武器との相性は最悪だ。


「【アイスアロー】8連」

     

「シータ以外はオーガキャプテンに集中攻撃だ」

「「「了解」」」

 

  

「【ライトニングシャワー】」

「ウイン、【黒龍召喚】」

  

 狩人の俺と召喚士のヒルダの必殺技がオーガキャプテンを襲う

共に広域殲滅魔法だが、1日に1回しか使えず

『黒龍召喚』に至っては魔力を使い切ってしまうので魔道士のクラスしか

持っていない人間の場合は一気に戦力外になってしまう。

  

「「【シェルシェ・クラスチェンジ】」」

 俺が革命家、ヒルダが聖騎士にクラスチェンジだ。


  

「【アストラルトルネード】」

「「【子龍天剣百連】」」

「【灼熱演舞】」

 

 みんな頑張って殲滅に務めるが減らせてオーガキャプテンは52体

オーガロードに至っては傷1つない状態だ

みんな満身創痍の状態だ。


  

「やあ君たち、頑張ったね」

「誰だ?」

「死ぬ運命の君たちが知っても仕方のない事さ」


 黒髪黒目だし、転移者が相手だったか

革命家にチェンジしたのは正解だったな。


「文句は後で聞く、マリアは革命家、ベスは爆裂魔道士

他の3人はレベル10以下のクラスにクラスチェンジするんだ」


「革命家ってなんですか?」

     

「「「【シェルシェ・クラスチェンジ】」」」

「ミリアも早くしろ」


「わからないけど、【シェルシェ・クラスチェンジ】」  

   

「ベスは俺についてこい。夢魔道士を殺す」

「オーガは任せて」

「頼む」

   

 ヒルダは神竜騎士、ミリアは時魔道士でシータが聖騎士か

悪くない、通常の敵だったら全滅する編成だけどな。


  

「低レベルのクラスに変わって何をするのかな?」

「お前の言葉を返してやる。死ぬ運命のお前が知っても意味がない」

「レベル100の夢魔道士の僕が? 最後に僕の神スキルを見せてあげよう」


 ほんとに転移者はバカが多いな、日本は大丈夫なのか?


「僕の神秘のカーテンの前にはどんな攻撃も無効さ、【ゴッドフレイム】」

     

 鑑定でみると防御力一億と表示される、転移者確定だな

聖騎士でも防御力は3千程度、攻撃力の高い前衛でも2千5百もいけば

良い方だろう。  


「運がなかったな、【革命】」

「変わったスキルを使えばいいという物ではないぞ」

 

 俺を中心に半径300メートルを紫の光が覆う。 

「ベス、線香爆裂波だ」

 これは爆裂魔道士の覚える初期スキルでCBOでも最弱ベスト10に入る

爆裂魔法だ。

「【線香爆裂波】」

  

   

「俺の無敵の防御バリアが崩れるだと」

「ベス、悪いが殺してくれ。そうしないとマリアが死んでしまうぞ」

「お姉ちゃんが! 【線香爆裂波】」

    

 一撃で死ななかったか、ベスに人殺しをさせないで済んで

むしろ有り難い。


「死ね」

  

 ぎりぎりで死んでくれたか、ベスの攻撃で9割以上ライフポイントを

削られていたようだな、CBOでウサギに攻撃した時は仕留めきれずに

逆に殺されてしまったからな。

  

「ベス、目をつぶってこの短剣を握るんだ」

「どうするの?」

「スキルの選択画面が表示されるから、取得してくれ」


 酷なことだが、ベスにも強くなってもらわないといけない

ここはゲームの中じゃない、死んだら終わりだ。


「きゃあぁぁぁ――」

「ベス、しっかりしろ」

「ひどいよ、死んだ人の心臓にナイフを刺すなんて」

「理由は夜にでもマリアに聞いてくれ」


 マリアの方も、そろそろ片づいたかな?


  

「お姉ちゃん!」

「ベス、どうしたの?」

「アベル兄さんが酷い事させたの」

「悪いな、転移者を殺させてしまった」

「仕方ないわね」


「オーガロードも片づいたようだな」

「3人も攻撃役がいてくれて、助かったわ」

 

「とりあえず、入る分だけオーガロードとオーガキャプテンだけ

アイテムボックスに入れて保存しておこう」


「わかったわ」

 アイテムボックスじゃなくて次元倉庫だが、俺は機動馬車倉庫行きだな。

              

        

「皆さん、オーガロードを倒すとはSランク冒険者に匹敵致しますわ」

「伯爵夫人、1体だったから何とかなったんですよ」

「あらやだ。オーガロードが同一グループに1体というのは

常識ではありませんか」


 CBOではトラップでオーガロードやオークキングが10体固まっている

ダンジョン等があったが、やはり王なんだから1体が当たり前なのか。

    

   


「では詳しく聞かせて頂きますよ」

「そうです、さっきの戦闘は理不尽すぎます」

「私も納得できない点があります」

   

 俺達は2回目の馬の交換も終わって、街を目指しているが

ついにシータが革命家について追求してきた。


「他言無用だぞ」

「「わかってます」」

「秘密があるんですね」

       

「俺は戦闘を見ていなかったし、マリアが説明してくれ」

 

「仕方ないわね。革命家のスキルの『革命』はね、革命を使用した時に半径300

メートルにいた全ての物に適用されるんだけど、強ければ強いほど

弱くなって、弱ければ弱いほど強くなるのよ」

   

「この期に及んで冗談ですか?」

「あら、オーガキャプテンを野菜でも切るように切り刻んでいた

シータの言葉とは思えないわね」

   

「確かに簡単に切れましたけど」

「シータの聖騎士のレベルはいくつだったの?」

「レベル9だったのですが。先ほどの戦いでレベル52になりました」

「私も時魔道士がレベル51になって、アイテムボックスが

灰色で表示されました」

     

「適正はあったようだな。あとは時魔法の熟練度を40にすれば

ミリアもアイテムボックス持ちだな」 


さすがオーガキャプテンの群れとオーガロードだ

低レベルとはいえ、40以上レベルをあげてしまうとは。

  

「アベル兄さん、あの魔道士は結界のような物を張っていましたが

それにも適用するんですか?」

  

「強度の極端に高い物は豆腐でも切るような感じで切れるぞ。しかし欠点も

あってな、革命家は実質戦力にならなくなる。そして効果時間は30分で

1日に1度しか使えない。そして3時間はクラスチェンジが出来ない3点だな」


「私たちも、その3時間という時間内はクラスチャンジ出来ないんですか?」

「そうなるな」

「なんか、微妙なクラスですね」

 

「でも凄い利点もあるのよ。革命家が2人いれば、1人が突っ込んで『革命』

を使って、その間に防御施設を破壊したあとに、2人目が『革命』を使えば

クラスチェンジだけ出来なくなって、強さは元に戻るのよ」

  

「軍隊に例えると。新兵の部隊で突入して、街を破壊したあとに

正規兵の部隊でクラスチェンジ出来ない敵を蹂躙出来るという事ですね」


「シータはなかなか怖い事を思いつくな」

「そういう面もあって、あまり人前では使えないクラスなんだ」

    

 戦争で使えるクラスか、考えた事がなかったな、そもそも勇者で満足して

英雄の称号を狙わなくなったプレイヤーに運営がご褒美で出したクラスだ

この世界で得られるかは、ベスがあと2つクラスを上げれば判るな。



   

 街へついたようだな、今夜で夜間警備も終わりだな

 

「それじゃ、今日はベスとマリアが先に休んでくれ」

「わかったわ」

 ベスとの約束だ、マリアに説明させてやらないとな

ベスは教えてくれなかったが、どんなスキルを取ったんだろうな?


   

「さすがに今夜は暗殺者は現れないと思うけど」

「そうだな、でも気は抜けないからな」

  


問題は転移者を雇った人間が誰かだな

能力を明かした可能性があるからな。


お読み頂きありがとうございます。


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