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第7話 被害者と出逢いまして

ブックマークありがとうございます。

この調子で今後も頑張っていきます。


第二階層のボスモンスター、ペントのやる気のなさよ。

心配すぎるのでさっさと第三階層を作ろう。


「第三階層どんな感じにすっかなー。せっかくだし拐かしシリーズにしたい。」

『でしたら内装【拐かしの墓地】なんて如何でしょう。』

「墓地?お墓?」

『はい。死霊が活動しやすくなります。』


死霊ってゾンビとか、そういう感じ?

となると属性は闇かな?


「闇属性のモンスターってどんなのいる?」

『そうですね…やはり【骸骨人スケルトン】や、【ゾンビ】、悪魔族が有名でしょうか?』

「ほうほう。絵面だけでクリティカルヒットしそう。」


やって来た冒険者の死体とかを再利用してゾンビ化したり…はっ、悪魔とかそういう負の存在的なのがいたら神様が寄ってこなくなるんじゃないかっ…?

素晴らしいぞ、魔除け!…いや、神除け?


「大部屋を追加、内装【拐かしの墓地】を設置!の前にモンスターに階層増やすって連絡して。」

『10200DPを消費します。通知しました。』


本日二度目の増築。

けもしん(ビースティッド様)の賞金と賭けのお陰である程度なら大盤振る舞いしても問題ないしな。

エレベーター乗ってる時の浮遊感を感じる。

揺れが止まったので新しく出来た三階層に転移する。


「……わー想像以上に」


怖えな、おい。


ギャアギャア飛び立つ烏、何故か真っ赤な夜空、その夜空に浮かぶ異様な輝きを放つ満月、血に濡れた十字架、その後方にヒビが入り蔦が絡まる洋館。

…俺ここでボッチ肝試しやれって言われたらチビる自信があるわ。


冒険者かわいそー。…いや、ファンタジー世界でこんなことにビビってたらやってけないか。


「あの洋館バトったら潰れそうなんだけど。」

『あれは見た目だけで中は頑丈ですよ。ただあまり広くないので人型のボスモンスターにする方がいいと思います。』

「確かに。」


この手の洋館に馬鹿でかいモンスターいるより同じ人間がいた方が怖い気がする。


「んーじゃあ、【死霊魔導師リッチ】召喚。」

『1万DPを消費します。』


「ふむふむ。」

「えと、初めまして。ダンジョンマスターの小原朝陽です。」


何で俺自己紹介してんだろ。いや、何ていうかこのお爺さん(骸骨だけど)貫禄があるっていうか。


「ダンジョンマスターだと?お主神敵かいな。」

「え?まぁそうっすね。不本意ながら。」

「あれだけ殺せ殺せ言われてきたダンジョンマスターに会うことになるとはのう。ガキやんけ。」

「殺せ?」

「わっしは神父やけ。女神教の。」

「は?」


なんですと?待て待て、神父って聖職者だよな?

で、この爺さんは俺の召喚した死霊魔導師…あれ?死霊魔導師って、えーと悪に堕ちた人がなるとかじゃないの?闇魔法を得意にしてたりする……


『【死霊魔導師リッチ】の定義は死してなお魔導を極め続ける者のことを指します。この方は魔導師か何かだったのでしょう。聖職者が死霊化するなんて聞いたことありませんが。』

「そうやよ。わっしは女神教一の大魔導師様やったけ。運がいいぞ、ガキ。」

「はぁ。…て、協力っていうか、俺に従ってくれるんですか?」


この人ダンジョンマスターを神敵認定してる女神教の神父なんだよな?俺なんかに協力してくんないだろう、普通。


「わっしが女神教の神父だから気にしとるんかいな。まぁ…昔のわっしなら断固拒否したんやろが…」

「え、じゃあ、なんで?」

「……会ったんよ…生の女神様に…」


あ、あーーーーーー(アサヒは理解した。)


「…見たんですか…アレを…」

「ああ…あれは忘れもしない…わっしがとあるダンジョンに潜りキマイラに殺られてしまった時のことやよ。」



以下回想。


あぁ…わっしはこのまま死んでいくのかいな……しゃーないな…老獪の役目は終わりやよ…これからは若いモンの番やな。


でも…叶うものなら…女神様に、直接祈りを捧げたいものやんな……


………

…………



「ちょ、グローリア様!ほら、今期のMVPですよ、グローリア様っ!ちゃんと祝ってあげてください!」

「えー面倒くさいわー。だってアレでしょ、MVPって、女神教 ぶっち切り パシリ の略でしょ?そんなん祝ったってね〜。」

「そう思ってるのは貴方だけですから! 」

「じゃあ、あれかしら。女神教一 バリバリ祈ってるのに パッとしない信者。どうかしら?」

「違いますよぉ〜グローリア様ぁ。マッドな ブッとんだ パンピーですよぉ〜。」

「ああああ!!!クワイ、貴方まで!」

「全くノイジィはいちいち固いのよ。良いじゃない、私だって好きで祭り上げられたわけじゃないしテキトーで。信者なんて要らないわ。」



回想終了。



「この時わっしの目の前が真っ赤になるのが分かったんよ。したら、恨みが爆発したんか死霊になったんやよ。」

「なんというか…」


いや、マジで何やってんだよ、あの駄女神……。

さすがに信者の前でやらかすなや。大喜利大会やる前に祝福とかそーゆーのを与えてやれ。

後、クワイ様、マッドでブッとんでんのにパンピーなんすか。一般人なんすか。


「幻想と現実が違うことぐらいは分かってるんやよ。もういい歳した大人やけ。」

「はい…」

「でもなぁ…あそこまで違わんくても良くないやんけ!?なんやのあれは!?ただのぷー太郎やんかい!!!」

「心中お察しいたします。」

「ウチのバカ息子の方がまだマシやよ!?息子にも女神様の慈悲深さを与えてくれんかいと祈ったわっしの方が大馬鹿もんやんけ!!」

「アレに与える慈悲ありませんからね。」


はあ…まさか被害者がこんなとこにいるなんて…案外沢山いそうだな。筆頭はノイジィ様だ。

これはでもさすがに可哀想すぎるぞ。俺は予備知識無かったし信者でもなんでもなかったけど…この人は今までずっとグローリア様に祈ってたんだから。裏切られた感が半端無いだろう。実際女神様への怨念で死霊になっちゃってるわけだし。


「そういう訳やからわっしはお前に協力するよい。」

「有り難いんですけど…ダンジョンには女神教の信者の人とか来るかもしれないですよ?殺しちゃうんですよ?良いんですか?」

「なんやお前優しいのう。」


だってイヤイヤ従ってる人がボスモンスターとか怖いし。土壇場で裏切られたらたまったもんじゃ無い。ボスモンスターの不安はペントだけで十分。そのペントの尻拭いを任せるのに。


「そもそもお前が死んだらダンジョンは無くなるやんけ。したらモンスター達はみんな死ぬんやから、守る以外の選択肢無いんよ。わっしはせっかく生き返ったんにまた死ぬなんてごめんやよ。」

「え?そうなんですか?」

『ダンジョンで召喚された魔物はダンジョンがなくなると死にます。』

「マジか。」

「なんやお前そんなことも知らんかったんかい。このダンジョン大丈夫かいな。」


そうか…死んじゃうのか…これは何が何でもクリアされる訳にはいかんな。名前まで付けたら愛着湧いてしまった。


「女神教の信者を殺す云々は仕方の無いことやよ。したら、死霊魔法で復活させたら良いんや。」


結構エグいこと考えるなーこの人本当に神父か。元神父だからいいのか。

聖職者で構成されたゾンビ集団かー…教会と全面対決になりそう。


「そういうことなら、分かりましたよ。そういえば、お名前って?生前の記憶あるんでしょう?」

「あるんやけどなぁ…心機一転したいしのう…新しく名前付けてええよ。」

「そうですか?じゃあ、リット爺で。」

「ま、いいやろ。では、改めてよろしゅう。ガキ。」

「はい。よろしくお願いします。リット爺。あの、出来たらそのガキ呼び何とかなりません?」

「ほっほっほっ、まだケツの青いガキが生意気やの。それはお前のダンジョンの出来次第やな。」


ダンジョン紹介後、アサヒは小童に格上げされた。(本人は格上げなのか?と首を傾げていたが。)


「で、リット爺は【ゾンビ】とか【骸骨人スケルトン】を召喚できるってこと?」

「何も無いところからは無理やよ。死体がないとだめやんよ。」

「てことは当分は無理か…?いや、マーケットに確か…これは試してみる価値はあるな。強いかどうかは別として。」



「まずだぁ〜〜!!!」

「え?イアン?」

「なんやあのちんまいの。」


何故か第一階層にいるはずのイアンがダッシュでやって来た。第二階層の扉から。…え?どうやって来たんだ?


「まず、まずだぁ〜どうじよ〜。」


「どうした?そんな泣いて。」


やめろ、絵面が危ないことになっちゃってるから。俺が泣かした訳じゃない、多分。


「ジョーぢゃんがぁ〜」

「ジョーちゃんが?」



「だべられぢゃっだよぉ〜〜!!!」


食べられちゃったよ?ジョーちゃんが?

何!?それは大変だ!!!


……

………ジョーちゃんって誰?


ジョーちゃん、殺人事件っ…!アサヒはこの謎が解けるのかっ…!?みたいなミステリー展開はありません。精々ジョーちゃんが誰なのか分かるだけです。

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