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第6話 ボスが全員戦闘狂だと思ってた時期が俺にもありました

ブックマークありがとうございます。

今回は第二階層を造ります。


異世界に来て一週間が経った。

ダンジョン解放まで後8日だ。


二日酔いから復活した俺は遅れを取り戻すべくせかせか働いた。あんの酒狂い駄獣…恨むからな…。まぁ、あんたの賞金は有難く頂戴しますけど。グローリア様より高い5万DPだったし。


ゴブリンアサシン集団を鍛えオーガット達と連携を覚えさせる。

5人小隊で行動させ短刀の使い方も大分慣れていたようだ。


トリスとバトっていたオーガット達の成長は目覚ましくなんと【鬼人キジン】なんていうカッコいい種族に進化した。

人化ヒューマンフォルムというスキルを身につけ全く人と同じ姿になれるのだ。ふつーに喋れるし。鬼人本来の姿は立派な角が生えており筋骨隆々な大男だ。腰巻だとダサいので着流しを着させた。いや、ほんとかっこいい。

そんな鬼人達に感化されたのかゴブリン達がトリスに挑み始めた。もしかしたらオーガとかに進化するかもしれない。楽しみだ。


迷宮の緑化が進み野性味あふれる感じになって来た。先日俺たちに恐怖を植え付けた食人魔植物がナチュラルに混じっている。ヴァイやモス達が条件反射のようにビビっているのが面白い。

迷宮内の緑化だけでなく自室コアルームや宴会会場、居住区もイアンの育てた花が咲いていて華やかになっている。


モグ達の活躍により迷宮の罠も充実している。


結構色んなことがあったわけだが何より驚きだったのは1号と2号だ。

親睦会以降ダイアとアクアマリンの味がお気に召したらしく定期的にあげていた。

食べ続けること3日。

2人はゴーレムなんて名ばかりの進化を遂げた。

ダイアモンドを食べていた1号は【金剛岩人間ダイアモンドゴーレム】、2号は【藍玉岩人間アクアゴーレム】に進化した。

1号は透明化インビジブルそのまんま透明になれるため足が遅くとも気づかれずに接近できる。ゴーレムの弱点をカバーしたようなもんだ。ゴーレムなんか目じゃ無いぐらい硬くなってるし。

2号は体が水になっていて物理攻撃無効化という反則技をゲットしていた。もはや岩関係ねーよ。

2体とも新種らしい。レットさんがΣ(゜□゜*)と表示していた。


で、思った。1号はともかく2号は土属性を補正する迷宮内じゃ活躍の場が半減では?と。


「という訳で本日から第二階層を造る。」

『はい。』

「テーマは水属性。2号が活躍できる水場を用意する。レットさん、大部屋を1つ、内装【拐かしの大海】を設置。」

『10200DPを消費します。』


ズゴゴゴゴ…と音が響きコアルームが下がっていく。

その間モンスター達がパニックを起こしてしまった。すまん、一言言えば良かった。


「スゲー室内に海がある。夜空とか綺麗だわ〜。ここ本当に地下なのか。」

『ダンジョン内は一種の異空間のようなものですからね。ちなみに【拐かしの大海】は常時夜です。』


満天の星空に透き通った青い海。小島が点々とあり一番奥に大きな大陸がある。あそこがボスルームかな?

思わず息を飲むほどの絶景だ。これは想像が膨らむな。


「2号は今日からここで暮らしてな。第二階層は水属性だからピッタリだろ。」

「グガァ…(感謝しても、しきれません…)」

「喜んでくれたみたいで良かったよ。早めに海水に慣れとけ。」


2号も気に入ったみたいで良かった。海に入っていたらもうどこにいるか分からん。せっかくだし2号量産してみるかな。


次はこれに合うモンスターだな。おおよそ考えてはあるんだけど。


「やっぱ、海って言ったら人魚だよな。マーメイド×5召喚。」

『5000DPを消費します。』


「よろしくお願い致します、マスター。」

「おう、よろしくー。みんな美人だなぁ、流石は人魚。お前、リーダーな。名前はメイ。」

「マスターはお上手ですね。美人だなんて。」


いや、本当に美人なんだよ。

リアル人魚。ファンタジー万歳。


「お前らって歌とか演奏とか出来る?」

「ええ、マーメイドは戦闘より音で人を惑わすことが多いです。」

「そうか。レットさん、ハープ×5買って。」

『50DPを消費します。』

「雰囲気で選んだんだけど、使い方わかる?」

「はい。大丈夫です。」


人魚って言ったらハープだろ。似合うわ。

マーメイド達には歌や楽器の音色で惑わすことを得意とするので、幻、誘惑系統のスキル補正がかかる【拐かしの大海】にはピッタリだ。


「次はスライム×30。」

『30DPを消費します。』


スライムは一体1DPとびっくりするぐらい安い。ま、雑魚キャラだから当然といえば当然だな。


「ピュイ(マスターよろしくー。)」

「スライムってそう鳴くんだ。よろしくな。お前はリーダーで、名前はライム。という訳で色々実験するから協力してくれ。」

「ピュイ?(実験?)」


1号と2号が宝石を食べて進化したのだから、なんでも食べるスライムも変わったものを食べれば進化するかもしれない。


まずはLED電球。

5体に食べさせたらピカピカ発光した。種族名は【星明粘着体スターライトスライム】。暗い第二階層には明かりとして活躍してもらおう。


市販薬。

ピンク色になった。種族名は【治術粘着体ヒールスライス】。回復魔法が使える。治療要員だな。


洗剤、石鹸。

緑色だった。種族名は【泡出粘着体バブルスライム】。泡を出すスライム。この泡は目に沁みたり、くっ付いたら離れなかったり、かなり手強い。普通に汚れを落としたりもできるんだけど。


掃除機。

吸引力の変わらないただ1つのやつだ。種族名は【吸食粘着体サックスライム】。ある一定の範囲内に入ったものを吸い込む事ができ、そのまま溶かして食べる。


こんな変わった進化をしたが本来の水に溶け込む特性はそのままだった。

これを5体ずつ用意し残りの10体は通常のスライムだ。ゴブリンアサシン集団とバトってもらって訓練してもらう。

海の中にいて触手を出して冒険者を引きずり込んで、そのまま食べるとかな。


「次は…サハギンだな。とりあえず、5体。」

『3000DPを消費します。』


「主、これからよろしくお願い致します。」

「喋れんだ。よろしくー。お前、ギンな。戦闘って得意?泳げるよな?」

「ああ、泳ぎは得意だと自負しています。戦闘は相手によりけりです。」

「じゃあ、お前らはトリスの強化特訓逝きだな。」


漢字の変換がこうなるのは仕方ないことだろう。ギン達は首を傾げて一階層のボスルームへと向かっていた。頑張れ。お前らならやれるさ。


次はボスモンスターだな。


「レットさん、ボスルームってあの一番奥の大陸だよな?どんな感じ?」

『転移しますか?』

「え?そんなこと出来んの?」

『はい。先日の親睦会の際にトリスを転送したのと同じ原理です。』


あー体デカくて迷路内通れなかったからレットさんが宴会会場に転送したんだっけ。

モンスターができるなら俺にも出来るのか。


ヒュン、と風を切る音がしたと思ったら景色が変わった。

砂浜からだんだん岩場へと変わって行って真ん中には大きな湖、だと思ったら海水だったから海と繋がっているのだろう。

これだったら魚類系のモンスターを出せるな。


何にしようかな…あ、これがいいな。


大海蛇シーサーペントを召喚。」

『1万DPを消費します。』


「…………(ぺこ)」

「まさかのだんまりタイプ。」

「…ジャー…(喋べんの面倒…)」

「社会不適合者か。」


でかい図体して厳つい見た目なくせに性格伴ってなさすぎんだろ。トリスとは対極だな。ボスキャラって大概戦闘好きじゃないのか。


「お前の名前はペントな。」

「………(コクリ)」

「第二階層のボスモンスターだからちゃんと戦えよ?」

「………(ハァ。)」

「不満そうな顔すんなや。」


おいおい大丈夫なのか?ボスモンスターなのに敵前逃亡されたらヤバイんだけど。なんかご褒美ないと働かないんじゃないか?


「あーちゃんとやってくれたらご褒美出すから。なんかリクエストあるか?」

「ジャージャーーー(酒ネズミカエル魚卵甲殻類)」

「煩悩の塊じゃねーか。」


急にベラベラ喋りやがって。

まぁ、欲望に忠実なやつのほうが働くかな?


「分かったよ、その代わりちゃんとボスモンスターやれよ?」

「………(コクリ)」


不安だ。早急に第三階層を作らねば。ここが突破されたら直通で自室なんて怖すぎる。


湖を通り抜けて行くと何もない場所にポツーンと石の扉があった。形は何故か襖。横にスライドして開けると自室に繋がっていた。…階段もなしか。文字通りの直通。


ズドオオオン!!!


「!?何の音だ!?」

『第一階層のボス部屋からですね。』

「第一階層…あぁ。」


モニターで表示したら新入りに張り切ったトリスがギンとオーガット、ゴブ達をボコボコにしていた。

頑張れ、皆んな。


次回はペント君のボスキャラとは程遠い雰囲気に不安に襲われた主人公が第三階層に手を出します。

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