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第4話 飲んで食べて騒いで仲良くなろう!

「ちゃんと相手の動きを見ろー。急所を狙えー。掛け声出して周りと合わせろー。」

「「「ギィ!ギィ!ギィ!(1!2!3!)」」」

『私、ゴブリンが反復練習してるの初めて見ましたよ。』



異世界に来て2日目。俺は魔物の強化に勤しんでいた。

朝起きたらモグ達は無事に落とし穴を作り終わっていたようで1号達と一緒にコアルーム横の大部屋で爆睡していた。可愛かった。1号達は寝てるというよりスリープモードっていう方が合ってるけど。ついでにこの大部屋を魔物の居住区兼訓練場にしておいた。


奇襲と闇討ちを基本にするものの殺傷力があって奇襲を得意とするモンスターは今の所ヴァイだけ。

土魔蛾の鱗粉で混乱させた冒険者を後ろからザクッとやれる身軽な奴が欲しいなーと思って、ゴブリンアサシン集団を作ることにした。

リーダーの名前はゴブだ。ネーミングセンスねーな、我ながら。

短剣を与えて確実に相手の急所を狙うように訓練する。ゴブリンは知能が低いって言われてるから心配だったんだけど、教えて見せればどんどん覚える。

ゴブリン素晴らしい。

かなりカッコいいのでマーケットで買った子供用の忍者服を着せてみた。顔が隠れるからゴブリンって感じ全くしない。


それとは別に囮役のオーガを鍛える。

冒険者がオーガと戦ってる時に後ろからゴブリンがザクッ、みたいな。

オーガにはジムに置いてあるような器具を用意しよりマッチョになって貰うつもりだ。囮役だから威圧感って大事だよな。オーガのリーダーはオーガットにした。


モグ達はまた別のトラップの製造を頼んだ。大玉が転がってくるとか夢だよな。


そしてゴブリン達に指導をした後俺は自室コアルームの改装に勤しんだ。


「ふぅ、こんなところかな。どう?レットさん。」

『ワシツ、というのは和みますね。いいと思いますよ。』

「だろ?あー畳の匂い落ち着くわ〜。」


せっかくちゃぶ台を買ったので内装【和室】を設置した。畳にふすま、木の本棚。場違いなIHキッチン、冷蔵庫。電気ないのに使えたからビックリ。何で動いてるのだろうか。

ここだけ見れば本当にダンジョンなのか疑う作りだ。

ゴロゴロサイコー。


『マスター、トリスから通信が入っています。繋ぎますか?』

「あ、そういうこともできるんだ。繋いで。」


「グゴアアア!!!(おい!暇だぞ、主!!!)」

「暇って…何したいんだよ?」

「グルアア!(闘いたいぞ!)」

「おお…あーじゃあ、オーガ何人か送るからそいつらと闘えよ。殺したり、石化させたりしたらダメだからな。」

「グオオオオオ!!!(血が滾るぞぉ!!)」


トリス、予想以上に戦闘狂だったわ。

ジムのトレーニングマシンを使っていたオーガの5人を呼び出し大剣を渡しボス部屋に行かせた。泣きそうな顔してたのは気のせいだよ、うん。……後でご褒美あげよ。


「んーー…」

『どうしました?』

「…なんかさ、殺風景だよね、迷宮。」

『まぁ、迷宮とはそういうものですからね。』


レットさんに映る迷宮内の様子を見る。

延々土壁で色味もない、遊び心がない。後、隠れる場所が欲しい。


「……あ、そうだ。モンスターアプリ出して。」

『はい。』

「えーと、確か…あ、あった。このドライアドを召喚して。」

『3600DPを消費します。』


ドライアド高いなー。


「マスター。」

「おーしゃべれんだ。見た目も人間と変わんねーな。よろしく、…お前の名前はイアンだ。」

「!はい、イアン、頑張ります!」


ドライアドのイアンは少年とも少女ともどちらとも言えないが、どちらとも言える見た目をしていた。


「お前には迷宮内に植物を生やして欲しいんだ。土ばっかでつまんねーし。床は落とし穴とかあるから気をつけてな。」

「分かりました。植えて欲しい植物の要望ってありますか?」

「そうだな…幻覚とか見せる植物かな。方向感覚を狂わせたり、香りがキツかったり、かな?花は絶対だ。」

「はい!たくさん植えます!」


スタコラサッサーと階段を駆け上がっていく。行動の早いことだ。


これで見た目的にも楽しくなるだろ。

やっぱ遊び心大事だよな。


「キュイ!(終わった!)」

「お、お疲れ様〜。そうだ、なんか欲しいもんとかあるか?食いたいもんでもいいけど。」

「キュイ?(なんで?)」

「なんでって、昨日もだけど頑張ってくれたからご褒美と、思って。あ、1号達もなんかあるか?」

「キュ、キュイ!!!(一生ついてきます!!!)」

「おう?これからもよろしくな?」


なんかうるうるしながら敬礼された。なんでゴブリン達に教えた敬礼をモグ達が知ってんだよ。


ま、いいか。


モグ達は虫が食べたいらしい。

……虫か、ミミズとか、幼虫とかか?地中にいそうなのって。カブトムシの幼虫でもあげるか。


1号達は石だった。

ゴーレムって石食べるんだ。石ね……いっそのことダイアでも与えてみるかな。なんかマーケットにある商品やたら安いし。


ついでに他のみんなの要望も聞いてみた。せっかくだし親睦会するか。これからみんなで頑張ってくんだからな。


モス達は花の蜜がいいらしい。

花ごと買えばいいか。華やかになるし。


ヴァイは卵。

パックの生卵でいいのかな。栄養価高いって言うし。


トリスとゴブ達はお肉。

焼肉やるか。俺が食べたい。


オーガット達は酒。

なんか日本酒が似合いそう。


新入りのイアンは植物の種が欲しいそうだ。

ガーデニングでもさせてやるかな。


レットさんにも聞いたけどコアに飯を食べる概念が無いためいらないんだと。



大部屋をもう1つ作ってバーベキューセットを購入。肉も道具もセットだから便利だ。


せかせかと準備すること2時間。

飯のいい匂いが充満する。


「レットさん、みんなを呼びたいから全員に繋いでくれ。」

『はい。』


「あーあーこれから親睦会やるからコアルーム隣の居住区じゃない方に来てくれ。」



少ししてうちにいるモンスターが全員集まった。

トリスはギリギリなんとか入った。

みんなにジュースとかお酒を注いで、俺は盃を掲げた。(リンゴジュースだ。)


「今日はこれから頑張って行く仲間と信仰を深めるための会だ。存分に楽しんでくれ!乾杯!!!」


「グゴアアア!!!」「ギィ!」「ウガッ!!」

「キュイ!」「か、乾杯!」


見事にバラバラな音頭をとって親睦会という名の宴会が始まった。


「ギィ!(これ、美味いっす!)」

「ギィ!ギィ!(俺、このダンジョンに来れてラッキーっす!)」

「おーどんどん食って、頑張れー。」


「ふわああ!初めて見る花がこんなに!ありがとうございます、マスター!」

「おう。今度からモス達の餌にもなるからよろしくな。」


「キュイ!(こんなに味の濃いの初めて食べた!)」

「キュイ!キュイ!(さすがマスター!)」

「喜んでくれてるとこ悪いんだけど、見せないでくれ…。グロい。」


「1号はダイア、2号はアクアマリンな。」

「グガ、グガァ。(ありがと、ございます。)」

「グガァ。(感謝。)」

「お前らが喋ったの初めて聞いたわ。」


「シャー?(これはなんの卵ですか?)」

「鶏。トリスのちっちゃい版的な鳥だよ。飛べないけど。」

「……シャー…(主殿さすがだ。)」←あんなに強いトリスと同種の卵を用意するなんて…尊敬の眼差し。


「グゴアアア!!!(量が少ないぞ!)」

「もう業務用の食いきったのかよ…お前の食費やベーな。」


「オーガット、どうだ?飲んでるか?」

「ウガ…(開け方が分からなくて…)」

「あ、そっか。レットさん、栓抜き買って。」

『10DPを消費します。』


「これをこういう風に…」


キュポン!


ドシャ!


「え?」「ウガッ?」


栓を抜いた途端背後で何かが落ちる音がした。

振り返ると男がうつ伏せで倒れていた。


「ゔぅあ…」←ズルズル…這って移動。

「ヒッ…!」


貞○のBGMが似合いそうな這いずり方で徐々に近づいてくる。マジで怖い。なんか負のオーラ背負ってる。


「ゔぅ…さ…」

「さ?」

「酒……飲みてぇ…」


……願望が大分俗物的だな。

這ってまで欲しいってヤバくね。

酒瓶がこの男を寄せているようなのでさっさと飲ませて帰って貰おう。

すぐ後にこの行動を後悔することになるのだが、俺は満足させて帰って貰おうという考えでいっぱいだった。


「えーと、どうぞ…。」

「!」


男は酒瓶を引っ掴むとラッパ飲みした。豪快な飲みっぷりですこと…。しかも一気飲み。体に良くないぞ…。


「クハァ!生き返るぅ!うめーな、この酒!初めて飲んだぞ!」

「そうですか。じゃあもう帰ってください。」

「は?ヤダよ。宴会なんだろ?俺も参加させろ。」

「イヤイヤ、何言ってんですか。天から降ってきた身元不明者居座らせるわけには…」

「んあ?俺が誰だか分かればいいのか?俺は獣の神、ビースティッドだ。」

「……え?獣の神?」



「さあ、飲むぞ!野郎ども!」


ダンジョンに第二の神様がやってきた。…神様って激レアなんじゃないの?


やっと2人目出せました…。

次回もよろしくお願いします。

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