第27話 ダレ、カ、タス、ケ、テ
26話は昨日の投稿分だったので、これは今日の投稿分です。
そしてまたもや更新を2日お休みします。
申し訳ありません_/\○_
今回の話は蛇足です。いらないと言えばいらないのですが、私がノリノリだったんですよね。生暖かく読んでください。
美少女戦士 ミラクルエース様へ
突然手紙を送ってしまったこと、お許し下さい。俺だってこんなことしたく無いんですが、死ぬよりはマシなので筆をとりました。
いかがお過ごしでしょうか。貴方のことですからアホみたいに元気なのでしょうね。他人を巻き込みながら。俺は初めて貴方と出会った時のように気分が悪いです。胃の中の物を全てリバースしそうになるくらいには。
さて、前置きはこれぐらいにして本題に入りたいと思います。
御察しの通り、俺は異世界転移なるものをしました。一度死んでいるので転生かもしれませんが、この際どちらでもいいです。
順風満帆とは言い難い異世界生活を送っている中、貴方も同じ状況に陥ったことを知りました。きっと厨二でぶっ飛んだ変人奇人な上にオタク属性まで兼ね備えた貴方は歓喜したと思います。
貴方のような恥ずかしい人と関わり合いになりたくありません。本当に本当に不服です。今のこの状況が。
フィルティ大森林でお待ちしております。あそこは俺の庭なので森に入ってくれれば必ず見つけます。
PS 貴方の周りには異世界ヒロインがいないようですね。俺の周りにはビックリするぐらいたくさんいるので2人ほど引き取って頂けると幸いです。
孤独なヒーロー ブラックより
「変わんねぇなぁ。敬語なのに毒しか吐かないこの感じ。毒吐きまくって事情の説明がほとんどねぇな。にしても…いいねぇ、異世界ヒロイン。俺としては美乳がいい。」
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「ああ…手紙出しちまった……来る、来る、貞○よりタチの悪い奴が来る……。」
『来ぅる、きっと来るぅぅう〜〜♪』
「なんでそのBGM知ってんだよ、レットさん……。」
『オプションですかね?スマホゲームなどもありますよ。』
「俺への無駄な配慮。」
手紙を送りつけて1日。
俺の溜め息の回数はすでに30回を超えた。
憂鬱だ。何故俺は爆弾を自ら陣地内に入れるようなマネをしているのだろうか。
『いつまでたっても愚痴愚痴、辛気臭い。いい加減シャキッとせんかい!!!』
「出た、レットさんのお母さん節。まぁ、そうなんだけどね……はぁ…。」
『あの面倒くさい方々に振り回されるより良いではありませんか。』
「駄女神御一行並みにあの人も面倒くさいんだよ…つか、キャラがわからん。」
あの人、本当ブレッブレだからな。演技力高いし。……エマージェンシー先輩被害者の会の皆んな元気かなぁ。
『噂をすればなんとやら、ですね。』
「………寝よ…。」
『現実を見ましょう。来ましたよ、勇者が。』
画面に映された工藤先輩はファンタジー感溢れる格好をしていたこと以外はそのままだった。元々スポーツしてたから体格は良かったし。
……はぁ、工藤先輩が動いて喋ってる……
『生きてるんですから当然ですよ。』
「そうなんだけど、そういうこっちゃ無いんだよ…。」
動きたがらない体を叱咤し立ち上がる。
俺は意図的にダンジョンマスターやってることを言わなかった。冒険者として生計を立てていると誤魔化すつもりだ。勇者の捕縛が依頼内容ではあるが、詰まるところ誰が工藤先輩を召喚したのか分かればいいのだ。俺も召喚した奴を捻切ってやりたい。
「リリー、ジン、準備はいいか?」
「はい。しっかりとお守りいたします。アサヒ様。」
「ご主人様もそんなに気負い過ぎですわ。」
「そうだよな…。あ、2人とも俺のことアサヒ様とかご主人様とか呼ぶなよ?俺が貴族みたいに思われる。」
「分かりましたわ。気をつけますね。」
「呼ばない自信が無いので黙っているようにいたします。」
貴族とか思われたらあの人は確実にからかってくる。特に美人のリリーにご主人様なんて呼び方されるのがバレたら…付き合いの長い俺でも予測がつかない。
「ふぅ…それじゃ、行くぞ。」
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俺は静かな森の中で工藤先輩と対面した。
気分は死刑場に歩いていく罪人の気分だ。そのレベルで気が進まない。
そして、会って早々、後悔した。
リリーとジンを視界に入れた途端キチガイはドロップキックをかまして来た。俺に向かって。
突然ことでまともに反応が出来ず尻餅をつく。後ろの2人はすぐに動き出そうとしたが、先輩の爆弾に停止した。
「酷いじゃねぇか、朝陽!俺と言うものがありながら!」
どこぞの昼ドラのライバル女のようなセリフをぶちかまして来た。涙目で。
「は……え?」
「異世界なんてところに呼び出されて不安に駆られた毎日を送っていたのに、お前はお楽しみだったみたいだな!」
「あんたは絶対楽しんでた、絶対楽しんでたでしょ。異世界ライフイヤッフゥウ!キタコレ!とか言って毎日楽しんでましたよね!?」
「俺の気持ちを弄んだのか……?確かにお前は生き別れの兄である俺を想ったことを苦痛に思っていた…でも、一緒に乗り越えようって誓ったじゃねぇかよ…。」
「真顔でぶち込んできますね、キレッキレですね。ホモ路線とか勘弁しろ。」
「知ってるぜ、お前のソレが照れ隠しだってことを……。お前が氏ね、とか言って最後にはせがんでくるんだからな……。」
「あんたマジでヤメろ下さい。なんで、そんな無駄な演技力フル活用してんすか。」
この間、俺はじりじりと木に追い詰められている。ヤバイ、このまま行くと壁ドンされる。
た、助けて!リリー、ジン!
助けを求めて向いた先には残酷な現実が待っていた…。
「あ、えっと、私はそういうの気にしてませんわ。女の人に一切興味を示さなかったのはそういうことだったんですわね。」
「違う違う違う、それはダンジョンマスターのオプションだ。」
「アサヒ様、俺もその言いふらすようなマネしませんから。これでも口は堅いんです。信用してください。」
「今すぐお前の脳内で考えられてることを吐き出しやがれ。一から訂正してやる。」
迫真の演技に騙されてやがる(泣)
この男のホモ劇場にも散々悩まされてきたものだ。俺が欠伸をして昨夜寝れなかった、と言えば、昨日はお楽しみだったな……と艶っぽい声で囁かれその場にいた俺の友人を巻き込み三角関係ど修羅場をやらかされたこともある。
その時はおふざけで済んだものの、こちらの世界では冗談が通用しない場合が多い。
先日俺が遊びに来たビースティッド様に「あんまり酒ばかり呑むと身体中の毛穴という毛穴からアルコール噴き出しますよ。」と真顔で言ってみたら、本気にして「それでも俺は酒を呑む(キリッ)」とキメ顔をしてくれた。
訂正するのも面倒だから今度来た時寝ているビースティッド様に酒を掛けて「か、体からお酒がっ!」とでも言っておこう。
いや、今は駄獣神のことはどうでもいい。
何が言いたいのかって言うと、俺と先輩ホモ説が信じられてるのだ。
ヤバイ、ヤバイぞ。
だからこの人と関わりたくなかったんだ。まず、間違いなく俺の日常に大打撃を与えるだろうと思っていたから。
「2人とも久しぶりの再会だから楽しんでくださいね!」
「そうですわよ!こちらのことは気にしないでくださいませ!」
「待って、待って、俺を置いてかないで!このキチガイと2人っきりにしないでくれぇええええ!!!」
俺の腹からの叫びも虚しく、2人っきりという絶望的な状況に追いやられた。
ギギギ…と油のさしてない機械のごとく首を動かし前方に立つ先輩を見る。
なんだ、そのやり切った、みたいないい笑顔は。氏ね。
「いやぁ、久しぶりだな、朝陽。大丈夫か?傷は浅いぞ?」
「どの口が言ってんですかぁあ!!!」
「この口。」
「黙りやがれ、このど腐れ愉快犯!!!傷は浅い?どっこっがっだっっっ!!!!大やけどですよ!!!」
「何言ってんだ、ピンピンしてんじゃねぇか、お前。」
「見た目に現れたらビックリですけどね!?内面、内面、俺のガラスのハートがブレイクン!!!」
「お前のハートは防弾ガラスだろ?」
「その防弾ガラスのハートが木っ端微塵に砕け散るほどの大ダメージってことですよ!!!」
「そこは否定しねぇんだな。」
「次こんなことしたらっ…」
「ふぅん?」
怒りでギリギリと手を握りながらすごむ。俺の顔は真っ赤っかになってるだろう。
「乱暴する気だろ、エロ同人誌みたいにっ!」
「………」
不敵な顔で腰に手を当て踏ん反り返ったイケメンがこんなセリフ言うんだぜ…?もうどうしたらいいんだ、吹き出せばいいの?
「乱暴する気だろ!エロ同人誌みたいにっ!」
「なんで言い直したっ!?」
「無反応だったから。」
「いい加減にしろよ、もおおおお!!!」
頭を抱えて再び絶叫。こいつも神様枠だろ。むしろ神様より危険。ダメージがデカイ。なんで俺あの日この人と出会ってしまったんだろう。
「それはさておき。」
「何がそれはさておき何ですかね?俺のメンタルぶち壊すのなんてどうでもいいんですかね?」
「さっきのダンジョンマスターってどういうこと?」
あ、死んだ。
話が全然進んでないっ!キャラが濃いんだよなぁ、工藤先輩。
完全におふざけ回ですみません。次回からはちゃんとダンジョンとして進んでいきます。(多分)




