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第19話 男の夢はいつ何時でもカッコよさで出来ている

明日の更新はお休みとさせて頂きます。ちょっと、一度に色々と用事が出来てしまいまして…。今後もよろしくお願いします。

「さてと、第4階層を造ろうか、レットさん。」

『はい。』

「大部屋増やして、内装【拐かしの火焔】設置!」


久しぶりにダンジョンの増築に着手。今回は火属性の階層にするつもりだ。これは前々から考えていたのだ。うちのダンジョンも結構バリエーション豊富になってきたな。


この【拐かしの火焔】は当たり前だが誘惑、幻属性への補正がかかる。


「なんだけど、火属性のモンスターって誘惑系統いないんだよね。」

『火属性は純粋な戦闘力が高いのが魅力の1つですからね。』


どいつもこいつも戦闘特化。性格が出てるんだろうか。なのでこの階層は絡め手ではなく正面からのバトルがメインとなる。


コアルームでレットさんに出来上がったばかりの第4階層を映してもらう。本当なら直接見たいのだが、ただの人間の俺がこのフィールドに入れるはずもなかった。何故ならマグマが噴出していて気温は50度越え、とてもじゃないがクーラーで一日中快適生活を送る俺には難易度が高かった。暑さに耐性のある者しか生息できないだろう。


「今まで準備してきた3、4、5号の住処が出来たな。」


そう、前々から火属性のフィールドにするつもりだったので、ゴーレムに赤色のガーネットを与え続けた。予想通りの進化を遂げてくれた。【紅柘榴岩人間イーグニスゴーレム】という真っ赤なゴーレム。火の魔法、及び火への耐性が強く、ここでも問題なく暮らせるだろう。火の魔法はキラリちゃんが教えてくれた。強大な魔法が使えるようになった、とニコニコ顔で報告してくれた。……俺は使えないのに……。


『いちいち凹まないでくださいよ、次行きましょう、次。』

「分かったよ。」


レットさんの当たりが強い。いつものことなんだけどね。


「【炎猛狼ファイアウルフ】×10召喚。」

『5000DPを消費します。』


このモンスターが一番楽しみにしていたと言っても過言ではない。


「モフモフだ!!!」


モフモフ。我がダンジョンにおいて最も不足しているモフモフ。うちは人型が多いから獣は初めてである。両手で抱きついてモフろうと触ったらこっちが火傷した。炎猛狼の体毛は触ると火傷するらしい。この体毛を活かした体当たりはとても危険…ちくしょう!目の前に、目の前に、モフモフがあるのにィ!


「触りたい、触りたい、触りたいーーーー。」

『いい加減諦めてください。ほら、あんまり放置しておくと畳が焼けますよ。』


レットさんの忠告にばっと顔を上げるとウルフの足元の畳がじゅうじゅうと焼け焦げていた。やべっ!


「お前がリーダーな。名前はウル。よろしく。」

「ガウッ!(よろしく頼むな!)」

「という訳だから、第4階層に転送するな。指示は後で出す。」


パパッと転送し、焼けた畳を見る。火までは付いていないが真っ黒になってしまっている。次のモンスターは第4階層に直接召喚しよう。会えないが仕方ない。俺の自室のためだ。


「【火精霊イフリート】を召喚。」

「1万DPを消費します。」


精霊なのにモンスター枠なのがよく分からないがとりあえず召喚できた。男の体だが見た目は人とは言い難い。髪の毛は炎で出来ており顔には二本の角が生えた仮面、太い尻尾がのたうち回り、身体中から火を噴出している。おーカッコいい。


「えーと通信で悪いな。マスターのアサヒだ。よろしくな。」

「………。(コクン)」


うわ、これは二体目の無言タイプか?ペントと同じタイプはちょっとなぁ…いいんだけど、働いてくれれば。こいつはボスモンスターにするつもり無いし。


「えーと、お前の名前はトオリだ。第4階層を他のモンスターと協力して守ってくれ。」

「………。(コクン)」

「…あのさ、喋ってくれると嬉しいんだけど…。」

「……は、」


お、何か喋ってるな。声ちっちゃいけど。レットさんがすかさず音を上げる。出来た相棒だよ。


「……は、」

「は?」

「…恥ずかしい……」

「そう来たか。」


恥ずかしい方か。コミュニケーションに問題があるだけで性格的には問題無い筈だ。ペントのニート思考よりかはマシだ。


「そっか。無理して喋んなくてもいいぞ。ちゃんとダンジョン守ってくれればな。」

「………。(コクン)」


頷いて炎が一気に膨れ上がりトオリの姿を隠したと思ったら、すでにトオリは居なくなっていた。どこへ行ったんだか。


『憶測ですが、体を炎に分解して姿を消したのだと思います。』

「あいつ、もしかして姿を見せるのも恥ずかしいんじゃ……。」

『その可能性が高いかと。』


まさかとは思うが姿を消したまま戦うのか?いや、それはそれで強いけどさ。


「さぁ、いよいよボスモンスターだな。」

『今迄キャラの濃いモンスターばかりでしたからね。今度は何が出るのやら。』

「戦闘狂、ニート、孫好き爺さん、だからな。もう何が出ても驚かない自信がある。」


そして、俺が単純に見たいモンスターがこいつなのだ。こいつだけなんか高い。今までの最高額は1万だったのにこいつは5万だ。でも、それだけ強いってことだ。オプションも多いし。火属性の階層を作ると決めた時ボスモンスターはこいつ1択だった。


「【炎竜サラマンダー】召喚!」

『5万DPを消費します。』


第4階層に現れたのは燃え盛る炎を纏ったドラゴン。大きな二対の翼をはためかせ空を駆ける姿は大空の覇者に相応しい堂々たる姿だった。広い筈の第4階層が一気に狭く感じた。


何が言いたいのかっていうと、


「か、カッコいい〜〜〜!!!」

「うははは!お前よく分かっているじゃないか!そうだ、俺様はかっこいいだろう!」

『マスター。』


喋った。普通に喋った。そして俺様、俺様か。


「うむ、俺様は最強の竜種だからな!喋ることぐらい容易い!」

「おおお!得意技、ブレス、ブレスが見たい!」

『マスター。』

「さっきからなんなのさ、レットさん。今興奮してるのに。」

『現実を見てください。』


何を言ってるんだ?レットさんは。俺はちゃんと現実を見てるよ。レットさんの画面に映った強靭な肉体を持つ赤色のドラゴンをーー…あれ?


「あれ?さっきのドラゴンは?ファイしか映ってない。」

『こっちに転送しました。マスターがなかなか現実に戻ってこないので。実物を触れば分かるでしょう。』


そう言って見回すと大きな卵があった。大きいっていてもダチョウの卵ぐらいだけど。1つダチョウの卵と違うのは赤いまだら模様がついてることぐらいだろうか。…アレ?え?さっきまでのドラゴンは何処へ。


『マスターが出てきた卵を見て現実逃避した結果の妄想によって生み出された偶像です。』

「つまり、俺の妄想。あの、カッコいい、ドラゴンが、俺の妄想。」

『そうなりますね。』


道理で俺の理想通りのドラゴンだと思ったよ。……卵、卵かぁ…。


「これってドラゴンの卵なんだよね?」

『そうですね。』

「俺は炎竜を買ったんだけど。5万も掛けて。」

『マスター、現実はそんな簡単にはいかないってことですよ。』


5万も掛けたのに、卵からスタートってそりゃ無いんじゃないの?しかも産まれたところで生体とは程遠いよね、これ。赤ちゃんからだよね。……ドラゴンの赤ちゃんとか見てみたいけども。俺はカッコいいドラゴンが見たいのであって。


『気長にいきましょう。あっさりと目標に辿り着いては怠け癖がついてしまいますよ。』

「それもそうだけどさぁ…。ちょっと期待してた分テンションが下がるというか…。」

『育てあげれば戦力になりますよ。それに竜種はどれも凶暴で手のつけられない個体も多いですから。マスターが一から育てて親という認識をさせた方が後々楽ですよ。』


確かに、今まで俺の召喚したモンスターは必ず言うこと聞いてくれたけど、誇り高い竜種が俺みたいな人間に従ってくれるのかっていうと疑問だ。もしかしたらそのあたりのことを加味して、卵からスタートなのかもな。そう考えれば、良心的な設定と思えるな。


「…でも、どうやったら羽化するんだ?あっためればいいのかな?」

『史実には高温で温めれば温めるだけ、強い炎竜が生まれると言われています。』

「高温ねぇ。」


だったらトオリに延々あっためてもらうか。火精霊イフリートならありえないぐらいの高温を出してくれるだろう。羽化したら、俺が育てて……大きくなったら背中に乗って空を飛んで…うっは!夢が膨らむわー。


「楽しみだな!」

『さっき迄の絶望しきった顔は何処へ……』

「俺は切り替えの速い男なんだよ。」


ドラゴンを駆る俺、カッケー。早く生まれてくれよーー、俺のカッコいいドラゴン!



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