表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/39

第1話 ダンジョンマスターになったら初めにすること、それは通報



俺の名前は小原おばら朝陽あさひ

今年で高校2年生になった俺は通学のためホームで電車待ちをしていた。

上り方面のホームは人がたくさんいてここにいる人たち全員がこの後くる電車に乗るのかと思うと元々低いテンションがより低くなる。

もう1年半も電車通だが満員電車というのは慣れない。

はぁ、下りの高校選んどきゃ良かった……。今更後悔しても遅いんだけど。



トン


「え?」



何が起こったか分からなかった。


ただ電車を待っていただけで少し憂鬱な気分だったが別に自殺願望があるわけじゃ無い。

自分から電車に突っ込むなんて以ての外だ。

でも自分の体は黄色い線を超えて時間通りにやってきた電車の前に躍り出た。



あ、死んだ。





「…あれ?痛く無い?」


次に目を開けた時俺は何も無い真っ白な空間にいた。終わりの見えないただただ真っ白な空間。

そこにたった一人。


「あの世的な場所なのか?絶対電車に轢かれただろうからな。」


一体何だったんだろう。

背中を誰かに押されたような感覚がした。

俺ってそんな恨み買ってたかな…。

いつの間にか俺を殺すほど恨んでた人がいたとは。

もしくは快楽殺人みたいな頭トチ狂っちゃってる奴とかな。


「にしてもこれはどうしてればいいんだ?俺は待ってりゃいいんかな。」


手に持っていたバッグはどこにもなかったのですることも無いしひたすらボーッとしていると後ろから女性の声が響いた。


「…た、そこのあんた!」

「はい!?」


び、ビビった……。ボーッとしてた所に急に怒鳴られたから……。


振り向くとブロンドのウェーブがかかった長髪にエメラルドグリーンの勝気な目をした白いワンピースの美人さんがいた。

……なんだろ、美人なんだけどこのそこはかとなく漂う残念臭は。


「あんたよ、あんた!この私に呼ばれたんだから一発で返事なさい!」

「いや、急にそんなこと言われても……。」

「まぁ、いいわ!地獄に行く前に私が拾ってあげる!だから、匿いなさい!」

「は?匿う?」


え?何、犯罪者?

というか俺って地獄決定なの?裁判とか無し?

幾ら何でも理不尽過ぎるぞ。


「グローリア様ぁ〜どこですかぁ〜。」

「まだお仕事溜まってるんですよ!」

「ゲッ!!」


突如何も無い空間に声が響いた。

キョロキョロ見回すも俺と女の人しかいない。

なんなんだよ、一体……。

会話から察するにアレだろ?仕事おさぼりんなんだろ?部下から逃げ回ってるんだろ?


「さっさと逃げるわよ!」

「いや、でも仕事やんないといけないんじゃ……」

「きゃーーーー!!!その忌々しい呪いの言葉は聞きたく無いの!黙って!」

「呪いの言葉って…義務は果たしましょうよ…。」

「たかだか20年も生きてないようなガキが私に指図すんじゃ無いわよ!さぁ、愚痴愚痴言ってないで行くの!」

「へ?うおわ!?」


右手首を掴まれ女の人(えと、グローリア様?)が走り出してジャンプした。と思ったら人ひとりが入れそうなぐらいの黒い穴が開いてそれに入った。

俺もグローリア様に続く形で穴に飛び込む。


「よし、ここまで来れば大丈夫ね。」

「……部屋?」


穴の先は地面が剥き出した正方形の部屋だった。

真ん中に台座があってそれに淡く発光した球体が設置してあるだけの殺風景な場所だった。

家具なんてものも無いし。


「ここが私の別荘になるわけね!あんた、頑張って作んなさいよ!」

「はい?」


なんで俺が貴方の別荘作らなくちゃいけないんだよ。道具も何も無いし地中だろ、ここ。


「私はね、働きたく無いの。」

「堂々と宣言することじゃ無いですよ。」

「それで部下から逃げられる場所が欲しいのよ。」

「うわ、無視した、人の話無視した。」

「だから、あんたにはダンジョンマスターになってもらってダンジョンを作りつつ私の別荘を作って欲しいの!」


この人…サボるためにそこまでするか……。


「えーと、まず、ここってどこなんですか?ダンジョンとか言ってますけど。後俺死んだんですけど勝手にこういうことしていいんですか?」

「ここは地球じゃないわ。幾つかある異世界のうちの一つ。剣と魔法のファンタジー異世界だと思ってくれていいわよ。あんたをここに連れてきたのは問題無いわ!なんたって私は女神だから(ドヤァ)!!」


ドヤられた。殴りたい。

サボるために他人働かさせる女神信仰する人いんのか。

つか、女神か、女神。

誰だ、こいつに女神なんて称号与えた奴。見る目ねーな。


「それじゃ、私は寝るから。そのダンジョンコアが後のことは説明してくれるわ。」


そう言ってパチンと指を鳴らした。

するとどこからともなくベッドが出てきてグローリア様はダイブした。

すぐに寝息が聞こえてくる。口からはだらし無くヨダレが垂れていた。

…神もへったくれもねぇな。


「別荘は作んなくってもいいよな。うん。こいつの為に働くとか癪だし。」


そもそもここはダンジョンなのであってこの女神の家では無いのだ。


というかこういうのって神様が事前説明するんじゃ無いの?

コアに丸投げって。

どうやって起動するのかぐらい教えろや。


「んースイッチがある訳じゃないな…触ればいいのか?…触った途端情報が大量に流れてきて頭痛い、とかお約束展開ないよな?」


ペタンと触れる。生暖かい感覚を感じる。

と、長方形の黒い何かが出てきた。

慌ててキャッチすると画面が表示された。…タブレットか?これ。

画面には日本語の文字。


『小原朝陽をダンジョンマスターに設定します。今後はこれを使用しダンジョンの拡張を行ってください。』

「手続きとかいらないのか。拡張たってどうやるんだ?」

『話しかけていただければ説明いたします。』

「マジか。どこぞの神様より優秀じゃないか。」


怠ける女神よりちゃんとしてる奴でよかった。タブレットだからなんとも言えないけど。

なんかSi○iみたいだな。


「ん?この下にある電話マークってどこにかかるんだ?」

『そちらはサービスセンターの方に掛かります。ダンジョンサービスセンター、天界コールセンター、魔界コールセンターの三つになります。』

「…天界コールセンターって神様がいるところに掛かるのか?」

『はい。』


スッと後ろで寝ている駄女神を見やる。

……部下の人たちが可哀想だもんな。


「天界コールセンターに掛けてくれ、あ、お金取るか?」

『いえ、無料です。掛けます。』


PLLLLLLL………ガチャ


『はい、こちら天界コールセンターです。本日はどういったご用件でしょうか。』

「あの、グローリアって名前の女神様がここにいるんですけど。」

『え?グローリア様がですか?』

「はい。ベッドで寝てます。」

『……はい。今すぐ迎えをよこします。ご協力ありがとうございます。』

「いえいえ、これぐらい。では。」


プツン


待つこと10分。


「グローリア様?」

「んぅ、何よぉ〜………ノイジィ!?な、なんでここに!?」

「なんでじゃありません。さあさあお仕事しましょうね。」

「いやー!!!ちょ、助けなさ」


ドナドナされてった。

良いことしたぜ、俺。


ダンジョン作り始めるのは次回からになりそうです。(多分)

頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ