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第14話 ガッチャガチャ

ブクマ、評価ありがとうございます。

アドバイスなど要望があれば気軽にお願いします。


ダンジョン開放から1週間。

特に変化なし。

いや、びっくりするぐらい誰も来ない。元々この大森林は危険視されていて滅多に人が近寄らないらしい。近くに冒険者ギルドがある訳でもないし、農村で警備をしている男達もモンスター相手に戦えるほど強くもないし。森に珍しい薬草とかもないからわざわざ侵入してこない。


何が言いたいのかって言うと、暇だ。


「暇だ。」

『平和でいいではありませんか。』

「…平和じゃない部分があるけどね。」


主にフラストレーションの溜まるトリスの相手をしている鬼人やギン、ライム、ゴブ達が。なんか、進化したのにトリスに勝てる気配がしないのはなんでだろう。その内進化するかもしれない。


ちなみにリット爺は今だに帰ってこない。本当にどこ行っちゃったんだよ…。


「あんまりにも暇なので、ガチャに手を出してみようと思いまーす。」

『大丈夫ですか?』


そんな胡乱げな視線を向けてこないでよ。だって100万もあるんだもん。使いたいじゃん。…ここ1週間収入が地脈だけだから生活費がなくなるかもしれないけど。

たまには運だめしもいいじゃないか。俺ってゲームとかのガチャって物欲センサーに引っかかって欲しいユニット絶対当たらないんだよね。なんなんだろうね、アレ。確率アップって言ってるのに出ないあの感じ。


「えーと、一番低いのから、500、1000、5000、1万、10万、100万……100万引く人とかいんの?」

『そうですね…大規模ダンジョンのマスターは引くとは思いますよ。何せ出るのはドラゴンとかですから。』


ドラゴン…カッケー。そこまで金持ちじゃないからな、俺。夢ではあるけど今のところ侵入者が一切来ないから、本当に夢のまた夢だな。侵入者を殺すとかダンジョンバトル以外で何か稼ぐ方法ないかな…。


「まずは、一番安いので行くか。500DPガチャ回しまーす。」

『てれってれってれーんダカダカダカダカ、ジャン☆』

「待って、それ口で言ってるよね?スッゴイ棒読みなんだけど、喋れるよね、絶対喋れるよね。」

『気のせいです。』


ガチャのミュージック絶対口で言ってる感じだったんだけど。最後申し訳なく☆飛ばして。


「で、何が当たったの?」

『ボン!』

「そこも口で言うんだ…わっ!」


急に何もない空間に爆発が生じた。ガチャのエフェクトへのこだわりを感じる…。


「何これ…箱?開けるの怖え。」

『開けてくださいよ、勿体無じゃないですか。』

「そだね。開封!」


ビューーービュッビュッ、ピューー⤵︎


開けた瞬間黒い水がかかった。勢いよく水鉄砲みたいに噴出された黒い水は、最終的に弱まりしょんべん小僧並みにちょろちょろになってなくなった。


ジャージ、ビショビショなんだけど。


「おえ、何、何なの。ハズレか何か?」

『いえ、これはモンスターですよ。』

「…イカ?」


三角の頭に触手。カラーリングは白ではなく水色っぽい。イカスミかけられたのは怒ったってこと?


『【痺レ烏賊(スタンスクイド)】の幼体ですね。』

「痺れ…?いっ…!?」


あのイカスミに痺れ効果があるのかっ…!顔面にかかったから口が引きっつって体が痙攣しだした。その後10分は動けなかった。幼体でこれかよ…!


『【痺レ烏賊】のイカスミはある程度鍛えていれば大して効果はありませんが、貧弱な者には猛威を振るいます。』

「レットさんは俺のことを貧弱って言いたいの?」

『……ノーコメントです。』

「否定しよう!?」


最近、レットさんの毒舌っぷりに磨きがかかってる。うぅ、俺マスターなのに…。俺にそんな風格ないのも知ってるけどさ。

痺レ烏賊はスクイと名付け、サボってダラダラ気味なペントに預けた。本人はとってもイヤイヤだった。たまには働け。


「気を取り直して次行こう。飛ばして5000でもやるかな。レッツゴー。」

『てれれんてれれんてれれーんジャ、ジャ、ジャーン♪』

「いちいちミュージック変わるんだ。」


芸が細いな。


先ほどのより大きめの…人ひとりが入れそうなぐらいの箱が出てきた。正面から開けても大丈夫かな…俺さっきの二の舞は嫌なんだけど。


ガタン!


……

………

…………


「今、揺れたよね?」

『モンスターが出たがってるだけですよ。』


ずるり……


「イヤイヤイヤイヤ、アレダメな奴だ、なんで人間の手が出てくんだよ。黒い髪の毛っぽいのが見えてるから。」

『覚悟決めなさいな。男でしょ!』

「レットさんの謎のお母さん節ぃ!」



「マジカル少女キラリちゃん参上☆貴方のお願い叶えちゃうよ♡」


「き、キラリちゃん…?」


レットさんと言い争いをしていたら勝手に蓋が開いて同い年ぐらいの女の子が出てきた。

黒髪のツインテールをピンク色の大きなリボンでくくり、あの、プ○キュアが着てる可愛い衣装みたいなのを纏ってピースしてる。手には先っぽにハートがついてるステッキを持ってる。


「ちょっと待って、マジカル少女キラリちゃんだっけ?」

「うん!キラリちゃんだよ♡」

「少女は無理があ」

「アァン?」

「ナンデモアリマセン。」


スッゴイドスの効いた声だった。ヤクザも真っ青のメンチ切りだった。何この子怖い。


「えーと、キラリちゃんは何をしてくれるんだ?」

「何か1つ、貴方のお願いを叶えるよ♡」


……えーと…


妖精フェアリー族だと思います。原型とどめていませんが。』

「妖精っ!?」

「違うの☆マジカル少女キラリちゃんなの♡」

「そこは意地でも通すんだ……。」


妖精がなんでこんな怪しい商売してんだよ。後、妖精って俺たちとサイズ変わんないのね。


「キラリちゃんは1つお願いを叶えたら居なくなるのか?」

「うん☆貴方のお願い叶えたら、次の人のお願いを叶えに行くの♡」

「まさかとは思うけど、代償とかないよね?」

「…………。」

「無言って。」


下手に頼んだら妖精の力的なアレで色々盗んで行きそうな……。


「だって…だって!仕事なんだもん!」

「え?仕事なの?これ。」

「そうなの!後でお金を貰って生活してるの!」

「有料なんだ。」

『妖精族は種族的な性質で嘘をつけませんからあっさり白状しましたね。』


ことごとくファンタジーをぶっ壊しに来るな。妖精がお金で生活するの?日光とかを浴びて生きてんじゃないのか?


「つまり、こうやってガチャの景品として色んな人のとこに現れてお願いを叶えて、お金を取ってるわけ?」

「じゃないと生活出来ないんだもの。私以外に30人の妹を養わないといけないのよ。」

「大所帯だな、おい。…なぁ、あんた何か得意なことある?」

「得意なこと…?魔法は得意よ。」

「へー、じゃあ、俺のとこで家庭教師として雇われない?」

「家庭教師?」

「そう、魔法の家庭教師。」


なんかこのままほっといたら色んな人が被害に合いそうだし。決して、決して、可愛いからとかそう言うんじゃないからね?良心からだよ、うん。


「報酬はお金はないから食べ物でどう?何が欲しいか言ってくれればそれでいい。キラリちゃんが言った分だけ払うよ。」

「それで、貴方に教えればいいの?魔法。」

「俺もだけど、うちのダンジョンのモンスターにもかな。休みもいつでもとは言わないけど、俺に報告してから休むこと。そんなとこかな?」

「ほ、本当に、それでいいの?その、私、争い事好きじゃなくて…」

「戦わなくてもいい。教師をやってもらうんだから。でも、人が死ぬは仕方ないことだからな。容認しろよ?」

「う、うん。それはもちろん。あの、じゃあ、精一杯頑張るから、よろしくお願いします。」

「おう、よろしく。」


ペコ、と頭をさげるキラリちゃん。最初キレたときグローリア様と同じか?とも思ったが普通にいい子だった。よしよし、魔法使ってみたかったんだよ。せっかくなんだしさ、少年の憧れなんだからさ。まぁ、使えたところで正面切って戦ったりしないけどね。


『…また、カップル出来そうですね。』

「さすがに今回は大丈夫でしょ……別に作ってもいいけどさ。」


うちは職場恋愛オッケーの安全なダンジョンだからな。


『マスター、侵入者です。』

「え?マジで?」

「し、侵入者っ!?敵!?」


俺以上のビビリっぷりだな、キラリちゃん。


「どんなの?いよいよ人間?」

『まだ森ですね。表示します。』


キラリちゃんも気になるのか覗き込んできた。


映っていたのは短い茶色い髪にTシャツ短パンの薄い格好、手には折れてしまいそうな木の棒を持った10歳くらいの少年だった。


まさかのダンジョン初の人間が子供。


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