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第9話 末永く爆発しろよ!

先日初のポイント評価をいただきました。

これからもよろしくお願いします。



マグロパーティーの3日後。

つまりダンジョン解放まであと5日。色々やっていると時間が経つのが早いもんだ。ダンジョン作りもいよいよ佳境である。


俺の前には9体のスライム。

先日進化したいと言っていたノーマルな奴らだ。


「じゃあ、やるぞ。上手くいかなかったらごめんな。」

「ピュイ(大丈夫だよー)」


まず、刃物類。

単純に包丁とかモンスターアプリにある武器を沢山食べさせた。徐々に鋼色に変化し最終的にカチコチになった。スライムなのに。

種族名は【武将粘着体アーマースライム】。自分の体を武器に変形させるなかなかカッコいい能力を持ったスライムだ。スライムなのに。


次に金。

俺初めて触ったわ。金を食べさせるなんて普通の金銭感覚を持った人なら絶叫ものだが、いかんせんマーケットの商品は安い。金塊1つで100DP。吸い込むスライムを見ながら俺金持ちになったなーとくだらない事を考えていた。

結果はアホみたいに硬い【金宝粘着体ゴールデンスライム】。こいつらの凄いところは魔力を使って擬似金塊を生み出せるところだ。実際はただの泥。本物食べたのに偽物しか生み出せないのはなんとも言えない。


最後にモス達から採取した鱗粉。あの幻覚を見せる、というやつだ。正直スッゴイ心配である。俺の心情としては麻薬を食わせていいのだろうか…だ。食べて教育番組のような惨状になったら目も当てられない。だがしかし試してみたい、という思いもある。


「で、これ危ないものなんだよ。食べたらどうなるか俺にも分かんない。マジでやる?」

「ピュイ、ピュイ(心配症だな〜マスターは。大丈夫だよ。スライムと人間じゃ体のつくりが違うし。基本何食べても大丈夫ー。)」


確かに。

実際あの殺人植物を食べれちゃうわけだし…。大丈夫かな?

まぁ、物は試しだ。本人達はやる気満々だし。


で、食べさせてみた。


俺は今とっても感動している。モンスターの無限の可能性に。


鱗粉をそりゃもう大量に食べさせたスライム達は【幻擬粘着体イミテートスライム】に進化した。

なかなか効果が出ないので失敗かとも思ったのだが、急にプルプル震え出し発光した。光が治るとそこにいたのは通常のスライム。あれ?と思って能力に関して試してみたら恐ろしいことが判明。


「自分の姿をなんでも好きなように変えられるって…すっげーよ、ライム。」

「まだ効果時間は短いけどねー。すっごいね、人間の姿だよー。」


今ライムは青色の髪の少年になっている。ライム以外の【幻擬粘着体イミテートスライム】、2体も思い思い好きな姿に変身している。


そう、なんと鱗粉の幻覚を見せる効果が働いたのかなんなのか想像通りに変身できるようになったのだ。モンスターでも人間でも無機物でも、とにかくなんでも。俺自体にも変身してもらったがまんまだった。触っても動いても解ける気配なし。


攻撃力や防御力はスライムのままだし、変身時間は10分とまだ短いがこれから鍛えていけばどうとでもなる。

いや、本当に凄い。スライムの汎用性の高さにびっくりである。


「よし、3人は人でもモンスターでもなんでもいいから変身できるようにして、トリスの強化特訓に参加な。」

「「「え!?」」」

「俺は期待してるんだよ。お前らならやれる。」

「い、いやスライムなんだけどなー。さすがにトリスとはちょっとなーねぇ?」

「「コクコク」」

「大丈夫大丈夫。こんな風に進化できるんだからお前らはなんだって出来るよ。イケるイケる。」


そうだ。不可能なんて無いのだ。生命の神秘を垣間見たなら分かる。なんでも出来る。誰だ、スライムが最弱なんて言った奴。見てろ、スライム(笑)とか思ってる奴。盛大に恥かいてもらうからな。


「分かるか?スライムだと思って侮ってヘラヘラしてる奴らに吠え面かかすなんて楽しそうだろ?」

「そう思ってるのマスターだけだと思う。」

「じゃあ、ライム達はスライムだからって馬鹿にされてていいのかよ。」

「そりゃ気分良くは無いけど…。」

「だろ?だからそいつらを見返してやろうって話だよ。強くなってさ。な?」

「…あーもう、分かったよ!特訓もするよ!」

「ちょ、リーダー!?」


腹をくくったのか2人を引き連れて自室コアルーム出口に向かう。ライムってリーダーって呼ばれてんだ。


「マスター!言っとくけどね!」

「ん?」


襖に手をかけたところでバッと振り返るライム。なんだ?やっぱ嫌か?まぁ、そこまで嫌がるんなら強制はしないけどさ。


「僕達は自分の為に頑張るんじゃ無いからね!マスターの為に頑張るんだからね!」

「え?」

「そこんとこちゃんと理解してね!」

「は、はい。」


今度こそ出て行くライム達。大きな音を立てて閉じられた襖を呆然と見る。


「レットさん。」

『はい。』

「俺は今めちゃくちゃ嬉しい。」

『マスターは愛されてますね。本来ダンジョンマスターとモンスターの関係はもっと冷め切ったものですから、珍しい事ですよ。マスターの人徳ですね。』

「ちょ、そんな褒めないで。顔から火が出そう。」


俺もっと頑張ろ。





「どうやんね!小童!」

「おーー怖えーーー。」

「ほっほっほっ、情けない奴やのー。」


火照った肌を冷ますため肝試し気分で第三階層にやってきた。

ギョロンとした黒い眼を持つダチョウと目が合った瞬間回れ右して帰りそうになった。やっぱ怖い。


どうやらリット爺は剥製を【ゾンビ】にするのに成功したようだ。良かった。でももう帰りたい。


「いやー大変やったんよ。皮だけで中身空っぽやから、立てない奴とか全く闘えない奴とかいてのお。」

「どうやったんですか?」

「体っつーのは確固たる意志があれば動くもんやよ。わっしのようにな。やから、魂貰ってきたんやよ。」

「貰ってくるってどこから。」

「魔界からやんね。」

「魔界?」


魔界とは単純に言えば、天界と真逆の位置にある場所だ。天界は善の神様がいる場所で、魔界は邪神を筆頭とした堕天した神様がいる場所。

正直善の神様(笑)と思うのだが信仰心があるため、グローリア様は堕天しないらしい。是非とも信者の皆様には眼を覚ましていただきたい。


「で、えーと魔界って入れるんですか?」

「蘇りの死者限定やけどね。あそこは怨念の塊のような魂がうようよいるんやけ。格好の狩場やんね。」

「へー。」


蘇りの死者って事はただ死んだ人じゃダメって事か。怨念とか復讐心とか強い負の感情を持った人だけが、悪魔族になったり死神になったり死霊になったりする訳だし。…あれ?俺って確か…


「あの、俺一回死んでダンジョンマスターやってるんですけど、魔界行けるんですかね?」

「は?お前一旦死んだんかいな?どうやろなぁ…あそこは負の感情を持った者っつー制約がかかるかもしらんし…そうなるとお前さんは無理やろなぁ。試してみるかいな?」

「イエ、結構デス。」


だって怖いし。邪神とか明らかやばい奴じゃん。暇潰しに人間殺しちゃったりするんだろ?プチっと。


「小童が邪神様に関してどんなイメージ持っとるか知らんが、今代の邪神様は良い方やよ。」

「邪神様?」

「わっし今度から邪神教信仰する事にしたんやよ。」

「はい?」


え?まぁ、女神教やめたんだし乗り換えても文句は無いけど…。


「随分対極な宗教選びましたねー。その見た目ならぴったりですけど。当て付けですか?」

「そんなショボい理由で信仰せんわ。今回はあの方の人となりを見て信仰する事に決めたんやよ。」

「そうですか…。」


これ、悪徳商法とかじゃないよな?お爺ちゃん詐欺られた?まぁ、詐欺る財産も無いだろうしどこに貢いでも良いけど。

そうか、邪神が良い人ねー。それ邪神やる上で致命的なのでは?つくづく神様の世界は分からないな。


「とりあえず事情は分かりましたよ。第三階層は戦力的には問題無いって事ですか?」

「そー言われるとなぁ。この【ゾンビ】も完全体とは言い難いしのお……ちらっちらっ」

「はぁ、分かりましたよ、なんか召喚します。」

「それでこそ男やんね!」


そこまでかつかつでも無いし。この間Sランククエストクリアしたしな。新種発見ってヤツ。あれで10万DP入ったし。


モンスター、闇属性で誘惑とか幻惑とかが得意なモンスターね。


……見てみたいんだよなぁ。このモンスター。男なら誰もが憧れる奴。


「【サキュバス】召還!」

「おおお!!!」

『………1万DPを消費します。』


待ってレットさん。その微妙な間は何?俺別によこしまな気持ちがあった訳じゃ無いよ?ただちょっと興味があっただけだよ?決して、リット爺のように鼻の下を伸ばしてウハウハしてるような気持ち無いからね?


『マスター、誰に言い訳してるんですか?』

「い、言い訳だなんてそんな…あはは。」


「あら、貴方がご主人様かしら?うふふ、可愛いわね。」

「ど、どうも…。」


胸でけー、なんか良い匂いするー、やべーわこれ。サキュバスさんやベーわ。俺の息子がムズム……あれ?しない、反応が一切無い。おかしい。何故だ。


『ダンジョンマスターは性欲が著しく低いように設定されてます。大丈夫ですよ、マスターの下半身が役立たずとかそういう事はありませんから。』

「レットさん、フォローしてるようでしてないから。え?なんでそんな事になってるの?」

『以前、ダンジョンマスターになった方が、異世界ハーレムだ!!!とか訳のわからない事を言って冒険者や、女奴隷、召還したモンスターに手を出しまくった事があり本業を疎かにしたので。その対策です。』


マジか。誰だそんな羨ま…くだらない事に精を出した奴は!なんで俺がとばっちりを食らわにゃならんのだ!今度から俺は不能の烙印を押されるじゃ無いか!リット爺の憐れみに満ちた目線にイラつく。


「それは仕方ないわね。それでご主人様、私に名前をくれるかしら?」

「あぁ。…じゃあ、リリスからもじってリリーで。」

「良い名前ね。私はこの階層をこの素敵なおじ様と守っていけば良いのかしら?」

「まぁ、そうなるな。」


流石はサキュバスと言うべきか。あの骸骨を素敵と顔色も変えずに言い放つとは……俺には出来んな。草を盛大に生やしながらなら言える気がする。



次の日。

うちのダンジョンでリア充が爆誕した。


「も、もう一回言ってくれ、オーガット。」

「マスター、その俺たち…付き合う事になりまして…。」

「私オーガットみたいな殿方にずっと憧れてたの。ご主人様の元に召還されて嬉しいわ。」

「……そうか…リリーはサキュバスだから、とかそういう訳じゃなくて純粋に好きなんだな?オーガットの事が。オーガットもリリーの体とかフェロモンにやられたとかじゃ無いんだな?」

「はい!」

「もちろんですわ!」

「分かった…おめでとう。ウチは自由恋愛だし好きにやってくれて良いよ。でも、他に迷惑は掛けたりするなよ?」

「ありがとうございます!」

「しっかりとダンジョンは守っていきますわ!」


………うん。そうか、オーガットとリリーが、そっか。……どうしよう、おめでたい事なんだけど、すっげえイライラする。俺はこれから不能の看板を背負っていかないと行けないのにっ…!!!ああ、くそ、オーガットめ!!!


「レットさん……」

『はい。』

「お祝いの品一緒に選ばない?」

『余計虚しくなりません?』

「それ言わないでよ……」


その後羨ましがったトリスや鬼人、ゴブ達にボッコボコにされているオーガットを見て、スッキリしたのは内緒だ。


ちなみに贈り物はシルバーのハートピースペアネックレスを贈っておいた。2つで1つのハートを形作るものだ。また、そこでも惚気られたので再びイラっとした。


うぅぅ…お前ら末永く爆発しろよーーー!!!


ダンジョンで初のカップル誕生!主人公全く関係無い。ちなみに主人公君は童貞です。本人は内緒にしてますが年齢=彼女いない歴です。今後も独身を貫いていきます。

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