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幾夜の物語4

どこかのアホのせいで到着が夜になってしまった私たちは、一旦宿で休むことにした。

今あそこに行っても変な連中でごった返していることだろう。変に巻き込まれるよりも明日昼に行ったほうがいいという私の意見を採用し、今日は皆寝ることにしたようだ。

みんなはもう眠ったようだが、私の方はまだ起きていた。

今日、久しぶりに駆けたあの感覚が蘇る。

昔は駆けてもなんの楽しさも湧かなかった。

今では駆けることは陛下のためであるということから徐々に、そして今では駆けることは私の楽しみの一つである。

今日は綺麗な夜。

『あの子』だったら・・・私の妹であれば、この空を忌むだろうか、好むだろうか。

少し進んで崖の突き出た場所に出ると、そこには青年が佇んでいた。

ポン、と後ろから肩を叩くと、バッ!とこっちを向く。

「不意打ちか?お嬢様。」

「お、お嬢様!?」

「だってよ、そのドレスなんざいかにもお嬢様って感じだろ?」

「そりゃどーも。」

ふん。とそっぽを向くと、

「おっと、拗ねちまったか。」

「拗ねてないわよ!子供じゃあるまいし!」

「子供だろ?」

「うっ・・・。だ、だけどね、私の方があんた達より精神年齢上なのよ!7歳の時に必死に戦場生きたことなんてないでしょ!」

うっかり口を滑らせ身体中の体温が下がったのを感じた。これについては聞かれたくない。

そりゃそうだ。言われるままに一人で何人もの大人を殺したなんて聞かれたいヤツなんて余程の気狂いだ。

背中を冷たい汗が流れた時、青年は口を開いた。

「へぇ。そりゃ俺もねぇな。それでよ、ヨミのこと、どう思う?」

こいつ・・・わざと聞かなかった?

話まで逸らして?

まっすぐ、その紫の目で私を見ながら、まるで私の気持ちを読んだかのように話を逸らした青年。

この青年とも敵国同士で戦争を始めれば戦うのだろうか。私は陛下の意思に従うだけだけれど。

「どう思う・・・というのは?」

「見なかったか?」

「ああ・・・でもまだ黙っておきましょう。」

「そうだな。・・・にしても、俺以外に見てたやついたんだな。」

「私もびっくりよ。もう眠いわ、じゃあね。」

青年は片手を上げて答えた。

それじゃあ寝るかー。


翌日。

揃って情報屋に訪れた私たち。

「おはよう。久しぶり。」

「おー、クラウリアじゃん。おはよー。今日は何が欲しいの?」

「かなり昔のことなんだけど、」

と、私はかくかくしかじかと事を説明する。

「なるほどね。それならおじいちゃんの残したものに・・・」

ごそごそと情報屋が探し始める。その間に私は彼女の説明を始める。

「彼女は陽翠ひすい。私の昔からの親友よ。」

「お、あった!」

バラバラと埃が落ちる。

「あー、ちょっとちょっと。」

と呼ばれ、私は陽翠による。

「なになに?カツルという名の男は、私の目の前で・・・はっ、敗残兵狩りに引き裂かれ死亡した!?」

思わず声が裏返った。それを聞いたヨミも、力をなくしたのかふら、と半透明の体をふらつかせる。

それを支えたエルフの女性に尋ねられる。

「引き裂かれると、どうなるの?」

「魂も残らず消滅するかもね。・・・まぁ決まってないんだしさ、私もついて行くから一緒に頑張ろう!ねっ?」

「まだ終わってないわ。約束したんでしょ?」

『はい・・・はい!!』

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