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幾夜の物語2

「ど、どうしましょう・・・?」

わたわたと慌てる皇女。

(五神の一人って気付かれないほうがいいわね。)

心の中でつぶやいた彼女は、未だに慌てる皇女に言った。

「ま、言わなきゃバレやしないでしょ。」

「言わないでくれるんですか!?」

「ま、別に構わないし。ほら、クエスト終えたらすぐ帰んのよ。・・・ていうか国境わかんなかったの?」

「あー、それがだな、」

黒髪の青年が言う。

「そう思ったんだけどよ、看板がな、違ったんだよ。」

「あの、自己紹介とかは・・・」

「別にいいわ。覚える気もないし。どうせもう会うこともないでしょう。」

ズパッと切り込んでおく。優しいやつだなんて思われるのはごめんだ。

「ま、ぐちぐち言ってもあれよね。行きましょ。」

そう言い、私はテクテク歩き始めた。


「う、うわっ・・・」

「いかにも、ね。」

若干引き気味の全員。さすがにこれだけ不気味だとは思ってなかった。

唯一自然としているのが、黒髪の青年。

「まぁ雰囲気だけだろ。俺たちは調査なんだ、関係ねぇよ。」

「ちょ、それフラグ・・・」

『・・・・・・・』

ぼそっとどこかで聞こえた声に、さすがにその青年もギクリとなる。

「ちょ、ちょっと誰よ今の!こんな状況で冗談なんて・・・」

少女が言う。

誰も何も言わない。

「そもそも。」

私があまりにも沈黙が続いたので口を開く。

「あんたが余計なフラグ立てたからでしょ!」

「そーよそーよ!」

「まぁそうねぇ。」

「フラグは回収が圧倒的に多いですから・・・」

女性陣に責められて、耐えかねたのか背中をふいっと向けてしまう青年。

それに対し、私は少し意外に思っていた。

そのまま突っかかって来るかと思ったのだ。

(なんだ、結構大人なのね)

『・・い・・い』

「なになになになに!?いってなんなのよ!痛いって言ってるの!?」

「ちょっとちょっとメルちゃん落ち着きなって。」

結構なおっさんが少女を落ち着かせる。

その間に私は大体の場所を憶測して、そこを眺めていた。

「なにか見つけたの?」

背の高い・・・エルフだろうか、女性に声をかけられ、答える。

「あそこね・・・多分。」

「なら行ってみましょうか。」

「そうね。」

「ちょっとちょっとぉ、置いてかないでって!」

少年がバタバタと後を追いかけてくる。

えいっと戸を開けると、

おお、バリバリ幽霊だ。

「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「はいはい、向こうに行ってましょうねー」


「それで?」

『私が見えるのですか?』

「みんな見えてたけど近づかなかっただけでしょうね。」

『そうなのですか。』

「それで?あなたは何と言ってたの?」

『会いたい、と言っていました。私は彼と約束したんです。だから、会いたいんです。』

「ふーん?そんじゃ、手伝ってあげるわ。」

『え?そ、そんな簡単に・・・』

「いやーここだけの話ここ私の土地だからさー、流石にこういうのは困るのよね。陛下に怒られるわ。」

「大丈夫かー?」

「私この子助けてあげるけど来るー?」

「行く行くー」

「軽いよ・・・軽すぎるわよこのバカっ!」

なんだかんだで結局みんなついてくるんだなぁと思った私であった。

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