幾夜の物語
深夜。
植物ですらも静かに息をひそめる夜。
私は眠れずに、静かに本を読んでいた。
とても面白くない本だった。
捕まった王女様を王子様が助けに来てうんたらかんたらって本だった。
全てがそんなハッピーエンドなら、私は必死に強くもならなかったし、軍人にもならなくて済んだ。
そんなことを考えていたら、眠りに落ちた。
いつもの通りツッコミどころの多いクエスト場のクエストを確認しつつ、気になるものを見つけた。
廃村の調査依頼のようだ。
これ・・・気になるなぁ。
そう思っていたら、私以外にも目をつけた者たちがいたようだ。
「ねぇ!これよさげじゃない?」
「あら、いいわねぇ。報酬もそこそこじゃない。」
「いいですね。」
「おいおい討伐クエストにするんじゃなかったのか?」
「そ、そうよ!廃村なんて・・!」
「おー?メルちゃん怖いのー?」
「うるせぇ! (ドカッ)」
廃村の割にハイテンション(^_^)
じゃなくて!
いやいやいやいやいや!
そもそも廃村の調査依頼出す理由がないよ!?
ねぇ大丈夫!?君ら大丈夫!?
ああすごく心配!もう行こ、こそこそついて行っちゃおう!うん!もういい!
ははははっ
なかなか強いし大丈夫みたいな感じかな・・・
お、あれはゴーストでは!?
超レアだ!ゴーストとは弱いしレアな物落とすしで人間にとってはうれしいモンスターである。しかし、防御がなく、攻撃頻度が長いため一気に決めれば関係ないのだが、攻撃されるとかなり体力を削られる。
一応警戒モンスターなのである。
まぁ一気に行っちゃえば・・・
「いやぁぁぁぁ!来るなぁぁぁぁー! ゴフッ・・・」
「お、おい落ち着け!うおっ、こっち来やがった!」
「あらあら・・・とっ、危ないわね。なんかすばしっこい・・・」
「あの、私回復しかできないんですけど!きゃっ!」
あれー?慌ててるー?
目がおかしいのかー?
子供でも負けないのにー?
・・・。
oh・・・。
これは助けてあげたほうがいい?
よくわかんないけどやっちゃうかー。
「てぃやっ!」
跳躍した後クローで地面に押し付ける。
そんでもってこの程度で死ぬような敵なのだ。別にこんなものにそんなに慌てる必要ないっていうのに。
「だ、誰だか知んないけどありがとね・・・」
「息整えてからでいいわよ。」
私の声にその人はフーッと息を吐き出し、改めて礼を述べた。
「ありがとね、助かったわ。」
「いや、いいんだけどあれに驚く必要ある?」
「いやー、初めてみたんだ、僕たち。あんな弱いとか知らなくて・・・」
「ゴーストなら誰でも知ってるでしょ?」
「はい、私たちはメルステルから来たんです。私は向こうの皇女でこちらにやむを得ず・・・」
「待った。ちょっと叫ばせて。・・・なんで敵国に来ちゃうかなぁー!?」
「敵国!?ここレミスクユじゃないんですか!?」
「レグニードだよ!!」
「うそー!?」
「こっちのセリフじゃボケェ!」
みょん「クラウリアさん。暴言は控えましょうね。」
クラウリア「あ、はい。」