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龍。

それは何か。

簡単だ。

ドラゴンとか、そういうの。

でも、実際は単純ではない。

微妙に違う血が入れ混じって、なにこれスライム?って感じのやつもいる。

それに比べてこいつは・・・

「おいおいこりゃねーぜ・・・」

ログレスが呻くように呟く。

それはそうだ。

超巨大な龍・・・

それも、「原種」。

血が純粋な龍。

勝つ?そんなこと不可能だ。陛下に出会う前、原種に挑んで簡単にボコボコにされたことがある。

勝てない。

「逃げるわよ。」

「え、でも、」

「無理。勝てない。」

「そうね。流石に無理があるわ。」

皇女の言葉にイスラも頷く。

そして、撤退を決め、逃げようとした時。

「姉ちゃん!後ろっ!」

子供の声がして、バッと後ろを振り返った時には遅かった。

突き飛ばされて、地面に叩きつけられる前にギリギリ着地をとる。

「バカ!」

私はいいんだ、でも。

あなたは、あなたは生きる意味を持っているのに、

「ログレス!」

なんとか自分を捕らえる魔術を振りほどこうともがくログレスを容赦なく襲う魔術たち。

その魔術を放つのは私の苦手な、嫌いな人間で。

「残りの聖霊のほとんどはここにいるぞ?取れないよなぁ、ええ!?」

うるさいよ。

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい・・・


・・・だから、嫌だったんだ。

元からそうだった。

クエスト場になんか行かなきゃよかった。

ログレスのことなんて知らなきゃよかった。

もっとそうだ。

誰とも関わらなければよかった。

陛下についていくことなんてしなきゃよかった。

だって、そうしていたら、私の大好きな人を、苦しめることもなかったのに。私のバカ。まだ躊躇してるの?初めから、そうよ、初めからいなけりゃよかったんじゃない・・・

(それでも、得られたものがあった。求めてばかりじゃいられない。捨ててばかりでもいられないなら、)

「あーもううっざ!」

龍を操る術師に叫ぶ。

「もうさっさと死ねよバーカ!くたばってろ!片足棺桶に突っ込んでる癖して!」

「んだとゴラァ!」


「さぁ、派手に死になさい!」


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