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従者の戦い

ローザとスレグリスは睨み合い、お互い相対する。

クラウリアを見逃したのはただ単にローザを先に倒すべきだと踏んだからだろう。

「早くクラウ様の元に行かせてもらう。」

「わかってるだろうが僕を出し抜いてからだよ?」

「わかってる。」

ピリ、と一瞬稲妻が二人の目線の間に走り、ローザがナイフを、スレグリスが剣を構える。

二人とも、相手を本気で殺すつもりだ。


力で敵うはずのないローザは遠くからナイフを投げ、スレグリスを牽制していく。

しかし、それを大剣を一振りして叩き落としたスレグリスは一気に間を詰めてくる。

自分の胴体向けて振られた剣を表情を変えずバックステップでよけたローザ。

メイド服のリボンを揺らしながらスレグリスの攻撃をかわしていく。

全て空振りに終わったスレグリスは、力強く剣を地面に突き立てると、

「方陣、アクアスペクトロン!」

上下左右から鋭く尖った水がローザ目掛けて飛ぶ。

これには余裕だったローザも慌て、必死にかわしていく。

その隙を見逃すはずもなく、スレグリスはローザの首元に剣を突きつける。

「終わりだ。この場から立ち去ってくれれば殺したりしないから、」

「そんなことをするものか。クラウ様のために私の時間を全て捧げると決めたその時よりクラウ様のもとから離れることなどしたこともない。」

スレグリスの言葉の途中でそれを拒否したローザ。

「そうか、仕方な・・・っ」

いきなり放たれたナイフを、伸びきっていた腕の先にあった剣で受け止めれるはずもなく、スレグリスはまともにそれを受けた。

鎧を貫通し、肌ギリギリで止まる。

「ははっ・・・」

メルステル最強の鎧と言われた鎧ですら撃ち砕くナイフの鋭さとスピードにスレグリスは笑うしかない。

「これは・・・すごいな・・・」

「笑う暇などない。いや与えない。」

ナイフを片手に3本持ち、接近戦に持ち込んでからのナイフ投擲に防御が精一杯になるスレグリス。

「吞み込め、ダークスパイラル」

足元から闇の精霊が顔を出し、スレグリスの力や魔力をつい尽くさんとぐるりと渦巻く。

「くっ・・・」

少々傷つきながらもそれを退けたスレグリス。

そこにローザが立ち、

「今度こそ終わり。楽しかったわ。」

その瞬間、スレグリスの周りに数十本のナイフが現れ、鎧を貫通し、突き刺さる。

これで、勝負は決した。


「二つ、聞いても?」

「何」

血だまりに倒れ伏すスレグリスに問われ、回収していたナイフをホルダーにしまいながら問い返すローザにスレグリスは苦笑しながら言う。

「なぜ、全ての急所を外したんだい?」

ローザの放ったナイフは全てスレグリスの急所を外れていた。

「あと、もうひとつは、あの技かな。」

スレグリスの周りに数十本のナイフが突然出現したことだ。

「ひとつ目は、あの技を出させたのがあなたでたった二人目だったから気に入った。」

「もうひとつは?」

「私には、時を止める能力がある。私だけ動いて、あなたの周りに設置した。刺すことはできない。そういうもの。」

「・・・」

「説明が欲しい?」

「よければ」

「じゃ、話してあげる。あれは・・・」

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