堕ちる→末路
緊急招集。
そんなことは私が五神になって一度もなかった。
あるにはあるらしいけど、それをかけられたのはほとんどなかった。その緊急招集がかけられたのだ。
そのため私はセンターメルクの王城、会議室にいる。
陛下の手を煩わせることもないと言ったグランの案で私たちはまずまとめて、それから陛下に結果を報告しに行くことになった。
「今回のことだが、隣の国というか街というか・・・まぁそこの悪政は知っているな?」
「有名ねぇ。」
プレステアが相槌を打つ。
「そこがこの国にも手を出してきたらしい。現に攫われた者が何人か・・・」
「それはあの国の者なのか?」
「そいつと会っていていなくなったそうだぞ。」
えー。
それ確定じゃん。
ていうかなんだっけ。
隣の国の創設理由。
あんな街みたいな領地の国作ってなにがいいんだか。
ああ、そうそう、確か『美男美女を集めて国を作る』だっけ。蓋を開けてみればブスしかいなかったけど。
ナルシストって怖いわ。
「んで、偵察に行くんだな?あたしが行く!」
バッとレグニアが手を挙げる。
「いや。」
低く、凛とした声が響く。
私たちの声をグランが代表した。
「陛下!?」
「仕事が終わったのでな。」
「終わったじゃありません!またロクに睡眠も取らず・・・!」
「俺の体だ。好きに使わせてもらう。」
「だからお前がいなくなったら国が安定しないんだよ!わかってんのかこのバカ!」
「国政ができるのだからバカではないだろう。そもそもバカと言ったほうが・・・」
「子供の理論ですかっ!!」
いつもの通り口喧嘩。
元はライバルであったため、敬語ではなかったが、陛下がグランを従えてからは敬語を使うようになっていた。それが敬語もかなぐり捨てるのだから困ったもんだ。終わらないから適当に区切ったが。
「ご用件は?」
尋ねると、
「これはただの偵察ではない。」
「と言いますと?」
「前王に国を返させる。」
前王とは、陛下自らが領地を与えた者だ。
母がいない、父がいない、両親がいない子供や世話をする者がいない老人などを引き取り、助け合う国を作ろうと努力していた男だった。
王座を剥奪された時、陛下はなにもなさらなかったからどうでもいいのかと思っていたら前王の安否の確認と現王の悪事を集めていたようだった。
「ということは・・・」
「そういうことだ。五神全員と俺で一夜で現王を王座から引き摺り下ろす。それができなければ・・・いや、もとより許そうなどと思ってはいない。殺すつもりだ。」
「王がそんなことしていいんですか?」
「まぁ・・・一旦侵略って事で」
陛下適当ー!どうしたよ陛下!
「でも、自分たちの領地はどうするんですか?」
「一夜だといっただろう。」
なるほど。
「お前たちにはこういう段取りで進めてもらいたい。・・・ここをこうして・・・」




