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夏生詩集3

おはよう

作者: 夏生

幼いころ

四つ上の兄が高熱を出した

氷をつめた袋を

兄の額にこすりつける父の手


下がれ下がれ

下がれ下がれ


父の手から聞こえてくる


治れ治れ

治れ治れ


額を強くこすりつけられても

兄は痛みを口にせず

あかくうるんだ目を開けていた


父の手から溶け出した氷は

どこまでも深い闇があることを

ニンマリとこちらに教えてくる


こわいこわい時間

私は膝を抱えて父と兄を

交互に見ていた


「今、何時?」

兄のか細い声

「もう十二時を過ぎた」

父の穏やかな声


「ああ、次の日になった

おはよう」


兄が朝の言葉をつぶやくと

はりつめた空間に穴があいて

ぽつぽつ光が射した

部屋はいつまでも明るかった
















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― 新着の感想 ―
[良い点] そういえば、小さい頃に40℃の熱を出してしまい、すごくフラフラで胃腸の調子も悪い、そんな日があった事を思い出しました。 看病してくれていた母親、父親には感謝していますが、両親買い物で不在の…
2015/08/19 19:53 退会済み
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