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§第一章〜殺伐とした日々〜§2

ニートになりました


「む……加減し過ぎたな」


荒野の一部を、まさに文字通り地形を変えておきながらバンはそう呟いた。


実際、盗賊どもを殺すつもりで放った魔法だ。敵を伐てずにいては意味がないのは道理だろう。


大きくお椀型にえぐれた地面の端、盗賊たちが伸びている場所でこいつらをどうするか思案して。


「………」


最寄の街に送っておいた。


殺さなかった理由は特にない。


虫も殺さぬ、という訳ではもちろんなくて、先の戦争でも自分に襲い掛かる魔物は容赦なく屠ってきた。


強いて理由を上げるならやはり、めんどくさいから、だろうか。



バンの旅に特に目的はないと前述したが、とりあえずの目的、というか目的地はあった。


それが今盗賊どもを送った街、トキウだ。


戦争の前では、世界有数の経済力を持った島国の中心的な街だったらしいが、今ではごろつきから、金持ちまで、雑多な人間が入り交じる街になっている。高い建造物にのみ、かつての面影を見る事ができる。


「……まだ遠いな」


トキウのある方角を見上げ、バンは言った。


トキウは、交易の街である。


バンがここを目的地にした理由も、交易が盛んな街特有の、人の流れに従ったからに過ぎなかった。


何度もいうように、トキウは交易が盛んな街で、交易が盛んな街は人が集まり、つまり街の規模は自然と大きなものとなる。


少し話は逸れるが、先の戦争では、魔物が来襲した。


例えば、生き物、といえば、虫から人間までいろいろいるわけで、魔物も生態系でいえば大差ない。


魔物の上級種、生き物でいう人間に類する者ども、所謂魔人たちが連れてきた、虫、動物に類する物。


魔人や魔王は魔界に逃げたり、魔術師に滅ぼされたりしたが、そういう、知能のないやつらは、動物と交配したり、独自に生態系に紛れたりして生き残っている種もいた。


話を戻すと、つまり、トキウの周りにも魔物は出没する。


人の安全を確保するために、塀に囲まれ、自警団も存在する。


さて、バンはトキウに着いていた。


いつぞやの盗賊たちがどうなったのかは知らない。もう何日も前の話だからだ。気にするだけ無駄なのだ。


とりあえず、宿に入ったバンはトキウの町並みに目を落とす。


バンの泊まった宿は、昔の名残のビルというものを流用したらしい。


なので、結構な高さから町並みを見下ろせるのだ。


宿の看板娘、つまりこの宿の主人の娘にトキウの歴史を聞いた。


歴史というか、街の概要か。


地面を覆っていた固い素材を引きはがし地面を露出させそ、植物を植えることで環境を調え、また人の手で、前に挙げたように自警団を組織したりして、人の住み易い環境にトキウを造り変えたらしい。


そして、人の出入りは増えた。


だが、そこに善悪の別はなく、よって裏の、暗い目につかないところには寄らないようにとバンは娘に言われた。


見渡す限りでは、そんなところは見えないが、もちろんそういう闇は目に見えないところで行われているのだろう。


「俺には関係ないがな」


街の散策は明日にしよう。


バンはそう思って、眠りについた。






就活しなきゃ




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