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死神少女の図書館  作者: 黒いもふもふ
あなたは図書館へ迷い込む
7/15

異世界のおとぎ話

昔々あるところに、魔女達が居ました。

その魔女達は、人々の魂を吸い取って生きていたのです。


人々はそれに恐れをなし、魔女達をやっつけようと騎士団を魔女達の元へ送り込みました。

しかし魔術を使う魔女と、剣や槍などの武力しか攻撃方法のない騎士達では相手にならず、騎士達は魔女達に敗れてしまいました。


しかし、それをみていた一人の魔女は言います。


「 私は魔女よ。けれど、人が大好きなの。だから、一緒に戦いましょう」


人々は最初こそ彼女を疑ったものの、彼女を信じて共に戦う事にしました。

そして、魔女達と彼女を含めた生き残りの騎士達との戦いは始まったのです。


魔術を行使し、遠くから攻撃を仕掛ける魔女達。

剣や槍で魔女達を斬りつけていく騎士達。

そして、白い魔術ー…後の白魔術を使う彼女。

途中から、彼女の使い魔のシロイヌも加わって、魔女達はどんどん押されていきました。


最後、彼女が大魔女を白魔術で倒せば、人々の勝利となる直前でした。


彼女とシロイヌは大魔女の呪いに掛かり、彼女は多くの力を奪われ、シロイヌは完全な犬から、半獣へとなってしまったのです。


しかし、彼女は力全部を使って大魔女を呪い返し、大魔女をカエルに変えてしまいました。


こうして、魔女達と最強の魔女と呼ばれた大魔女を倒した彼女は白魔女と呼ばれ、半獣になってしまった使い魔は、当時差別を受けていた亜人達の誇りの象徴へとなったのでした。




それから二千年後、魔女達との戦いは「白魔術の戦い」と呼ばれていた。


「 悪い子は、黒い魔女に連れて行かれる」


小さな子供を持つ親は子供にそう言い聞かせ、また人間に白魔術なら扱えると分かると、魔術師も増えて行った。

一人の力を失った白い魔女と、半獣になってしまった少年シロイヌの与えたものは計り知れない。




さらにそれから十三年後。

全体が白い屋敷に、彼女とシロイヌはいた。


「 カロー?どこー?」


シロイヌの名前を呼び、屋敷内を歩くのは白いリボンをつけた十代半ばの少女。

次々に廊下にある部屋の扉を開けては中を覗きシロイヌ、カロが居ないのを確認して閉めて行く。

すると声を聞きつけたのか、四つ前の扉が開いて隙間から白い獣耳がピョコリと出て来た。


「 サラ?どうかしたの?」


獣耳に続いて現れたのは、少女サラよりも幼い半獣の少年。

整った顔立ちが不思議そうに歪められ、更に幼く見せる。何か察したのか、耳はまるで空気が抜けたかのように垂れてしまった。


「 うん、あのねー?ちょっとお出掛けしようと思うの。カロも付いて来る?」

「 お出掛け…おっ、お散歩!?行くっ、行くよ!!」

「 うん、カロお散歩大好きだもんねー」

「 わぁいっ、お散歩だぁ!お散歩お散歩っ!」


本当はお散歩じゃないんだけど、なんて目の前で耳をピコピコ動かしながら跳ね回るカロには言えないと、サラは口を噤んだ。

先程とは打って変わったカロのその様子に、笑みが零れたのは仕方がない。


「 じゃあ、荷造りしよっかー」

「 うんっ、荷造り荷造りー!」


わーっと走り去って行くカロに多少の不安はあるものの、ああ見えて結構頼れる相棒なのだ。

きっと今回も大丈夫だと頷くと、サラは手紙を書きに自室に向かう。一応ここにも訪ねてくる変わり者はいるので、その人達に心配を掛けないように置き手紙を書こう。

早速自室へ入り、机の引き出しから紙を取り出す。

どう書こうか、頭を悩ませ考える。

普段人に手紙を書いた事がないから、自信はないが筆は進めた。


「 うん、これで大丈夫だよね」


手紙を書いたら後はカロを連れて外に出るだけ。筆を置き、満足そうに手紙を眺めると自室の机から離れ、サラはカロの元へ走って行った。




親愛なる変わり者さん達へ


少しの間、異世界に行って来ます。

カロと一緒に行くので、たまに屋敷内の掃除をしてくれると助かります。

お土産は多分買って来るでしょう。


白魔女サラより




そしてこれを見つけたのは一ヶ月後に屋敷を訪れた騎士だった。





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