お誘い…実は?
『何何何?』
翔次は麻希に腕を引っ張られ屋上に連れて来られた。
そして翔次を自分の前に放り出すと『ねぇ』と話し始めた。
『今日暇?』
『え?』
『だから、今日の放課後暇?』
『……ぅん、別に用はないけど…』
言いかけたところで翔次はハッとした。
―――そうだ…コイツはあの自己中女!放課後に呼び出されたりなんかしたら…何されるか分からない……!!―――
しかし前を見るとニッコリとした顔で麻希が立っていた。
『ぁ、あのさぁ…』
『言ったよね?』
『は?』
『暇って!』
『別に用はないと言っただけで…』
『-用はない-=-暇-なの!!!』
『あ、はい。…って…そのォ』
『じゃぁ4時ね!』
『ぇ、何が…』
『駅で待ってるからね』
『ぃや、だからさ』
『んじゃ!そういうことで、絶対来てね』
強制的な別れを告げた麻希は一人屋上を下りていった。
教室に着くとクラスの誰もが翔次の所へ駆け寄って来た。
『何された?』
『何って…』
『なんか言われた?』
『4時に駅に来いと、、、』
『ぅっわ――!キタ――――!!!』
『え?何が?』
『麻希がゴキゲンに教室戻ってきたからさ、』
『何かあるとは思ったけど…』
『デートの呼び出しとは…』
『デート?』
『しかもただのデートじゃないよ…地獄のデート』
『何それ。』
『んま、とりあえず財布が底を尽きるまで金を使わされるデートだよ』
『ってことは…』
『あきらめな翔次。コレがお前の運命だ。』
『かっわいそ――!がんばってね〜☆』
『あ、ちょっと』
『いいよな。女は気楽で。』
『ま、麻希の獲物になるのは男だけだしな。』
そんな男子の孤独な会話を背に女子は『プリ撮ろう!』だの『カラオケ行こう?』だのずいぶん平和なコミニュケーションが繰り広げられている。
………が、こんな女の世界だって結構ドロドロしている。
『なぁ。淡路は中居に一回捕まったんだよなぁ?』
口を開いたのは翔次だ。麻希の捕らわれの身となった淡路に声をかけた。
『あぁ』
『そうそうこの単純馬鹿!』
『そん時…何された?』
『おぃおぃ、楽しみを聞き出すのか?お前は…』
『頼む!教えてくれ!』
『土下座100回!!!』
すると翔次が席を立った。
『ぃや、ホントにやるなよ!(笑)』
『ね、一生のお願い!』
『そこまでして知りたいか』
『うん』
淡路は時計を見た。
『待て。10分で話せる内容じゃない。帰りん時教えてやるよ』
『う…ぉぅ!』
―――そんなすごいのか。―――
翔次は期待と不安の入り混じった返事をした。
昼休みに入った。
『………お前…アレだよ』
男子生徒が牛乳を飲みながら言った。
『何?』
間の抜けた返事をする翔次。
『中居に狙われてんぞ。きっと』
『狙われてる?』
『うん。だっていきなりデートのお誘いだぜ?あの女にしちゃぁ結構珍しいよ』
『いつもはどんな感じ?』
『一ヶ月くらいその男に付きまとって、ココ!ってときにデートに誘うんだよ。ま、デートといってもただのパシリ喰らうだけだけどな』
『じゃぁ俺って』
『多分…好きなんじゃねェ?』
『え?』
『中居さ、好きな奴には速攻行く奴だから』
『…そぅなの?』
『気にすんなよ!あんな奴彼女にしたら一生後悔するぞ?』
翔次はなにやら変な顔をしている。
『ほら、ただ気が弱そうだから別に付きまとわなくったっていいとかかもしんねぇだろ?』
そう言うと男子生徒は『ズズッ』っと牛乳を飲んで去っていった。
―――俺のこと?―――
翔次は一人その場に立っていた。
何かコレってラブコメディみたいだ…
次話は淡路君(翔次のクラスメート)と麻希の悲劇のデートを書きます☆
一応楽しみにしててください;;