麻希観察
顔を上げた麻希はポカンっと口を開けてこう言った。
『なんだ稲葉君か。』
何を期待していたのか…?麻希はさっさと立ち上がり、スカートのほこりをはらった。
『あれ?歩けないんじゃないの?』
『………?』
麻希は翔次を軽蔑のまなざしで見つめるとニッコリ笑って何も言わず鼻歌交じりに教室へ歩いていった。
恐ろしい女だ。
それと同時にチャイムが鳴り翔次は気がつけば誰もいなくなった廊下を慌てて走り出した。
麻希の席は翔次の左斜め後。翔次は何気なく麻希を見た。麻希は目が少し寄り目になりながら真剣にペン廻しをしていた。
それはもう真剣に…。
『はぃ、稲葉!』
『え?』
『ぃや、え?じゃなくて、早く問題解けよ!』
少し笑い気味に数学の担当教師がツッコミをいれた。黒板には頭が狂いそうな数式がある。
『………す、ぃません。あの〜聞いてなかったというか…』
先生はため息を吐くと『んじゃ中居』と麻希を指した。
麻希はペンを置くとかったるそうに席を立ち、黒板にチョークでスラスラ解答を書きはじめた。
頭が良い。何故この高校に入ったのか分からない。
書き終えて麻希は席に着いた。そしてまた寄り目になり真剣にペン廻しを始めた。
そんなにペン廻しが好きか?
そんな様子を翔次は一時間ずっと見ていた。
休み時間になりクラスの友達が翔次のところへやってきた。
『お前何さっきボケーとしてたの?』
『ってか後見てたからさぁ、麻希見てたんじゃねぇ?』
『ウッソ――!似合わな―い;』
『ちょっとそれどういう意味ですか?』
『でもさ…麻希はやめた方が…いいと……』
『うんうん!俺も思う』
『別にそういう意味で見てたんじゃ…』
『あ、でも見てた事は認めんだね?』
『あの女に騙された奴結構いるんだよね。』
『そうそう!てゆーかココにその馬鹿いるし!』
『うるせー黙れ(笑)』
『へぇ――』
『ってか何稲葉君関心してんの?』
『男としてこの道は通っておくべきだよなぁ?』
『オメーぐらいだよ引っかかる奴!』
『何?稲葉君麻希狙い気味?』
『ぃや違うって…;』
『おい!男として…』
『はいはい分かりました!…でどうなの?』
『いやだから…』
流れる会話に割って入ったのは麻希だ。
『あのさぁ』
沈黙の嵐。
『稲葉君に用事!』
『……どうぞどうぞ、女王様。翔次王子をお連れくださいませ。』
男子生徒がふざけた。
『え、ちょっと…。』
本気で焦る翔次。麻希は翔次の腕をつかむと教室の外へと連れ出した。
皆は小声で『気を付けろ!』と叫んでいた。
今回は会話だらけです。
内容がおかしいかも…;;