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主人公に断罪される悪役に転生したけど、関わらずにのんびり過ごしたい  作者: おとら@9シリーズ商業化


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3/19

幼馴染のセシリア

 とりあえず、アンナは勝手に納得してくれた。


 あとは発言に気をつけつつ、今の俺に慣れてもらうか。


 それより、これからどうする?


 最初の破滅イベント?を回避したが、この後には何がある?


 くそっ、こんなことならゲームをちゃんとやっておくんだった。


 断片的な記憶しかないから、上手く対処しきれるかどうか。


「ご主人様?」


「いや、これからどうしようかと思ってな」


「ふむふむ……とりあえず、難題を乗り越えてからにしましょう」


「難題?」


 その時、ドタドタと足音が聞こえてくる。

 それはどんどん近づいていき、扉が勢いよく開かれた。


「リオン! いる!?」


「……セシリアか」


 そこにいたのは、幼馴染であるセシリア-ブリギット。

 意志の強い眼差し、整っているが気の強さを感じる顔つき。

 量が多く艶のある紅髪をなびかせる姿は様になっている。

 王家を守る盾にして、土を司るブリギット公爵家の長女だ。


「聞いたわよ。王太子になれなかったんだって?」


「ああ、そうだな」


 彼女の父親は俺の親父の親友にして、この国の宰相でもある。

 既に情報を知っていたとしても不思議ではない。

 口を漏らすような方ではないが、セシリアには相変わらず甘いようだ。


「ふーん……だから言ったじゃない。あんな態度してたら、いくら才能や力があっても王太子にはなれないって」


「ああ、君のいう通りだな」


 この子は場合によっては、俺の敵に回る人物だ。

 主人公と共に、俺を追い詰めていくキャラだ。

 しかし、ゲームのとあるシーンを見ていた俺にはわかる。

 彼女は、幼馴染のリオンを止めたかっただけなことを。

 その証拠に、最後に彼女は《《泣きながら俺に魔法を放つのだ》》。


「……へっ? リ、リオンが間違いを認めた?」


「おいおい、俺だって……まあ、色々と済まなかったな」


 彼女は悲劇のキャラとも言われ、リオンのせいで運命を翻弄される。

 実は二つのルートがあり、もう片方はリオン側につくこと。

 主人公サイドからすると、隠し攻略キャラってやつだ。


「うそっ!? リオンが謝った!?」


「……セシリア、もう俺に関わるな」


「ど、どういうことよ!?」


「俺といても、君は幸せになれない」


 彼女が驚くのは無理もなく、リオンは傲慢で謝る事などしない。

 あんまりリオンらしかぬ行動は疑いを招くのでしたくなかった。

 ただ、まだ破滅ルートを回避したかはわからない。

 だったら、彼女は俺から遠ざけるに越したことはないはず。

 リオンにとっては、彼女は大事な幼馴染なのだから。


「そ、そんなのは私が決めることだわ!」


「だとしてもだ。君は学園に行き、そこで素敵な男性に出会うさ」


 そうすれば、少なくともセシリアが破滅に巻き込まれることはない。

 セシリアは気が強いが、その本質は優しい子だ。

 なので少し寂しいが、セシリアが死ぬよりは良い。


「な、な……私は」


「二度は言わない。それと、俺は表舞台から降りるつもりだ」


「表舞台から降りる……? まって、あの傲慢な貴方が……いえ、そういうことなのかしら?」


「セシリア?」


「う、ううん! 何でもないわ! とにかく、私の生き方は私が決めるから!」


 そう言い、部屋から飛び出していく。

 相変わらず気が強くお転婆で、公爵令嬢には見えんな。

 だがリオンは、実はそんな彼女のことを悪く思ってなかったのだ。

 だから、幸せになって欲しい。


「さて、これで問題は一つ片付いたか。さて、話を戻すがどうするかね」


「そうですね……とりあえず、女心から学んだ方がよろしいかと」


「うん? どういう意味だ?」


「いえ、わからないなら良いのです。それで、ご主人様は今後どうしたいのですか?」


「どうしたいか……そうだな」


 当然、死にたくはない。

 せっかく転生したんだし、今世ではのんびりと過ごしたい。

 破滅ルートを回避して、全く違うリオンとして生きていく……これだな。

 そうなると、徹底的に主人公と関わらなければ良い。

 同時に、平和を脅かす要素を排除せねば。


「アンナ、俺は表舞台から降りたい。そのために、排除すべき者達がいるな?」


「はい、ご主人様を王太子につけたい者達が動き出すかと。ユーリス様を害そうとしたり、国王陛下の力を削ぎに来るかと」


「ふむ、何人か頭に浮かぶな」


 そいつらはリオンを利用するだけ利用し、あとで見捨てる者達だ。

 リオンを持ち上げ、兄上と敵対するように仕向けたり。

 無論、リオンにも責任はある。

 だが、醜いことに変わりはない。


「どうしますか?」


「——表舞台から消せ。ただし、出来るだけ穏便な」


「御意」


 それだけで俺の言葉を理解し、アンナが風のように消える。

 流石にこの段階で殺すのはまずいし、前世の記憶もあるのでしんどい。

 なので、搦め手を使い上手くやってくれるだろう。

 その時、アンナの言葉を思い出す。


「そういえば、やりたいことか……甘いもの食いたい」


 前世の俺は甘党男子で、スイーツを好んで食べていた。

 このゲームの世界にはお菓子程度はあるが、きちんとしたスイーツはない。

 ……待て、俺の能力があれば可能なのでは?


「よし、俺の目標は決まった」


 まずは主人公を避けつつ、自分の破滅に関わりそうな要素を排除する。


 そして、徐々に平穏な暮らしを目指していく。


 最後に氷魔法を駆使して——スイーツ男子になるとしよう。






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