哀れなムクロ
金の為なら殺人も厭わず、多くの人の人生を踏みにじり巨万の富を築いて来た男。
しかし栄華はいつまで続かない。
今まさに破滅の足音……警察の逮捕状が迫っている。
最後の瞬間に彼の胸に去来したモノとは
一体何だったのだろう?
#1
真っ白な鳩が好きだなんて
つまらない冗談は やめて欲しい
今のアンタにふさわしいのは
屍肉をついばむ真っ黒なカラス
多くの人生を踏みにじり
唸るほどの金を貯め込んできた
だけどもそれも もうすぐ終わる
破滅の足音が そこまで来ている
#2
アンタは書斎の机に向かい
もう一つの人生を思い浮かべる
もしも生まれて来たのが 貧しくとも暖かい家庭ならば
自分を育てた両親が もう少しマトモな人間ならば
俺も少しは人間らしい 真っ当な道を歩めたのだろうか
#3
運命の導火線が破滅の火花を散らし始めたが アンタの妄想は終わる事なく続いてゆく
その時 何を思ったのか
アンタの目から一筋の涙がこぼれ落ちる
[フザケルナ!!]
悪魔に魂を売った奴に 涙を流す資格など有るものか!
#4
ドアのチャイムが突然鳴った
現実のお迎えが来たらしい
アンタはいきなり拳銃を抜くと
自分の額を撃ち抜いた
一瞬体が大きく跳ねて 拳銃が床に転げ落ちる
どんなに金を貯め込んできても
幸福には ほど遠い人生だった
そこには虚しい札束に覆われた
哀れなムクロが転がっているだけだった
ある男をモデルにした詩を書きました。
これからも社会問題やホラー作品などを中心に書き続けたいと思います。




