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2.落ちてきた守護者

夜空の星たちが、突然バラバラに崩れ始めた。


「……っ!」


守護者は目を見開いた。


十二の星座が、まるで糸が切れたように宇宙のあちこちへ散らばっていく。


「どうして……?」


その瞬間だった。


宇宙に走った歪みが、守護者の体を飲み込んだ。


強い光が広がる。


「――!」


次の瞬間。


守護者の体は光に包まれながら、地上へと落ちていった。


――――――――


その頃、地上では。


少年は学校からの帰り道、夜空を見上げながら歩いていた。


「さっきの星……すごかったな。」


その時だった。


空から、一筋の光が落ちてきた。


「え……?」


光は森の奥へと落ちていく。


少年は思わず立ち止まった。


「今の……流れ星?」


少し迷ったあと、少年は森の方へ走り出した。


木々をかき分けながら奥へ進む。


そして――


そこには、一人の少女が倒れていた。


「えっ!?」


少年は慌てて駆け寄った。


「だ、大丈夫!?」


少女はゆっくりと目を開けた。


しかし、その目には戸惑いが浮かんでいた。


「……ここは?」


「え?」


少女はゆっくり体を起こした。


周りを見回す。


「あなたは……誰?」


少年は少し驚いた。


「え? 俺?」


少女は小さく首をかしげた。


「私は……」


少し考え込む。


けれど――


「……わからない。」


「え?」


「思い出せない。」


少年はしばらく黙っていた。


夜の森は静かだった。


やがて少年は少し困ったように笑った。


「……とりあえず、うち来る?」


少女は不思議そうな顔で少年を見つめた。


――――――――


しばらくして。


少年の家。


「ただいまー。」


少年が玄関を開ける。


その後ろから少女が遠慮がちに入ってきた。


台所から母親の声が聞こえた。


「おかえりー……って、あら?」


母親は少女を見て目を丸くした。


「その子は?」


少年は少し慌てながら説明した。


「森で倒れてて……それで……」


「記憶がないみたいなんだ。」


母親は少し驚いた顔をした。


「まあ……大変じゃない。」


少女はぺこりと頭を下げた。


「ごめんなさい……」


「迷惑かけて……」


母親はやさしく笑った。


「大丈夫よ。」


「困ったときはお互い様だから。」


父親も居間から顔を出した。


「どうした?」


事情を聞いた父親は腕を組んだ。


「記憶喪失か……。」


少し考えてから言った。


「行く場所がないなら、しばらくここにいればいい。」


少女は驚いた顔をした。


「え……?」


母親はにっこり笑った。


「そうね。」


「落ち着くまで、ここにいればいいわ。」


少女は戸惑いながらうなずいた。


「ありがとうございます……」


その時、少年がふと思い出したように言った。


「でもさ。」


「名前は?」


少女は固まった。


「……」


しばらく沈黙。


やがて小さく首を振った。


「……それも、思い出せない。」


少年は困った顔をした。


「名前もないのは不便だな。」


少し考えてから言った。


「じゃあさ。」


「俺たちが名前つけていい?」


少女は驚いた。


「名前……?」


母親が微笑んだ。


「そうね。」


「星みたいにきれいな子だし。」


少年は少し考えてから言った。


「じゃあ――」


「アリアってどう?」


少女はその名前を小さく繰り返した。


「……アリア。」


不思議と、その響きは心に残った。


「うん。」


少女は少しだけ笑った。


「それが……私の名前。」


夜空では、散らばった星の光がまだ静かに揺れていた。


そして、その中の一つが――


わずかに輝いた。


少年は少し考え込んだ。


「でもさ……」


「名前がないと困るよな。」


少女は静かにうなずいた。


「……うん。」


母親がやさしく笑った。


「そうね。」


「このままだと呼びにくいものね。」


少年はふと窓の外を見た。


夜空には、まだ星の光がかすかに輝いていた。


「……星。」


少年は小さくつぶやいた。


「え?」


少女が不思議そうに見る。


少年は少し照れくさそうに言った。


「君、星みたいだからさ。」


「星野アリアってどう?」


少女は驚いたように目を瞬かせた。


「……星野。」


「……アリア。」


その名前をゆっくり口にする。


不思議と胸の奥が少しだけ温かくなった。


「うん。」


少女は小さく微笑んだ。


「それが……私の名前。」


母親もやさしく笑った。


「じゃあ、今日からあなたは星野アリアね。」


父親も腕を組みながらうなずく。


「よろしくな。」


少年は笑った。


「改めてよろしく、アリア。」


アリアは少しだけ空を見上げた。


夜空では、散らばった星の光が静かに瞬いていた。


まるで、その名前を祝っているかのように。

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