食われる者
扉を開いた。
俺とカナは悪魔と対面する。
「新しい肉がきたようだ」
大きな影が近づいてくる。
ゴツい体を持った影だ。ムキムキの四足歩行の何か。
近づくにつれてその影の姿が明らかになる。
どこまで大きいんだ。
大きさは5メートルに及ぶ巨体で全身は青く輝いている。
ライオンのような体で人間の顔をしたそれは正真正銘の化物だった。
人面ライオン。。。スフィンクス?
なんでもいいか、こんなやつ。
図体でかいだけで終わらせるなよ。
「。。。」
悪魔は俺達を見下ろしている。
目玉がギョロギョロと動いていて気持ち悪い。
「いい肉だ」
悪魔は口を開け喜んだ。
「てめぇの肉になんかなる気はねぇよ」
「新しい肉に乾杯」
話聞けし。
白い光が空間を包む。轟々とした音楽が流れる。
メッセージが下から飛んできた。
「悪魔が出現」
後ろから大きな音が鳴る。扉が閉まる音だ。
帰すつもりはないようだ。
俺も逃がすつもりはねぇ。
「集え。。。」
悪魔の声は周囲に響き渡る。悪魔の背後から無数の影が出てきた。
「魔族複数体って卑怯だな」
こんなに集めてリンチって、悪魔も大したことねぇんじゃねぇか。
ん。。。人?
影の正体は人間だった、目の焦点が合わず、足もおぼつかない。
「これ、人間よね」
「この肉どもは死にたくないと我に懇願した」
「だから我はこいつらに誓いで不死を与えたのだ」
悪魔は人間を踏み潰した。そして人間だった肉塊を飲み込んだ。
ゴクン___ 悪魔は微笑んだ。
「お前らも不死にならないか」
悪魔は誓いを持ちかけてきた。
俺達を新しいガムにでもするつもりだ。
「誰がするかよそんなもの」
それに、俺はセーブがあるから実質無敵なんだよ。
「。。。そうか」
悪魔の表情は冷たくなった。
ゴミでも見てるみたいな顔しやがって。
「進め」
悪魔の声で一斉に人間達は動き出した。そんなフラフラで何が出来んだよ。
俺は人間の群れをすり抜けて悪魔に向かって走り出した。
瞬間___
ブチャァァ。。。
次々と人間が爆発した。肉塊が降りかかる。
100、100、100、100。。。
100の数字止まらない。
威力が小さくともこんなに受ければ大ダメージに相当する。
ちりつも恐るべし。
こんなんで俺が怯む訳無いだろ。俺は悪魔に飛びかかり斧を振るった。
悪魔に500ダメージ与えた。
顔には届かねぇか、割と助走は上手くいったのに。
青く輝く悪魔の体毛は冷たい。
冷た。。。い"!
この体毛、氷のように冷たいぞ。一本一本の体毛は俺の手に絡まり凍らせた。
俺は左手で魔法を選択しファイアを放つ。
暖かい。
周囲の体毛は焼け焦げ、俺の右腕は自由になった。
俺は蹴り出し腕から離れた。
燃えちまえ!
俺は炎を悪魔の顔に向けて放った。
悪魔の顔に炎が命中した。悪魔の顔は黒ずんだ。
悪魔に700ダメージ与えた。
こいつ炎に弱いぞ。弱点が分かりゃあとは簡単だ。
俺は魔法を選択、再び放つ。
しかし。
「ブリザード」
俺の炎は一瞬にして消えた。辺りに吹雪が舞う。
人間達は凍りついた。洞窟に白い雪が積もる。
悪魔の口から冷たい息が漏れる。
とんでもねぇ、魔法だ。
やつの周囲、炎が完全に消えた。
氷は一層冷たくなる。
炎はあいつのブリザードで消される。物理でぶっ倒すしかなさそうだ。
俺は三回攻撃を選択した。
力いっぱいに飛んで、大きな足に斧をぶつけた。
1800ダメージを与えた。
「ኵᕊᤊഗᡄ!!」
「言葉ぁ聞き取れねぇぞ」
怒ってんのがよく分かるぜ、そんなに俺の攻撃が痛ぇのか?
ならもっと攻撃してやるよ!
俺は両手で斧を掴み、全力で斬りつけた。
「オラ、オラ、オラ!!」
510、560、520。。。
苦しんでるのが分かる、しっかり味わってくれよ。
次の攻撃の瞬間、悪魔は俺を振り払った。
俺は扉まで吹っ飛んで、強く打ち付けられた。
700ダメージを受けた。
「ここだ!」
高エネルギーの球が放たれる、カナのスパークだ。
体に命中した。
悪魔に1000ダメージ与えた。
悪魔は後退りした。俺の攻撃した足を引きずっている。
「カナ、ブリザードを止める方法はあるか」
カナは悩んだ。
「ブリザードを止めるには同じブリザードを出すしか無いわ」
同じブリザードか、俺の魔法もカナの魔法も氷系の技は無い。
どうしようもないな。。。ん増えてる?
俺の魔法画面の中にリーフが追加されていた。レベルが上がった時に追加されていたのか。
魔法に関してはノールックで操作していたから、しっかり見るべきだな。
リーフかー。。。リーフ。。。風。。。ブリザード。
できるかも。
俺は魔法画面を開きリーフを唱えた。
地面から渦が巻かれる。ゆっくりと段々と渦は強く激しく巻き上がる。
さらに。
「リーフ」
俺は再びリーフを唱えた。
ブリザードの威力に対抗するにはリーフ 一つじゃ物足りない。
巻き上がる渦は激しくなる。俺はリーフをまた唱える。
洞窟の天井まで届き、激しい音を出すその渦は周囲の雪を吹き飛ばし、氷を削る。
「これで何をするんだ」
「あのブリザード吹き飛ばすんだよ、同じブリザードで」
「同じブリザード?」
「ああ、正しくはファイアブリザード。。。ファイアトルネードなのか?」
「あとはファイアをこの渦の中に放ってくれ」
「ええ、分かったわ」
俺とカナは渦に向かってファイアを放った。
渦は赤く染まり、熱を纏う。
ブリザードを超えた炎のブリザードだ悪魔ごと燃やせ!
渦は悪魔に向かって進んだ。
周囲の冷気は消え、変わりに熱気が溢れ出す。
___!!
奥にいた悪魔に渦が向かう。
「ブリザード」
口から放たれる冷気は渦を包む、しかし凍ることはなかった。
悪魔に渦は命中した。
4000ダメージを与えた。
悪魔の体は焼き焦げ、青く輝いていた肌は黒く染まる。
ブリザードは完全に消滅した。
よし、いけるぞ思ったより楽勝かも。
「死して償っても物足りぬ。。。」
悪魔の体毛は逆立つ。悪魔は走り出した。
あの巨体で速く動けるのかよ。
悪魔は一瞬で俺達の所に向かい、俺達を薙ぎ払った。
俺達は600ダメージ受けた。
吹っ飛んだ場所に追い打つように悪魔の足が飛んできた。
洞窟に穴が開いた。あれが当たったら潰れていた。
カナが助けてくれた。俺を持ち上げて避けてくれた。
「アイスドーム」
地面から氷の結晶がたくさん生えてきた。
「爆散しろ」
すると氷の結晶は爆散し、結晶のトゲは洞窟中に散らばる。
当たるかよ、俺は大きなトゲを回避した、カナも回避する。
「爆散しろ!!」
多すぎだろ!
散らばったトゲは再び爆散した。細かい粒は高速で俺とカナの体に食い込んだ。
800ダメージ受けた。
だめだ攻撃が終わらない、悪魔はこちらに向かって走り出す。
もうHPも限界に近い。俺はセレクト画面を開きポーションを取り出した。
HPが500回復した。
「ヒール」
カナは俺に魔法を唱えた。HPが900回復した。
おかげでまだ耐えられる。
いまのあいつに何発も攻撃を入れる隙はない。
一撃だ、強力な必殺技で行くしかない。
TPはあえてダメージを受けることで溜める。俺は防御を選択し、悪魔に構えた。
悪魔は俺を叩きつけた。俺は900ダメージ受けた。
「トンコロコロ!!」
カナが俺に再びヒールを放とうとする。
だめだ防御してもダメージが高いんだ、このままじゃカナの方がやばい。
「自分を回復しろ!」
悪魔の前足がカナに直撃した。
カナは1200ダメージ受けた。
「ぐ。。。はっ!!」
死んでない、良かった。
よし!!
悪魔がカナを狙った隙に俺は必殺技画面を開いた。
俺は超大振りを放った。
力が漲る。俺は背後から斧を振るった。
悪魔の体が宙に飛ぶ。勢いよく飛んだ悪魔は3800ダメージを受けた。
「死に足りないか!!」
あいつ、まだあんなに体力あんのかよ。
悪魔は走り出しこちらに向かってくる。
俺はもう出し切ったぞ、もう限界だTPも空で攻撃のチャンスもない。
どうすりゃいいんだよ。
悪魔の足が着くたび地響きが起こる。
まぁ、しょうがねぇか。
あいつも軽傷じゃないはずだ。俺も頑張るしか無い。
「カナ、あとひと踏ん張りだ」
「絶対倒すぞ」
カナは重い体を上げる。
「当たり前だ!」
_____
悪魔は俺に足を振るった。
俺は1000ダメージ受けた。
「くどいぞ」
「俺は丈夫なんだよ、ほら来いよ」
悪魔の眉間にシワが寄った。
再び俺に攻撃した。
俺は1000ダメージ受けた。
作戦通り。
____
俺とカナは二手に分かれ、カナが悪魔の背後を取るような形、俺は悪魔を引き受ける形を取る。
「これは?」
「入る前にくれたマジックポーションだ」
マジックポーション:MPを回復し数秒間魔法力を増加させる。
「俺にヒールを掛け続けてくれ、その間俺は防御でやつを引き付ける」
「それは何をしたいんだ」
「必殺技打つのに必要な過程なんだ、いいからやってくれ」
____
もう一度必殺技打てば流石にやつもやられるだろう。
俺は1000ダメージを受けた、そしてHPが1000回復した。
もういい頃だろ。
俺は必殺技を選択し発動させた。
食らえ、超大振り!
斧を振り上げ悪魔にぶつける。悪魔は強い衝撃で吹っ飛んだ。
超大振り:全力でフルスイング
俺の必殺技はどうやら脳筋技だったようだ。転生者として悔しいが、まぁ。。。
やっぱり認めん!! チート能力くれ!!
悪魔に3800ダメージを与えた。
よし、今度こそ。。。嘘ー?
悪魔は立ち上がった。明らかに威勢は無くなったがまだこちらに向かってくる。
カナは首を横に振った。MPが空になったようだ。
やばいなぁ、これ。 今度こそ終わったか。
「なぁ、ほかに私にできることはあるか」
「他にできること。。。」
俺はカナの戦闘画面を開いた。
魔法は完全に駄目、技は一応あるが今のやつに通用するかは定かではない。
必殺技は___へっ!使えそうだ。
俺はカナの必殺技トリプルエレメントを選択した。
「なんだ、これ?」「体から魔力が溢れる」
カナはランスを上に上げた。剣先には赤い球、黄色い球、青い球が出てきた。
その球は混ざり合い一つの混合色の球となった。
「死しても、貴様らに。。。」
ゆっくりと悪魔はこちらに向かう。
「よしっ!」
カナは悪魔に剣先を向けた。
「トリプルエレメント」
混合色のエネルギーは悪魔に向かって放たれた。
「何が、そんな球で。。。」
悪魔に球が命中し爆発した。
4000ダメージ与えた。
これでようやく。。。
しかし悪魔は倒せていない。
「そんな」
悪魔は俺達の方まで向かう。
はずだった___
「体が、痺れ、る」
何が起こった。
悪魔の体は痺れだし、固まった。
メッセージが下から飛んできた。
「悪魔は麻痺状態になった」「悪魔は凍結状態になった」「悪魔は火傷状態になった」
デバフが複数付いたのか。
悪魔の体が燃えだした。200ダメージ食らった。
とりあえず、時間は稼げたな。
「解除まで残り:10秒」
10秒だって?これを逃したらもう後がないってことだろ、カナも俺もTP、MPどっちも空っぽだ。
あの距離じゃ、時間に間に合わない。
「残り:5。。。4」
どうすれば。
「3。。。2」
そうだ。
俺は右手の斧を力いっぱいに込めて投げた。
「うおーー!ミノタウロスパワー!」
「1。。。0」
状態異常は解除された。
瞬間、悪魔の額に斧が刺さった。
500ダメージ与えた。
「何を、して。。。意味が。。。な!!!!」
悪魔の体にヒビが入る。
そして___
バリィン
悪魔は砕け散った。
「勝った。。。」
深く息を飲む。
「勝ったぞーーー!!!」