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妲己

振り返るとカナとアビスしかいない。

たかしはどこにいった?


前を向くと、

そこには倒れた妲己と俺を見て不敵に笑うたかしがいた。。。


「おい、何やってる!」


カナの声で俺は後ろを振り返る。


「何って。。。妲己を」

「それはたかしだ!」


どういうことだ、だってたかしは目の前に立って。。。


だが、前を向くと、不敵に笑う妲己と倒れたたかしがいた。


「ククク、騙されたなぁ」


俺は幻覚を見ていた。

いつから見ていたのか全く分からなかった。


初めの幻覚の時もそうだ、妲己の使う技はいつ発動したのか本当に分からない。

俺はたしかに妲己を狙ったはずなのに。。。


たかしは倒れた体をゆっくりと起こし、汚れを払った。


「ふぅ~結構食らったぜ」

「たかし。。。すまな」

「しょうがねぇことだろこんなの」


たかしはニシシと笑い拳を合わせる。


「ちゃっちゃと終わらせようぜ」

「。。。ああ!」


俺はたかしと隣り合って妲己に向かって構えた。


「良い友情じゃのぉ、また仲間割れさせようか?」


妲己は手を伸ばし光を発生させた。


それを止めるべく、たかしは力強く飛び出し妲己に突進した。


しかし____


「っ痛。。。」


たかしの突進は妲己には当たらず、その勢いは空のように軽い壁に放たれた。


「ククク、強引に攻めても儂には通用せんよ」


その時、たかしの周りを複数の妲己が囲った。


「戦いの極意ってのを知ってっか?」

「どんなやつでもなぁ」


「攻めて攻めれば勝てるんだぜ」


たかしは上機嫌で拳を構えた。


「なら儂も攻めて攻めて攻めようか」


妲己達は一斉にたかしに向かって拳を放った。


いい心がけだ。

ただなあ。。。俺だけが知ってる戦いの極意パート2ってのがあんだよ。


それはな。。。


攻めて攻めて攻めて攻め返すことだ!!


たかしは拳が放たれる刹那、深呼吸をした。

そして、妲己達にたかしは構えをとった。


「反撃の構え」


たかしの体にオーラが発生した。


拳が近づいてくるたび、たかしはそれを跳ね除け打ち返す。

拳が向かってくるたび、たかしはそれを跳ね除け打ち返す。

拳が飛んでくるたびに、たかしはそれを跳ね除け打ち返す。


たかしは妲己達の攻撃を全て受け流し、反撃した。


1.7秒____たかしは見事、妲己達を攻め返した。


5800ダメージ与えた。


たかしの攻撃で妲己達は次々と消滅する。


だが一人、消えない妲己がいた。


「ククク、今のは良かったぞ」

「そりゃ、極意だしな」


妲己は不敵に笑った。


こいつの力はとても優秀じゃ。。。


「お前なら良い駒になれるぞ」

「っ!!」


妲己は床を蹴り出し、一瞬でたかしに近づいた。

たかしは直ぐに気づき防御の体制をとった。


だが___


「洗脳光線」


手のひらから眩い光が放たれ、たかしの思考を鈍らせる。


「さあ、奴らを倒すのじゃ」

「。。。。。」


たかしは無言で俺達を見つめる。


まさかな。。。


たかしは俺に向かって拳を放ってきた。


「グッ!!」


拳と刀が衝突する___


俺は拳の衝撃で思い切り吹っ飛んだ。


1000ダメージ受けた。


「ククク、儂の力をちょいと分けてやったんでのぉ」

「些か手強くなったろう?」


妲己は笑ってゆっくりと歩き出した。


「洗脳は力を共有できるからのぉ」

「共有して、力が強化された状態かつ」

「加えて仲間には手を出せないであろう」

「相当、厳しいじゃろう、ククク」


「さて、次は誰が操られたい?」


妲己は余裕な態度で手を構えた。


「誰もいないわよそんなの」

「ん?」

「目の前まで近づいたってことはその光、射程は短いんじゃないの?」

「それなら私達には当てられないわよ」


妲己の前にアビスとカナが現れた。

(アビスはカナの背後にひょこっといるだけ)


「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」

「洗脳の方法が一つだけとは限らんだろう」

「そうね、近接戦闘の相手に近づいて技を使ってなきゃそう思ったわ」

「。。。。」


カナの読みは的確だった。

妲己の洗脳の射程は短く、技も一種類しかない。


その読みに一瞬、笑みが不自然になった。


あの一回でそこまで見抜くか。

ククク、素晴らしい思考力だ。


「お前さんの言うた通りだ」

「射程が短い故、近づかなければ当たらない」

「じゃが。。。」

「何?まだ嘘があるのかしら」

「過信しすぎじゃ、種はまだあるぞ」


「洗脳光線」


妲己は腕を伸ばし、手のひらから眩い光を発生させた。


この距離から技を放った!

射程を短くしたのはブラフ。。。

いや、それなら不意打ちで全員に放ったはず、ならこれは。。。


妲己の光は更に強くなり、眩く、激しくなる。


そして____光線は一直線に解き放たれた。


爆音を鳴らし、真っ直ぐ放たれた魔力の塊は避ける間もなくカナの腹部を焼いた。


6890ダメージ受けた。


「名前の通り光線なんじゃ」

「遠くからでも攻撃できる」


「ハァ、ハァ。。。」


カナは腹部に手をかざし魔力を込める。


「治させんよ」


妲己はその行為を止めようと飛び出してきた。


「アイス」


妲己が近づいたその時、腕を前に伸ばして込めた魔力を放出した。


1800ダメージ与えた。


回復だと思ったみたいだけど。


「あんたこそ過信したんじゃないかしら」


言ってやった。。。


カナは煽るように笑った。


そして____


メッセージが下から飛んできた。

「妲己は凍結状態になった」


「!!」


妲己の全身が凍え、固まった。


「グッ、この程度。。。」


妲己は無理やり力を込め、強引に動こうとした。

だが、パキパキと表面の氷が軋むだけで動くことはなかった。


「決まったわね」


目の前に剣先に魔力を込めたカナと魔力を大量に纏ったアビスがいた。


決まったねぇ。。。


確かに、こりゃ厳しいかもしれんなぁ。


儂だけなら____


二人の背後から大きな音が聞こえた。


「会心拳」


瞬間、強い衝撃波が二人を襲った。

衝撃波はバチンと音を出し、強い風圧を起こし、二人は吹き飛んだ。


2500ダメージ受けた。


「いいぞ!もっと暴れろ!」


_____


あの洗脳、デバフ解除の残り時間が存在しない。

あまりにも厄介すぎんだろ。


俺の体は地面に埋もれて身動きが取れない状態だった。

あの時、たかしが向こうに行ってなきゃ確実に死んでたな。


「ええと、どうしましょう。。。」

「全力でたかしを殺すのよ」

「うぇ、仲間を殺すんですか」

「ええ、気にしなくていいわ」


今、最も厄介なのは妲己の魔力で強化されたたかしだ。

攻撃力も素早さもこの中で圧倒的で尚且つ命令で無茶苦茶に動く存在。

妲己が動けない今しか止めるチャンスは無いだろう。


「殺すなんて仲間想いじゃないねぇ」

「死ぬ程度あいつは平気なのよ」

「アビス行くわよ」

「はっ、はいぃ。。。」


二人は魔力を込めた。


「。。。。」


その直後、たかしは小さく呟いた。


「乱打双拳」


たかしの両手からは溢れんばかりの魔力が現れ、力んだ途端に魔力はギザギザに尖りだした。

そしてたかしは妲己に当てないように全方位に向けて拳を放った。


「伏せろ!!」


空を砕き、割れた音を出し、壁という壁が破壊され、床という床が破壊される。

たかしを中心に激しい衝撃波が広がった。


10発技じゃなかったけか。。。


永遠に放たれ続ける拳に二人は屈むことしか出来ず、埋もれた俺は未だに体を上げられずにいた。


この拳を止めない以上俺達は身動きさえ取れない。


不幸中の幸い。。。

ボコスカ殴られたお陰でTPは溜まっている。


俺は刀を持ち上げ必殺技画面を開いた。

近づけねぇなら投げるしか無いよな。


力が漲って来る。

俺は漲った力で刀を投げ飛ばした。


「超大振り」(投げ技バージョン)


刀は力強くたかしの腕に向かっていく。


「。。。。。!!」


ガチン____


たかしの反応以上の速度で向かった刀は腕に命中した。

その衝撃で姿勢が崩れたかしは突っ伏した。


これなら魔力を放てる!


「アビス、撃つよ!」

「はっ、ハイ!」


二人は直ぐに立ち上がり魔力を放出する。


「スパーク」

「精霊ウィンドレイブ」


発生した黄色いエネルギーは広範囲を穿ちたかしの方向へ向かう。

背後から現れた精霊は袋を前にかざし風を放出した。


そして、同時に放たれた風と黄色いエネルギーは混ざり合い、

轟々と轟く黄色い風となった。


放った方向にいた たかし、妲己、トンコロコロは全員巻き込まれた。


強い爆風が辺りを散らす_____


たかしは死んだ。


「本当に。。。仲間想いじゃないのぉ」


傷を負った妲己が二人に近づいてきた。

綺麗で色気のあった和服は萎れ、傷んで、全身の溢れんばかりの美貌も汚れと傷で微かなものになってしまった。


妲己は調子を変えず元気な顔をして笑っていた。


「二人とも死んだんじゃないかい?」

「まっ、無茶が効くのよ二人は」

「でも本当に二人を死なせて良かったのかい?」

「まだ儂はこんなにピンピンして____」


その時、回した腕がボロボロと崩れ落ちた。


「ふーむ。。。」


全身がひび割れ、その割れ目から魔力が溢れだす____


「こりゃ儂の負けじゃな」


同時に部屋が歪み、薄くなり始める。

そして、景色が暗くなりだんだん曇っていった。


「外。。。?」


俺はギリギリ生きていた。

というより命中したのはたかしとその付近にいた妲己で

俺は風圧に巻き込まれてちょっと吹っ飛んだだけだった。


そこは霧に覆われた外だった。

所々に岩や地面を砕いた痕があるだけで、それ以外は何もなかった。


「これは何」


カナは剣を構え、妲己に問いただした。


「元に戻っただけさ」

「どういう。。。」


「始めからここには何もなかった」

「屋敷も村も。。。」

「人もな。。。」

「ああ、護衛軍はいたよ」


「なら私達がいた屋敷は。。。」

「幻じゃよ」

「ここら一帯は全部儂とキュウビが出した幻じゃ」

「いい出来じゃったろ?触れたり、登ったり、喋ったりする幻は」


「そうじゃ、お前さんら」

「奥に行きたいんじゃったよな」

「ええ、そうよ」

「んじゃ行っていいぞ」

「行くなと言った所で塞ぐ門番もいないがのぉ、ククク」


妲己は楽しそうに笑い、ゆったりと三人から離れていった。


「あ〜〜良い暇つぶしであった」


パキパキ____


妲己の体が崩壊した。


その時、妲己は初めてあった時の姿に戻っており、隣にキュウビが現れた。


キュウビの体は燃えて、ゆっくりと消滅していく。


「よく頑張ったなキュウビ、流石は壱番隊だ」

「ゆっくり休むんじゃぞ」

「。。。。。」


キュウビはゆっくりと目を閉じる。

そして___炎に包まれ塵となった。


「お別れじゃ、縁があればまた遊んでくれな」


妲己はゆったりと笑いながら霧の奥へと進んだ。


俺は目を離さなかった。

しかし姿は突如消えていた。


________


辺りにはなにもない。


霧が掛かった暗い夜の出来事____


さっきまでの出来事が無かったんじゃないかと思う程に静寂がこの場を包む。

時間も感覚も全てが惑わされ夢と疑う出来事だった。


俺達は狐に化かされたようだ。




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