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参番隊

「。。。。。」


アビスは弐番隊アラヤゴウエンとの戦いですっかり脱力してしまった。


「ボタン?」


壁にボタンがあった。

戦っている最中全く見たことの無い、記憶にないボタンだった。


あのボタンは一体。。。

押すべき?押さない?


「うぇ〜どうすれば」


でも、このままじゃ何も変わらないし。。。

かといって、何かあるかもしれないし。。。


一旦置いておこう、うん!


「ひとまず、トンコロコロさんを運ばないと、うん」


アビスはトンコロコロに近づいた。


「うぇ?」


アビスはトンコロコロの刀に躓いた。


あれ?体、うぇ?


「おっとっとと。。。」


ガシャン___


「へ?」


躓いて壁まで足を運んだ。

そして、アビスはボタンを押してしまった。


やっちゃった。。。

あああどうしよ〜〜!


ガシャン。。。


後ろから金属の音が聞こえた。


「うぇ?なんでしょう」


聞こえた場所に戻ると柵が開いていた。

開いた先の空間には一本の階段へと続く道があり、横にたかしとカナのいる柵があった。


階段の先に二つの魔力を感じる。

あそこは4人で行くべきですね。


この柵。。。壊せないかな。

アビスは柵に触れて魔力を流し込んだ。


ウェ、あれ?


アビスは不思議に思った。


魔力を送れない?

まるで、存在しないような。。。


「う〜ん、これじゃどうしようもないです。。。」

「よし、やめやめ!」


とりあえず、私はトンコロコロさんをここまで運んで、二人を待ちましょう。


アビスはトンコロコロを運びに奥へと戻っていった。


少し前___


「ヒュ〜!」

「力が溢れて止まらねぇぜ!!」


たかしとカナの前には黒い翼で羽ばたく陽気な男、参番隊ヒョドルコロドがいた。

炎を纏った鎌をグルグルと回し、踊っている。


「何年ぶりだ?反逆者☆」

「言っとくがテメェらは死刑だぜ♪」

「ちょ、おい」

「俺の鎌には地獄の炎!、全て焼くぜ地獄の炎!」

「ほらよ喰らえ!、炎の鎌!」


「火業の断絶ダムナティオ・イグネム


瞬間、鎌から曲線の炎が放たれた。


「アイス」


剣先に青い球が収束した。

そして青い球を炎に向かって放った。

炎がアイスと衝突するとその場に蒸気が発生した。


へぇ〜魔法が使えるのね。


「ヒュー!いいね、その調子!」

「全力で俺を倒しにいってくれ♪」


「堕天の魔力サタン・オブ・ヘレシー


参番隊ヒョドルコロドはぐるりと回転し、瞬時に姿を消した。


気配どころか魔力すら消えた。

一体どこに。。。


その時____


たかしの背後から翼の羽ばたきが聞こえた。


「___!!」


振り向いた途端、

そこには振り上げられた鎌と浮いた左腕があった。


「いっちょあがり」


参番隊ヒョドルコロドはゲラゲラと笑う。


3200ダメージ受けた。


たかしは左腕を失った。


「次はみ〜ぎ〜」


参番隊ヒョドルコロドは再び鎌を持ち上げてたかしを襲う。


今度は右腕が無くなる。

腕を失えば武器を失ったも同然___ただし。。。


「お前のな!!」

「は?」


たかしは振り下ろされる鎌よりも速く、

力を込めた一撃で参番隊ヒョドルコロドの腕を攻撃した。


「会心拳」


たかしの拳は参番隊ヒョドルコロドに放たれた。

放たれた拳は右腕を抉り、ふっとばした。

その拍子に鎌は落下し金属音が響いた。


1020ダメージ与えた。


「取れた?」


参番隊ヒョドルコロドは右を向き、無くなった腕の断面を見て、目を見開いた。


「やるじゃん!」

「腕がパンチで取れるなんて♪」

「こりゃ一本取られたぜ!腕だけに」

「でも♡」


参番隊ヒョドルコロドの無くなった断面から肉が盛り上がって蠢いた。


「ほらこの通り、再生した!」


完全にたかしに飛ばされた右腕は再生した。


参番隊ヒョドルコロドは鎌を拾い、

ワープして二人から離れた。


「お前だけだぜ、片腕なの!」

「そんな負傷で戦えるのかな?」


参番隊ヒョドルコロドはケヒッと笑う。


「言っとくが、俺も再生できるんだぜ」

「へぇ〜」

「カナ!!」

「はいはい。。。」


カナは呆れた表情でたかしに向けて魔力を放った。


「スーパーヒール」


。。。。。


「ん、どうした」

「あれ、出ない」


確かに魔力を放ったはずなのに、なんで。


「プフッ」

「ゲッハハハハ!!」


参番隊ヒョドルコロドは腹を抱えて笑い出した。


「再生出来てないじゃん、あーおもろ」

「どうなってんだ」

「簡単だよ、単純に魔法を中和したんだ」

「中和ってそんな。。。!」


カナはその時、初めて気づいた。

参番隊ヒョドルコロドの魔力が部屋中に充満していることに___

本人から放たれている魔力とは別に充満した魔力は魔力密度が薄く気付きにくい。

しかし、薄いといっても突然発生すれば気付けないものではない。


「いつから」

「お前が魔法を使った瞬間だよ」

「魔法使ってる瞬間なら自分のが邪魔で探知が鈍るだろ」


「革命のドミニウム


「この空間じゃ魔法は俺の魔力で中和されて使えねーぜ」

「魔法がなきゃもうテメーらは終わりなんじゃねぇのか?」

「負傷のガキ、ひ弱で魔法の使えないガキ」

「こりゃあ負けないですわ〜☆」

「ミンチだわ〜♡」

「ケヒヒヒヒヒ!!」


参番隊ヒョドルコロドの笑みは歪み、足をバタつかせて腹を抱えた。


「はっ、片腕でもやってやらぁ!」


たかしは力強く飛び出し参番隊ヒョドルコロドの顔面に蹴り上げた。

しかし、蹴り上げた先に参番隊ヒョドルコロドはいなかった。


「遅いねぇ、ワープできる俺には通じないぜ」


堕天の魔力は空間を自在に転移する技

発動条件は至ってシンプル。それは体を動かすことである。

心臓が動いた、血流が流れた、など小さな動作さえ条件内であり、

すなわちそれは、参番隊ヒョドルコロドの思ったタイミングでワープできるに他ならない。


あいつ、パワーは結構あるみたいだが。

ククク、俺には当たらない、雑魚、ただの雑魚!!

あいつは余計弱いだろうな。。。


ああ〜♡

俺はなんて罪深いんだ。。。


よし、殺そう。。。

今日はチートDayだ。。。

い〜っぱい殺しまくろっ♪


「ふぅ、今度はどうだ!」


たかしは参番隊ヒョドルコロドに向けて拳を放った。


「無理だよお前じゃ」

「ほら!すぐに飛んで。。。」


2045ダメージ与えた。


参番隊ヒョドルコロドの顔に拳が直撃し、フワッと体が飛んだ。


「あっれ〜?」

「俺、ワープしたよね?」

「腕でも伸びたかぁ」


参番隊ヒョドルコロドの鼻から血がゆっくりと垂れた。


「まぁいいか」


その瞬間、参番隊ヒョドルコロドは色んな場所にワープした。


どうよこれ、

これじゃあ当たらんよなぁ。


「ほらよ、まずは1キル!」


たかしの首に鎌を振り上げた。


「はぁ?」


馬鹿な、なぜ当たる。


「なぜだ、なぜ俺のワープが」

「集中したからな」

「ふざけたことを!」


ワープが通用しないだと。。。まさか!

こいつ、ワープを見破ったのか!


堕天の魔力には欠点があった。

それは動作が小さければ小さいほどワープの距離が縮まるということだ。

瞬時にワープした場合、その距離は僅か1〜2m。


あいつ、思った以上に頭がキレるな。


面白くなってきた!!


「見破ったところで、負ける俺じゃねぇんだがな」

「何を見破ったって?」


「十字架のクラシフィクシオン


参番隊ヒョドルコロドの鎌に魔力が集中する。


「理解できずに殺してやるよ」


途端、その場に大きな光が発生した。

光は十字に伸びて広がる。

そして完全に二人の視界を塞いだ。


この光の中でワープできる俺を捉えるなど不可能。

テメェらの首を一瞬でふっ飛ばしてやる!


参番隊ヒョドルコロドは一瞬で距離を詰めて二人に近づいた。


近づいてくる!

カナは目が塞がれている中、魔力で距離を感じ取った。


しかし____


この数。。。!!


カナが感じ取ったのは参番隊ヒョドルコロドではなかった。


「火業の断絶ダムナティオ・イグネム


参番隊ヒョドルコロドは自在にワープして全方位に炎を飛ばした。


グッ。。。魔力を剣に集中させろ。


カナはランスに魔力を込めた。

そして、感じ取った魔力の方向にランスを振り払い、炎を弾いた。


だが、弾ききれずに数発の攻撃を許してしまった。


5200ダメージ受けた。


「グッ。。。」


弾ききれなかった。

でもこのやり方、もしかしたら。


_____


あの男はどこだ。

参番隊ヒョドルコロドはたかしを探す。


その時____


「おりゃ!!」

「なっ!!」


たかしの拳を鎌で止めた。


「なぜだ、なぜお前は!」

「集中力」


拳は鎌に重い衝撃を与えた。

その衝撃は鎌の全身に広がり、崩壊させるに至る。


「チッ!!」


参番隊ヒョドルコロドは鎌を再生させ、即座にたかしの背後にワープした。


よく見えねぇけど、当たってるみたいだな。

ほらよ!もっと当ててやる。


たかしはなりふり構わず拳を打ち続ける。


何故だ、俺が何故攻撃を食らってる。

視界を塞いでもワープしても。。。それなのに攻撃を食らっている。


2000、2050、2018。。。。。


16000ダメージ与えた。


なんで俺が。。。


徐々に光が消え始める。


カナとたかしは目を開けて辺りを見渡した。


「クソ、無傷かよ」


参番隊ヒョドルコロドは再生し傷を完全に防いだ。


「また再生しやがったぜ」

「あれをどうにかしないとね」

「作戦はあるか」

「ええ、一つあるわ」


_____


「はぁ、はぁ。。。」

「再生してんのに疲れんだな」

「あ?」


再生は、んな便利じゃねぇんだよ。


再生は体や物を治すことができる。

しかし、体力や魔力は回復せず、そしてダメージも蓄積していく。


そうだ。。。焦った俺が馬鹿だった。

どんなに避けられない攻撃だろうが腕あっての事。。。


「切り落としてやる」

「ぶっ飛ばしてやる」


たかしは真っ直ぐ参番隊ヒョドルコロドに向かう。


「うおおおお」


参番隊ヒョドルコロドはワープして一瞬で背後に回る。


しかし、たかしの体は回転し背後の参番隊ヒョドルコロドに拳を放った。


「待ってたよ」


たかしの拳は参番隊ヒョドルコロドの腹を貫いた。


2010ダメージ与えた。


「ん、抜けねぇ」


参番隊ヒョドルコロドは腹部を再生し続け、たかしを腕を離さない。


「戦力外通告の時間だぜ」


参番隊ヒョドルコロドは鎌を振り上げる。


その時___


「リーフストーム」


4000ダメージ与えた。


参番隊ヒョドルコロドの体中が引き裂かれ、たかしの腕を解放した。

振り返るとそこにランスを向けたカナがいた。


「魔法、なんで。。。」

「剣に魔力を込めたあの時」

「気づいたのよ」

「魔法を中和してるだけで、使えなくしたわけじゃないって」

「だったら魔力を中和できなくなるまで込めればいいって」

「___!!」

「さぁ、ここからは私の番よ」


_____



俺が追い詰められている。

ここから。。。


ヒョドルコロド、逃げるのか。。。

ああ、逃げさせてもらうぜ。

ほ〜う、参番隊なのにか。

うっせぇ!

忘れたか?テメェの下にいるのは利益あっての話だ。

死ぬとなったら帰らせてもらうぜ。


まぁ、やめるのはいいが。

儂が簡単に逃がすと思うか。

___!!


魔力が変わった。。。?


「鉄の処女アイアンメイデン


その時、参番隊ヒョドルコロドから大量の棘が全方位から生えだした。

部屋の端まで伸びた棘はたかしとカナを突き刺した。


3120ダメージ受けた。


同時に参番隊ヒョドルコロドも1500ダメージ受けた。

数秒後、棘は粉々になった。


「ガッ。。。!」

(喉が。。。)

「ハァ、ハァ、」


カナは魔力を集中させる。


「スーパーヒール」


7000回復した。


「たかし、気を付けて!」

「何か様子がおかしい」

「アァ。。。」

(分かった、けど喉が)

「___!!」

「たかし!!」


2500ダメージ受けた。


参番隊ヒョドルコロドはたかしの右腕を切断した。


ここからじゃ回復できない。


「まだ魔力は十分残っておるのぉ」

「なぁ、お主、仲間が逃げたらどう思う」

「。。。。。」

「おやぁ。。。」

「そんなに魔力を集中して。。。」


参番隊ヒョドルコロドはワープして瞬時に距離を詰めてきた。


「話してくれないのか?」

「。。。!!」


振り上げられた鎌はカナの額をかすめた。

カナは魔力を込め続ける。


「そんなに魔力を集中させるなら」

「儂もしようかのぉ!」


参番隊ヒョドルコロドの持つ技の大半には反動があった。

そのため、技の殆どを封じて鎌の攻撃をメインに戦っていた。


「革命の旗__解除」


魔力の中和が戻った。

これで__!!


革命の旗を解除したことで参番隊ヒョドルコロドに魔力が全て戻る。


「受けてみよ。。。」


参番隊ヒョドルコロドは鎌を捨て、手の一点に魔力を集中させる。


氷獄コキュートス


一点から放たれた魔力は冷気となり一気に解き放たれる。


冷気は氷を生やし、肺を凍らせ、視界を塞ぎ、全てを固く包む。


バリッ___


参番隊ヒョドルコロドの腕が崩れた。

参番隊ヒョドルコロドは5000ダメージ受けた。


冷気はすぐ目の前までカナに近づいた。


今だ、全てをこの一撃に___!!


剣先に三色の球が発生した。


「トリプルエレメント」


球は参番隊ヒョドルコロドに放たれた。

その球は灼熱で極寒で轟いている。


球は参番隊ヒョドルコロドに届くことはなく冷気に衝突した。

周囲に氷が広がると共に冷気が晴れる。


「相打ち。。。か」

「そうね、技の出し合いならだけど」


冷気が晴れて見えたのは剣先にエネルギーを集中させたカナだった。


「確かに。。。この腕じゃあね」


参番隊ヒョドルコロドは魔力を完全に出し切り再生ができなくなっていた。

そして腕は崩れている。

参番隊ヒョドルコロドは戦闘不能____実質カナの勝利だ。


「さっき、仲間が逃げたらどう思うって聞いたわよね」

「教えてあげる」

「ふむ。。。」

「けどね、私の仲間に逃げるようなやつはいない」

「その上で言うなら。。。」

「言うなら。。。」


「こうね」



剣先からエネルギーが放たれた。


「スパーク」


参番隊ヒョドルコロドは爆発し、周囲が発生した。



カナとたかしは参番隊ヒョドルコロドに勝利した。


_____


「なぁ、カナ」

「ん?」

「さっきのって本当か」

「さっきのって?」

「逃げたら、こうってやつ」

「そうね」

「え?」

「死んだら蘇生させてあげるわよ」


たかしは少し震えた。


「そんなことよりあのボタン」

「ああ、いきなり出たよな」

「あれはちょっと警戒して。。。」

「ポチっ。。。」

「おい!」


。。。。。


こうしてどちらとも柵が開いた。


。。。。。


6000ダメージ受けた。


「さて、拭いたはずの鼻血がまた出てきてしもうた」

「準備は出来たなキュウビよ」

「さぁ次は儂らの番だ」


ただいま

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