弐番隊
目の前には首が燃えていて紫の体をした肉体があった。
両腕に剣を持ち圧倒的な筋肉でこちらに迫っている。
敵の名は弐番隊アラヤゴウエン
俺は刀を取り出して相対する。
アビスも本を片手に魔力を放出した。
弐番隊アラヤゴウエンは体に緑のオーラを纏った。
「交差斬」
弐番隊アラヤゴウエンは走り出し、両手の剣を二人に振るう。
一瞬の動きだった。
その攻撃は一切の隙もなく動作に敵意を感じないほどだった。
アビスは圧倒され動けなかった。
ガチンッ!!
強い衝撃が放たれた。
トンコロコロが両手の剣を刀で防いだ。
痛ぇ、腕曲がる。。。
アビスは衝撃で気を取られた意識を戻した。
私、ボーットしてた、何かやらないとなのに!
え〜と、どうすれば。。。
「。。。。。」
「うん!!」
アビスはトンコロコロの後ろから弐番隊アラヤゴウエンに魔力を放った。
なんの効果もない魔法ですら無いものだが、テンパってたため、これしか出来なかった。
だが、アビスの魔力量は果てしなく、その圧は弐番隊アラヤゴウエンを押し出して攻撃した。
3000ダメージ与えた。
石壁に打ち付けられた弐番隊アラヤゴウエンはゆっくりと体を起こし、首の炎を強く起こした。
「助かったぜ」
「えっと。。。ふぁい!」
「俺はとことん攻めるから、アビスは魔法でサポートしてくれ」
「はい!」
アビスは近接向きじゃない、俺しかあいつを止められない。
当たって砕けろ、死ぬ覚悟であいつを倒す。
その時、弐番隊アラヤゴウエンは両手の剣を高く上げた。
なんだ?
すると剣を強く打ち付けた。
カーーン!!
金属の音が空間に響いた。
「不安協和音」
金属音が空間に響く。
。。。。
「ガ。。。ッ」
頭が。。。目も。。。
。。。あれ?
「ふぇ?」
「大丈夫ですか。。。起きてください」
トンコロコロは倒れた。
白目を向いて倒れたトンコロコロにアビスは走って体を揺すった。
「交差斬」
再び弐番隊アラヤゴウエンは体に緑のオーラを纏った。
両手の剣を力強く掴み、隙の無い動きでアビスを襲った。
見えない。。。
その瞬間、アビスの体は剣によって吹っ飛んだ。
2400ダメージ受けた。
アレ、俺は今。。。
瞼が開いたとき視界には吹っ飛んだアビスと弐番隊アラヤゴウエンがいた。
何が起きた、俺は一体。
弐番隊アラヤゴウエンは俺の方を向いた。
。。。。。
両手の剣をぐるぐると振り回し、腕を上げた。
カーーン!!
「不安協和音」
金属音が発生した途端、体が重くなった。
めまい?
何かしないと、っ。。。
トンコロコロは倒れた。
再び弐番隊アラヤゴウエンはアビスの方を向いた。
。。。。。!!
弐番隊アラヤゴウエンは驚いた。
なぜならアビスは意識を失っていなかったからだ。
不安協和音:音に乗せた魔力の攻撃
鼓膜を通して脳に衝撃を与える魔力は相手の意識を奪う。
そして音である以上回避は出来ないはず。
なのに。。。
弐番隊アラヤゴウエンは思った。
気のせいじゃない、気絶していない。
こいつはなぜ気絶しないんだ、ふざけるな。
許さない、絶対殺す!
アビスが意識を失わなかったのは、
アビスの膨大な魔力が弐番隊アラヤゴウエンの魔力を防いだためである。
魔力に包まれていたことで相手の魔力の侵入を防いだのだ。
弐番隊アラヤゴウエンは赤色のオーラを纏ってアビスに剣を振りかざした。
「優咳残剣」
剣が近づいてきている。。。
体が痛い、さっきので。。。
7000ダメージ受けた。
「!!」
目が覚めると、くたびれたアビスとそれを見下ろした弐番隊アラヤゴウエンがいた。
また同じだ。。。
俺は気を失っていた。。。俺が倒れたせいで。。。
俺のせいで。。。
弐番隊アラヤゴウエンは思った。
ほう、意識の回復が早いな。
この女は例外として、あいつもやるな。
また食らってもらおう。
弐番隊アラヤゴウエンは両腕を上げた。
音。。。耳。。。
直感で動いた行動だった。
考えれば馬鹿な話だ。
俺は鼓膜を破。。。。れなかった。
そんな簡単に破れるか。
一か八か、今思いついた策を使うことにする。
俺はセレクト画面を開いた。
。。。。。。
無音が続いた。
弐番隊アラヤゴウエンは思った。
馬鹿な!?
こいつもか、何故俺の不安協和音が!
俺は剣がぶつかる直前、音量画面を開いた。
音量バーを一瞬で0にして音を消した。
良かった、音で正解だった。
今度は気絶しない、次は俺が攻撃する番だ!
神秘の水を片手に弐番隊アラヤゴウエンに向かった。
神秘の水を一口、数秒の不死の状態を得て3回攻撃を放った。
2450ダメージ与えた。
弐番隊アラヤゴウエンは奥に吹っ飛んだ。
弐番隊アラヤゴウエンは思った。
やるな、殺す!!
燃えろ恨みの力!!
「怨炎」
首の炎が体中に広がり全身は高温に包まれた。
そして、体から炎が放出された。
7000ダメージ受けた。
だが、トンコロコロは倒れない。
弐番隊アラヤゴウエンは思った。
異常者なのか狂ってるのか?
死ね、死にやがれ!
「必殺技ってとこか」
「大剣日円炎」
二つの剣は繋がり、炎を吸った大剣となった。
弐番隊アラヤゴウエンは大剣を振り下ろした。
弐番隊アラヤゴウエンは思った。
死ね人間!!
負けれるかよ、俺だって剣なら!
俺は必殺技画面を開いた、俺は超大振り選択した。
燃え盛る大剣に対抗して力漲る刀が振り上がった。
灼熱はトンコロコロを焼いて体を傷つけた。
1000ダメージ与えた。
1000ダメージ与えた。
。。。。
弐番隊アラヤゴウエンは思った。
こいつ、こんなに焼けてまだ立てるのか。
そしてこのパワー、どうなってやがる!?
弐番隊アラヤゴウエンの大剣は押し上げられて___
そして、刀は弐番隊アラヤゴウエンの体を壁に打ち付けた。
9780ダメージ与えた。
弐番隊アラヤゴウエンの炎は溶け出し、力が抜けていった。
漲った力は徐々に抜けていく。
俺は弐番隊アラヤゴウエンを倒した。
「。。。。。」
倒した。。。
俺はアビスの元に向かい神秘の水を近づけた。
「。。。。?」
一滴の水が垂れる、するとアビスの意識が復活した。
「。。。。。。」
「。。。。。。。。?」
あっ。。。
俺はセレクト画面を開いて音量バーを戻した。
「えっと。。。」
「ちょっと聞こえなかった、もう一回」
「私、意識がなかったんですけど。。。」
「あれは倒せたんですか」
「もちよ、あそこ倒れてるだろ」
「あそこって。。。あの立ってるのですか?」
「立ってる?」
「何いってんだよ、倒してんだから立ってるわけ。。。」
後ろを向くと弐番隊アラヤゴウエンが立っていた。
無機質にボロボロの体で____
「まだやるのか、こいつ」
「やるに決まっておろう。。。」
「私の体は。。。あ?」
「違うかのぉ?」
「そもそも、アラヤゴウエンは話さないのか、まぁいいか」
「いきなり、おしゃべりになったな!」
「もうコイツは死んでるからのぉ、直々に操作してあげてるのじゃ」
操作?誰が?
考えるに、あいつを操作できる可能性があるのは。
「将軍。。。」
「そうじゃ、でもその言われは好かん」
「妲己って呼んでくれ!」
将軍、妲己は陽気に弐番隊アラヤゴウエンの体で喋った。
。。。。。。。
数年前___
「アラヤゴウエンね。。。ふーん」
「和国の怨霊を取り込んだ人間。。。」
「いや、そりゃもう魔物じゃのぉ」
「。。。。。」
「お前さんは喋れんのか」
「まぁいい、心読めるし」
弐番隊アラヤゴウエンは思った。
迫害されたこの俺を、口を聞けないこの俺を認めてくれた。
そんなに喜ぶことか。
お主はこれから儂のために体を捧げるのじゃ、その怨念をうまく使いこなせよ。
。。。。。。。。
「アラヤゴウエンよ、お主はよく頑張った」
「これ程の力を楽々と。。。ククク」
「ちゃんと、使いこなせるようになってるのぉ」
「どれ、さっそく敵討ちをさせてもらうぞ」
戦いはまだ終わらない____
弐番隊アラヤゴウエンの肉体に禍々しい魔力が溢れた。
その魔力は剣に染まり紫色に変化した。
「呪斬」
二人に向けられた紫色の剣は大きくなり、紫色の魔力は覆った剣の形を保って飛び出した。
5000ダメージ受けた。
「グッ!!」
体は貫かれ、腹に穴が開いた。
呼吸をする間もなくトンコロコロの意識は消えた。
「まずは一人目。。。」
アラヤゴウエンの敗因は自分の力を知らなかった事。
魔力も技術も十分完成されている、もっと自分を見るべきだったな。
トンコロコロさんが、早くカナさんの所に行かないと。
私がなんとかしなきゃ。。。
「。。。!!」
「こんなに強い人間がいたのか」
「クククッ面白い、アラヤゴウエン、全力で行くぞ」
アビスは全身から尖った魔力を放出した。
弐番隊アラヤゴウエンはその圧に冷や汗を流した。
「アークシャインボムズ」
複数の魔力の球が弐番隊アラヤゴウエンを取り囲んで現れた。
早い、一瞬で囲まれた!!
魔力は溢れ、爆発は弐番隊アラヤゴウエンを襲った。
城は揺れ、粉塵に溢れた。
5000ダメージ与えた。
弐番隊アラヤゴウエンの持つ魔力を最大限に引き出して尚、体は傷だらけ。。。
近づいてもちぃときつそうじゃ。。。
儂も覚悟しなければのぉ。
弐番隊アラヤゴウエンの体に別の魔力が発生した。
「最炎解放」
弐番隊アラヤゴウエンの取り込んだ数百の怨念は魔力を解き放つと
共に無数の炎となって飛び出した。
この技は最も高出力で最強の技じゃ、
そして、最後の攻撃でもある。
「精霊レインアルテ」
同時にアビスは精霊を出現させた。
溢れた魔力は水を生成し、炎に向かって流れた。
弐番隊アラヤゴウエンの最後の華_____
枯れさせるわけにはいかない、必ず倒す!
弐番隊アラヤゴウエンの体に別の魔力が流れ続けている。
今の最炎解放は本来の出力の何倍もの威力となって華開く。
グッ、本当に。。。
弱い私ですまなかった。
炎と水の間に大量の蒸気が発生した。
互角のような戦いは僅か十数秒のことであり、
あっという間に水は炎を飲み込み、弐番隊アラヤゴウエンを押し出した。
体は波に削られ、消滅した。
。。。。。
6000ダメージ受けた。
「ククク、あやつらは強いな」
「。。。。」
「キュウビよ、しっかり準備するんだな」
「相手は想像以上に強い」
鼻血を垂らした女は小さな笑みを浮かべた。
。。。。。
レベルが上がった。
アビスは56に上がった。
弐番隊アラヤゴウエンを倒した。