将軍___
「世界は広い。。。。」
玄武は独り言を呟く。
「認めよう」
「貴様らは強い」
「まあな!」
たかしはニシシと笑う。
「私も再びこの大木に戻るとしよう」
玄武は大木を見上げる。
「残りは二人だろ」
「そうだな、あとは朱雀と青龍って感じだ」
「次はどっちの木に行く」
「近い方を行くつもりだが」
「。。。なら冬の木か」
玄武に沈黙が続いた。
「さきに秋の木に行け」
「秋の木、なんで」
「確かに貴様らは強い、が」
「青龍は四獣の中でも一際強い」
「もっと強くなるべきだ」
「朱雀と先に戦え」
「青龍はとにかくまだ早い」
青龍、一体どんな強さなんだ。
「そうか、ありがとな」
「安心しろ、貴様らならすぐ強くなれる」
鎧で見えないが微笑んだ気がする。
「そろそろ私の意識も消え掛かる」
「さらばだ」
玄武は大木に体を押し込む。
体は溶け込みゆっくりと大木に入る。
暖かい風が俺達を包む。
そして____
玄武の気配は完全に無くなった。
大木に生えた桜の葉が強く光りだした。
大木からオーラが溢れた。
。。。。。。。。。
「。。。。。!」
「春の木が光った。。。」
どこかの海沿いの建物の窓から誰かが大木を見ていた。
「玄武を倒したか」
「強いな、私の出番も近づく頃だろう」
刀を手に取り扉を開けた。
。。。。。。。。。
そして数秒の時間を得て大木のオーラと光は消えた。
終わった。
白虎と同様これで終わりのようだ。
玄武の戦いは幕を下ろした。
レベルが上った。
俺は55に上がった。たかしは55に上がった。カナは55に上がった。アビスは54に上がった。
_____
景色が暗くなる。
再び町の宿屋に着いた。
すき焼き。。。
宿屋が出した料理はすき焼きだった。
鍋から溢れる香りは甘辛い。
「美味しそうですね、初めて見ます」
「この匂い、うまそうだな」
香りを嗅いで皆の雰囲気が和む。
そこへ、艶やかに色づいた牛肉。
脂がじゅわっと溶けて、タレを吸い込みながら音を立てる。
そして一口___
。。。。柔らかい。
舌に伝わる肉の繊維、その隙間からコクと甘さが滲み出る。
纏った卵はまろやかで旨味が喉を滑り落ちる。
その最強の一撃は。。。
「ふわぁ〜」
誰も防ぐことは出来なかった。
「椎茸美味っ」
肉の旨味を吸った野菜たちは旨味を一気に解き放つ。
カナは椎茸の会心の一撃でほっぺが落ちそうだ。
香りは宿に広がりほんわかを起こした。
。。。。。
ボコッ。。。
東の大陸のどこかの地面が乾いた音だ。
俺達も町の皆も知らないだけで大陸の終わりは近づいてきている。
。。。。。
さあ秋の木に向かおう!
______
秋の木が立つ島へ行くには船が必要だった。
距離はそれほど離れていないが、海は深く、波も荒い。
そこで、俺たちは一度船へ戻ることにした。
元の島と違いこっちの島は大地が干からびていて人が住めそうにない。
火山は煙を蒸して滾っている。
その下には紅葉で彩られた大木が一つあった。
あそこか。
俺は船を操縦(簡単操作)し大木の近くまで進めた。
だが、その周りには大きな岩山があった。
「。。。どこから行けばいいんだか」
俺は船を操って島の周囲をぐるりと回った。
「あそこから入れんじゃねぇか」
たかしが指差したのは、唯一岩が途切れた場所だった。
確かに、そこなら船を寄せられる。
俺は舵を切り(簡単操作で)、その狭間に船を止めた。
「ちょっとだけ大木からは遠くなるが」
「島は小さいしすぐにつくだろ」
島を降りて大木に向かって進むことにした。
_____
「こんな場所に村があるなんて」
島を降りて進むと待ち構えるように村がそびえ立っていた。
他に道はない、そのまま入ることにした。
村の建物はどれもボロボロで暗い雰囲気が一瞬で伝わる。
「旅人さん」
ボロボロの老体が声を掛けてきた。
その声はかすれてハッキリと聞き取れない。
「ミズゥ〜水をくれ〜」
「喉が乾いてぇ〜。。。」
「水かぁ」
「ポーションでいいなら」
俺はセレクト画面を開く。
俺はポーションを取り出し老体に差し出す。
「水やない!これやぁ毒じゃな」
老体は俺の手を払った。
ポーションは地面に落下して割れた。
「おいあんた何やってんだ」
たかしが老体の肩を掴む。
「うわ"ー!!イダイ」
「こいつら暴力団じゃ、おっかない」
老体が叫びだすと周りの建物から人がぞろぞろと出てきた。
「おっかない、おっかない」
「悪い輩だおっかない。。。」
なんだこいつら。
村人全員こんなやばい奴らなのか。
体は汚れて痩せこけている。
〜〜村から出てけ〜〜
〜〜消えろ〜〜
ざわざわと声がなる。
「なあ、早く村抜けようぜ」
「そうだな早く行こう」
俺達は村の奥の出口に向かう。
「ここは立入禁止だ」
出口の前に門番がいた。
その門番は明らかに村人と雰囲気が違っていた。
痩せこけた村人と違い門番は筋肉質の体で中世の鎧を纏っている。
「ここは立入禁止だ」
「なんで」
「ここは立入禁止だ」
「おいちょっと」
「ここは立入禁止だ」
。。。。。
話が通じない。
強引に行くしかない。
俺は力尽くで出口に向かう。
だが_____
「進めない!」
足が出口に一歩踏み出すと弾けるように体が後ろに下がった。
「どうなってんだ」
たかしも同様後ろに下がる。
なんだ、システムか____
。。。。。
表示がない。
ほんとに何なんだ。
ゴミか?クソゲーか?
このRPG、バグまで異世界に持ってきたのか。
「ちょっとあんたら」
振り向くとそこには若い男がいた。
「悪いことは言わねぇあっちに早く出ちまいな」
「でも、俺達は奥に用があんだよ」
「それでもダメだ」
「ここの将軍が許さない」
「将軍?」
「ここの将軍は食料を一人占めし、力で支配する」
「誰も姿を知らない」
「噂では獣だったり鬼だったり」
「長居すればきっと村に閉じ込められる」
「奥に行けないのは将軍の力だ」
「早く出ろ」
。。。。。
「まさか、あんたは出れなくなったのか」
「そうだ、俺は閉じ込められた」
「だから。。。」
「いいや」
「?」
「俺達で将軍の元に向かうよ」
「馬鹿言うな!将軍は物怪を従えている」
「そんな簡単に」
「行くね、そうでもしないと先に行けないし」
「アレだろ将軍がいる所」
俺の向いた先には大きな城があった。
「。。。そうだ」
「そんじゃ向かうわ」
______
秋の木に向かうためには将軍に会う必要がある。
俺達は城に向かうことにした。




