表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/37

玄武の霧 その2

カナの目の前に、玄武が立ちはだかっていた。




魔力を使っていない、固有の技のようね。

本当に規格外、私一人で。。。


「「怯えているのか。。。」」

「なってないわよそんなの」

ランスの剣先を玄武に向けた。

「やってみせる私一人で」


「「では始めようか。。。」」

玄武の甲羅の穴から煙が噴出する。

煙は瞬く間に一本の長い煙になり蛇を形成した。


「「雲蛇はくじゃ」」


蛇は紅い瞳でカナを睨みつけている。

「「進め雲蛇。。。」」


雲蛇はカナに向かって飛び出した。


向かってくる!


「ヘルファイア」


カナは魔法を唱える。

剣先に赤黒い炎が現れ、空気を焦がすような高温を放つ。


それは、レベルアップによって彼女が新たに目覚めた魔法──ヘルファイア。

飛び出した雲蛇へ、その灼熱が一直線に放たれる。


炎は、口を開けていた雲蛇へと吸い込まれるように命中した。

その火力は雲蛇の頭を吹き飛ばし、煙の体は霧に同化するように消えていった。


「ヘルファイア」

再びカナは赤黒い炎を放つ、炎は玄武に向かって飛んでいく。


「「天地の盾」」


瞬間、玄武の体は急激に凍りついた。

炎は玄武に命中した___が、その炎は玄武を傷つけることはなかった。


無傷。。。


カナは再び魔法を唱えた。


「リーフストーム」


ランスに複数の渦が発生した。

そしてカナがランスを振ると同時に渦は不規則に玄武に向かって飛んできた。


渦は玄武に命中した。

だが、玄武はダメージを受けなかった。


属性の相性かと思ったけど違うみたいね。

私が魔法を放った時、玄武の体は冷えだした。


恐らく防御をした。


カナの推理は間違っていなかった。

玄武の防御の正体はその凍てつく状態または天地の盾という。


「「グフッ。。。」」

玄武の口から血が垂れる。


「「天地の盾。。。解除」」


7秒が限界のようだ。。。

やつの魔法を7秒以内に防ぐ他ない。。。


凍てつく大気が元に戻る。

玄武の体には温もりが発生した。


表面の氷が解けた。

時間にして7秒、予想が本当なら今こそ。


「ロックストーン」

カナの剣先に小さな石が集まる、幾つもの石は一つになり大きくなる。


そして大きな岩となったそれは玄武に放たれた。


2000ダメージ与えた。


やっぱり、

玄武は凍った状態の時、防御力が格段に上がる。


分かる範囲で7秒が限界、そして表面の氷が発動の証。


簡単よ、私なら倒せる。


気づいたか。。。


玄武の甲羅の穴から煙が再び噴出する。

煙は蛇の姿となった。


「「雲蛇」」


そして雲蛇は玄武の首元で輪を描き、

形を歪ませながら別の蛇へと変化していく。


「「悪魔蛇ボティス」」


____


「「名は何という。。。」」

「名、カナこれでいいの?」

「「そうだ、それでいい」」


「そ、じゃあ」

何で名前聞いたの。。。


剣先に魔力を集中させる。

そして、そのまま玄武に向かって走り出した。



「「神攻甲」」

玄武の真上の霧が晴れだした。

甲羅は太陽の光を吸収する。


そして、甲羅は強く光りだす。


光。。。警戒はしよう。


甲羅の光は一つの線となりカナに向かって放たれた。

その光線は素早く一瞬でカナに近づいた。


来る!


カナは光線を華麗によけた。

素早いけど別に避けられない攻撃じゃない。


だが____


2000ダメージ受けた。


グっ!

当たった?正確に私の動きを。。。


二発目の玄武の光線は、カナを正確に狙い攻撃した。


追尾にしろおかしい。。。

私の動くその先に光線は放たれる。


なら追尾ではない、

玄武は私の動きを線で捉えている。


これなら!!


ファイアを放ちながら動き方を変えた。

玄武の視界に炎が映る、炎は玄武の視界を奪った。


「「天地の盾」」


玄武は炎を防いだ。


今度こそ避けれると思ったカナ___


まずい、当たる!!

光線はカナに再び命中した。


2000ダメージ受けた。


視界を塞いでかつ動きも変えたのに当たった。


予測されている、理由は分からないけど私の動きが分かるんだ。

いや、分かるわ!玄武の技に意識するのよ。


あの悪魔蛇っていうのがきっと私の動きを捉えているんだ。

悪魔蛇が攻撃をしてこない以上、玄武に何かしらの効果を与えてるに違いない。


「リーフストーム」

カナはランスに複数の渦を発生させた。

渦は玄武の首、悪魔蛇の元に向かって飛んでいく。


またしても見破られた。。。


渦は悪魔蛇に命中した。

そして悪魔蛇は渦によって掻き消された。


「やっぱりね」

すると光線はカナを追えなくなった。


悪魔蛇は現在・過去・未来の出来事を見せる力を持つ。

首に巻き付くことで悪魔蛇は玄武にその効果を与えていたのだ。


カナは走り出し玄武にランスを突き刺した。


「「天地の盾」」


剣先が玄武を傷つけることはなかった。


あとは7秒間!


「リーフストーム」

ランスに無数の渦が発生した。


空に。。。


放たれた渦は空中で回転しながら玄武の周りを浮いていた。


「ヘルファイア」

剣先に赤黒い炎が発生した。


そして、空中の渦に向かって放った。

カナはヘルファイアを渦の数だけ放つ。


同時にランスで何発も攻撃する。


そして___7秒が経過する。



「「天地の盾。。。解除」」

表面の氷は解け、玄武に温もりが出た。


渦よ行け!!

炎を纏った渦は玄武の方向に向きを変えた。

そして渦は玄武を削った。


8000ダメージ与えた。


攻撃の衝撃で玄武は神攻甲を解除した。

そして玄武の真上は霧で曇り、甲羅は光を失った。


「「ぬぅ。。。」」


代わりに玄武の体が紅く光りだす。

「「爆熱甲羅塵」」

そして光が強くなるとともに爆発を起こした。

カナは爆発に巻き込まれ遠くまで飛んだ。


半径12メートルの範囲を焦がした。


5000ダメージ受けた。


「スーパーヒール」

カナは自身に回復を行った。


HPが7000回復した。


「ヘルファイア」

剣先に赤黒い炎が発生した。

まだ凍ってないうちに!


炎は玄武に放たれた。

玄武は一瞬にして炎に包まれた。


5000ダメージ与えた。


玄武は一瞬だけ天地の盾を発動し、自身を包む炎を消した。


魔法、やはり手強い。。。

私も魔法に並ぶ複雑さを。。。


甲羅の穴から煙が噴出する。

煙の出力は勢いを増し景色は濃く染まる。


「「埃及神淵あぽぴす」」


「夜?」

瞬間、カナの周りに暗い闇が発生した。

その闇は一欠片の希望さえ残さないほど果てしない漆黒____


「ファイア」

剣先に炎の球が生まれる。

炎は周囲の闇を晴らし明るくする。


見えない、玄武の気配も感じない。

物音が聞こえない、何の気配もない。


どこにいった、

それか、私がどこかに。。。


そのとき___


500ダメージ受けた。

カナの体の一部が黒く染まる。


感覚が消えた!


黒く染まった箇所は感覚を失っていた。


何をされた。


500ダメージ受けた。


再び体の一箇所が黒く染まり感覚を失う。


まただ、

分からない以上解決は難しい。


でもなんとかしなきゃ!

「スーパーヒール」

カナは黒く染まった箇所に回復魔法を放つ。


しかし___


「嘘でしょ。。。」

「回復。。。しない」


500ダメージ受けた。


クソ!

ヤケクソでファイアを周囲に放った。


だが、闇に影響はなかった。


500の数字がカナに重複する。


そして___体の8割は黒く染まった。


どうすればよかったの___


感覚が失われたことで、カナは突っ伏してしまった。

力が入らない、重みも感じない、耳も聞こえない、

痛みも感じない。


近づく終わり____


私は勝てなかった。


ランスは体付近に転がる。

もう握る力が入らない。


炎はカナを照らしている。

闇は一層深くなる。


カナの顔は徐々に闇へと染まる。


その時____


剣先の炎はカナの体を燃やした。

黒い体は炎で包まれた。


シャ〜〜!!


闇に蛇の声が広がった。


。。。!!

体が熱い、感覚が戻っている?


体を染めた黒は炎に燃やされ元の状態に戻る。


力が入る!!

カナは立ち上がりランスを握った。


立ち上がってすぐ闇は消え初め、空間に光が生まれだす。


_____


「「なんと。。。」」

カナは再び元の霧の世界に戻り玄武と対立した。


「「埃及神淵を抜け出したとは。。。」」


埃及神淵、それは煙で形作られた、黒き巨大な蛇。

その力は、一瞬で相手を呑み込み、闇の中へと引きずり込む。

闇は時間と共に相手の全身を覆い、やがてその肉体も精神も、埃及神淵の一部として取り込む。

唯一その闇から抜け出す方法、それは自らを傷つけること。

取り込むとはすなわち、相手の感覚も支配し、自らの感覚として取り込むということ。

闇は、埃及神淵の肉体でもある。

ゆえに、闇に傷をつけることは本体に傷をつけることと同じである。

この蛇を討つには、己を傷つける覚悟が不可欠なのだ。


カナの場合は体が燃えたことで脱出することが出来た。


「「その覚悟気に入った。。。」」


再び玄武の真上の霧が晴れだした。


「「神攻甲」」


甲羅が日差しを集め、眩い光を放ち始める。

やがてその光は一点に収束し、一本の光線となってカナへと撃ち放たれた。


「トリプルエレメント」

剣先に炎の球、氷の球、雷の球が出現した。

三つの球は一つになり混合色の球となる。


そして放たれた光線に対抗し混合色の球を放った。


____


「「砕けた。。。」」


私の所までは届かない。。。


混合色の球は光線とぶつかりあった。

光線は永遠と球を焦がし続け、消滅すれば今度はカナに向かう。


「「なぜ球が。。。」」


しかし球は光線を押し出し玄武に向かう。


「シルドー」

球に黄色いオーラが纏う。

カナはトリプルエレメントにシルドーを放ち光線を防いでいた。


シルドーはそれほど防御力を上げない。

だが、トリプルエレメントの推進力が加わることで、その防御は進化し、

光線すら弾く力となった。


そして____


8300ダメージ与えた。


玄武の体にトリプルエレメントは命中した。


「「見事よ___」」


玄武は崩れ落ちた。

その巨体は、ゆっくりと形を失い、淡く消え始める。


カナは玄武の一片を倒した。


















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ