奮い立つ大剣
白い光が空間を包む。軽快な音楽が流れる。
メッセージが下から飛んできた。
「玄武が出現」
玄武は一歩一歩力強く地面を踏みしめ進みだす。
大剣を俺達に向けて横に振るった。
先の潰れた両刃型の大剣は力強く襲ってくる。
「ほう。。。」
その大剣をたかしは弾き、玄武を押し出した。
800ダメージ与えた。
「なかなかの力だ」
力強さ良し、次はどうだ。
玄武は大剣を下から振り上げる。
風圧?
たかしの前に大きな圧が掛かった。
とっさにたかしは腕で防御体勢を行った。
直前、斬撃が飛ぶ。
腕に斬撃が当たり、たかしの腕から血が流れた。
600ダメージ受けた。
「立ったまま。。。」
耐久性良し、いい調子だ。
鎧の隙間から二つの光がたかしを見つめていた。
シュウ〜〜
大剣が一回り大きくなる。
玄武は大剣を後ろに寄せて居合の構えを行った。
「扇斬」
振り上げた瞬間、大きな斬撃が飛んできた。
次は胴が別れるぞ。。。どうする。
斬撃はたかしに向かう。
この斬撃、当たればただじゃ済まないな。
だが避ければ皆に当たる。
この斬撃を止めるには。。。
たかしは走り出し斬撃に向かった。
斬撃を止める方法は無い、すなわち最小限で受ける他無い。
たかしが出した方法___
斬撃の威力を弱めるには、この拳で!
たかしは斬撃に向かって拳を突き出した。
体を斬撃が襲う前に先に腕で受けることで威力を下げる。
命中すると威力が徐々に下がりだした。
たかしの左腕が吹っ飛ぶ代わりに斬撃の威力は死んだ。
2200ダメージ受けた。
たかしはそのまま走り出し玄武に技を繰り出した。
「会心拳」
玄武に拳が当たる。鎧に拳がめり込む。
「見事。。。」
950ダメージ与えた。
「名を名乗れ。。。」
「たかしだ」
「そうか!たかし、そうかいいぞ。。。」
玄武は大剣を上げ、たかしに振り下ろす。
「さあ、強者よ戦おうぞ」
んう"!抜けない。。。
玄武は腹筋でたかしの拳を抑え込んだ。
左腕は無い、完全に拳が封じ込められた。
大剣はたかしを襲う。
蹴り上げてこい。。。
玄武の大剣は脚を狙っていた。
さあ来い。。。
「ふん!」
たかしは頭を上げた。
頭。。。。
そして、玄武の頭に頭突きをした。
1900ダメージ与えた。
振り下ろす腕は鈍り大剣の動きを止めた。
予想が外れた。。。
「なぜ脚を使わなかった。。。」
「脚か、それはな。。。」
それは。。。
「ここで使うためだ!」
たかしは脚を蹴り上げ、頭を攻撃した。
1810ダメージ与えた。
再び玄武の腕は鈍り、今度は腹筋にも力が抜けた。
たかしの腕が解放された。
引き抜いて玄武に拳を放つ。
たかしは三回攻撃を放った。
5580ダメージ与えた。
玄武は後ろに吹っ飛んだ。
玄武は大剣を地面に刺し、体を支えた。
「実っている。。。」
玄武は凹んだ頭の鎧を一瞬にして直した。
同時に腹部の鎧も元に戻っていた。
玄武の肉体は、鎧が一体となった人の姿をしている。
その肉体には、確実にダメージが蓄積していた。
もっとも、姿を自在に変えられる四獣にとって、外見だけを無傷に見せることなど容易である。
剣技をより洗礼に。。。
シュウ〜〜
玄武の体から蒸気が発生した。
大剣は大きくなった気がした。
「熱風裂幻」
大剣は紅く染まる。
大剣を振り上げると
瞬時に紅い斬撃が無数に飛んできた。
全てを削ぐ斬撃、先程のように防げくことはできんぞ。
「シルドー」
カナは魔法を唱えた。
全員の体に黄色いオーラが纏う。
防御力が上がった。
唱えたとは言え、多少盛っただけ。
どうすれば___
「心配するな」
たかしは前に出たまま姿勢を変えない。
「反撃の構え」
たかしは構えを行った、たかしの体からオーラが溢れ出した。
斬撃がたかしに当たる瞬間___
瞬時にたかしは柔らかい手つきで斬撃を弾いた。
「___!!!」
その時、斬撃を弾いた手の先に炎が現れた。
しかし無数の斬撃はたかしに向かう。
炎を意識する暇は無い。
向かうたびたかしは柔らかい動きで斬撃を払う。
払うたび炎が現れ、体を焼いた。
反撃の構えによってたかしの体は高速で向かう攻撃に対応している。
そのため、たかしの数秒は現実にして1秒にも満たなかった。
たかしはそのまま玄武に向かい右手を押し出した。
10400ダメージ与えた。
「グ!!」
玄武は吹っ飛び大木に打ち付けられた。
たかしの体感時間は元に戻る。
時間にして2.8秒の出来事であった。
「熱ッ、、、!」
瞬間、炎が体に広がった。
セレクト画面の右上に炎のアイコンが追加されていた。
300ダメージ受けた。
「なあちょっと回復してくんね」
______
たかしのHPが回復した。
7000回復した。
こんなに回復できるなんて。
たかしの怪我を回復した時、初めて自分の成長に気づいた。
300ダメージ受けた。
ピキキ。。。
冷たい。。。
大気が冷えている。
玄武を見ると蒸気を発していた体は霜で包まれていた。
「私の練り上げた技を受けきったとは」
玄武はゆっくりと立ち上がった。
ん?
あの大剣あんなに小さかったか。
今、俺の目に映る大剣は、先ほどの玄武と同じ大きさだったものとは違い、
俺の刀とほぼ同じ大きさになっていた。
「その剣、随分小さくなった」
「。。。。。その通り、小さくなった」
なにかあんのか。
「さあ来い。。。」
たかしは玄武に走り、拳を繰り出した。
「硬い。。。?」
たかしの攻撃は鎧によって止められてダメージを与えられなかった。
おかしい、まともに入ってたろ。
何回叩いてもダメージは届かない。
どうなってんだよ。
「次は私の番だ」
玄武は大剣を振り上げた。
「あたらねぇーよ」
簡単に避けられる、動きが遅ぇ。
玄武の動きは圧倒的に遅くなっていた。
「さっきよりおせーんじゃ。。。」
ん?なんだ。。。
体が冷たい、それに重いぞ。
ふと自分を見た、手は白く霜に包まれていた。
たかしの体は凍りついていた。
やべぇ。。。見えるのに動けねぇ!
玄武の体に再び蒸気が発生した。
そして大剣は大きくなった。
やっぱり大きくなっている。
蒸気が出ている、つまり熱くなっている時あの剣が大きくなっているんだ。
それならなぜ小さくしたんだ。
インターバルか?いやなんで体はあんなに蒸気を出すんだ。
まだ謎が多い。
玄武は大剣を振り下ろした。
大剣はたかしの体を深くえぐった。
4000ダメージ受けた。
体を纏った冷気は一瞬にして消えた。
「食らえ!」
たかしは負傷しながらも玄武に拳を放った。
1100ダメージ与えた。
腹部の鎧は一気にひび割れて拳の侵入を許した。
「グゥゥ」
たかしの会心拳の効果は切れている。
なのにダメージが入っている。
冷えている時はクリティカル確定状態だったのにダメージがなかった。
玄武は瞬時にたかしから離れた。
状況を整理すると、蒸気の発生→大剣が大きくなる→ダメージが入る
冷気が発生→大剣が小さくなる→ダメージが入らない
。。。。分かった気がする。
「お前、攻撃力を引き換えに防御力が下がってるだろ」
玄武は俺の方を向いた。
ほう。。。気づいたかあの男。
「蒸気と共に攻撃力、つまりはその剣を大きくして代わりに防御力を下げる」
「冷たくなったときは逆に防御力を上げて、剣を小さくしている」
「たかしの攻撃でハッキリ分かった」
「。。。。。見事だ」
「私は力と硬さを自在に調整できる」
玄武は鎧を直した。
「すなわち最強の盾、最強の矛を扱えるに他ならない」
玄武の姿は鎧さえ体の一部となっている。
だが、それだけではなかった。
姿を自在に変えられるということはすなわち、体を武器にすることは容易だということだ。
玄武は体の一部を武器として使っていたのだ。
力の配分を武器に集中することで武器の巨大化を行っていた。
逆に配分を体に集中することで肉体の防御力を上げていた。
熱風裂幻で無数の斬撃が飛んだのは大剣の形を瞬時に複数枚の刃へと変形させたからだ。
熱の正体は、肉体内部に力を集中させている状態か否か、その差によって生じていたのである。
「お前らはきっと、効果の変わり目を狙って倒すつもりだろうが」
「その両刀を成し得る状態が存在する。。。」
「もう分かるだろう。。。」
大剣を後ろにしまう。
玄武は直立した。
そして、体の鎧が柔らかく蠢いた。
まるで蛹から羽化する手前のような。。。
蠢き玄武の体は肥大化する。
でっか。。。。。




